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執筆者の写真Yukihiro Nakamura

珈琲考 第2回

更新日:2021年6月21日

淹れ方あれこれ


 色々な分類を見ることができるが、それらを参考に自分なりに分類するとこんな感じ。

 サイフォンを浸漬法とするか煮出し法とするか悩ましい。また構造的にマキネッタはパーコレーターやサイフォンに似ていて煮出し法というべきかもしれないが、抽出した味で透過法のエスプレッソに入れた。


 

珈琲の歴史と飲み方の推移


 6世紀エチオピアの高原で山羊飼いカルディが見つけた珈琲。これを知ったイスラムの寺院で門外不出の秘薬として伝えられ。数百年立った13世紀にようやく豆を煎って飲むようになる。14世紀寺院の周りの一般人も飲むようになる。15世紀世界最古のカフェ「カーネス」がコンスタンチーノープルに誕生しトルココーヒーを飲む様になる。このころはまだ上澄みを飲んでいた。当然口当たりの悪い豆粕を取り除いて飲みたくなっただろうと思うのだが、そうした装置が発明されるまで千年の月日を必要とする。しかもそうした発明はイスラム世界ではなかった。キリスト教とイスラム教が対立した時代にヨーロッパに珈琲が広まったおかげだ。18世紀パーコレーター(イギリス)、サイフォン(イギリス)が登場。19世紀カフェプレス(イタリア)、ペーパードリップ(ドイツ)、マキネッタ(イタリア)、エスプレッソマシン(イタリア)が登場。ヨーロッパに広まった途端に色々な飲み方が発明されていった。ところで、珈琲を淹れる方法は完成されたのだろうか。21世紀に入ってエアロプレス(アメリカ)が登場するが、まだ見ぬ新しい淹れ方があるかもしれない。


 そんな珈琲の歴史を逆行しながら味わってみた。一つ一つ試すことで、どうしてこんな方法を思いついたのかという謎の一端を垣間見た気がする。近年開発された淹れ方は、すっきりと美味しいが、だからと言って昔の淹れ方が不味いわけではない。どの淹れ方も良さがある。はっきり言えることはどの飲み方にせよ、豆が新鮮であるほど美味しい。


以下が飲み方実験の記録


 

一息入れて思うこと


 美味しい珈琲とはなんだろう。ざっくり言ってしまうと大した差はないように思う。自家焙煎の珈琲を出してくれる喫茶店で何度もいただいているけれど、鮮度の良い珈琲だから美味しいという実感はなかった。自宅で飲む珈琲は、いつ焙煎したかわからない豆で、一度購入したら冷蔵庫に入れっぱなしで1年以上経った豆でもそれなりに美味しいと思って飲んでいたのだ。今回、初めて、焙煎したての豆を手に入れて、意識していろいろな方法で飲んでみて、ああ美味しいと思うに至ったのだけれど、どれほど違うか言葉にするのは難しい。強いていうならば、もう一杯飲みたくなるか、そうでないかという違い。美味しい珈琲の酸味と言うものを意識して味わったのも今回が初めて。今までもこうした珈琲を飲んだことがあったのだろうけれど、その時は美味しさを認識できなかった。


 かくも微妙な違いではあるけれども、知ってしまうとどうせ頂くなら、良い豆を、焙煎してちょうどの頃合いに挽いて頂きたいと思う。とは言え、ハイレゾ音源に期待して聴き比べを行った時もほとんどその違いを認識することができなかった。物の良し悪しというのは微妙だ。そうした良し悪しの一端を知ることができたのは幸せなことだ。しかし知らなくても生きてゆくのになんの支障もない。


 そうしたことを知りたくていろいろ試してみるのだが。一体それがなんになるのだ。そんな思いにとらわれる。ウロボロス、自分の尻尾を咥えたゴジラがいる。同じ位置に立っているけれど、何もわからずそこにいるのと、多くを経験してそこにいる違い。人生はそんなことの繰り返し。いろいろためして、足掻いて、もがいて、結局振り出しに戻る。そんなことを思いながら今日の一杯をいただく。



 

今後の計画


 ベートーベンは毎朝きっちり60粒のコーヒー豆を挽いて珈琲を淹れたとか。手持ちの豆で計ってみるとおおよそ15g。ちょっと一杯には濃いめの分量だ。さてそろそろ豆の違いとか自家焙煎をやってみたい。


 

追記


 ネルドリップもサイフォンも実に美味しい珈琲を淹れることができる。残念なことはネルの管理がめんどくさいことである。面倒なことをあまり気にしない自分にとっても面倒なのだろう、使用頻度が極端に低い。その点エスプレッソマシンやペーパードリップは取り扱いが楽だ。ほぼ毎日のように使っている。美味しさに順位はつけがたいが、使いやすさの順位は決められるかもしれない。

  1. コーヒーバッグ 一番手間がかからない

  2. フレンチプレス 後片付けでコーヒ豆が網に引っかかるけど手間いらず

  3. ペーパードリップ 蒸らしが気にならなくなったおかげで気軽に淹れられる

  4. エスプレッソマシン ボタン一発で淹れられる後片付も慣れる

  5. 金属フィルタードリップ 挽いた豆を篩に掛けると面倒になってくる

  6. 水出しポッド 飲むまでの待ち時間はかかるが手間はかからない

  7. イブリック 豆を極細挽きにするのがちょっと手間

  8. マキネッタ エスプレッソマシンの方が楽で美味しい

  9. パーコレーター 少数分を淹れられないから滅多に使えない

  10. サイフォン 洗うのもネルの管理も億劫

  11. ネルドリップ 入れる手間は大してかからないがネルの管理が億劫

  12. ウォータドリップ 準備も後片付けも飲むまでも時間がかかる

 以上とりあえず今の所感じている使いやすさの順位。ここでいう使いやすさは、淹れて、飲んで、片付けるまでの一連を総合した使いやすさ。スティーピングは使いやすさということではないような気がするためリストから外した。実際は使いやすさと飲みたいの組み合わせで使用頻度は決まる。


 BRUTUS「おいしいコーヒーの教科書2019」ではネルドリップ新時代という記述がある。サードウェーブのムーブメントとは一線を画し、独自の道が一滴入魂のネルドリップだという。共通点は自家焙煎と深煎り、日本ならではの喫茶店文化を継承するのがネルだという。ネル侮りがたし。

 ネルドリップに近い味わいが出せるコットンペーパーフィルターというものがあるようだが・・・。

 映画「しあわせのパン」で原田知世が淹れる最初の一杯はネルドリップだった。サーバーを使わず直接カップへネルで淹れている。かっこいいと思った。



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