実験器具を使ってウォータードリッパーを作った。
使用した実験器具
分液漏斗ガラスコック付
漏斗
穴開き試験管
フラスコ
実験器具は中学時代に薬局で買い集めたものや「子供の科学」の付録で、実際に実験したことはない。半世紀押入れに眠っていた道具が陽の目を見る。
滴下装置
滴下装置は分液漏斗をそのまま利用し、ガラスコックを調整して滴下する。容量は120cc程度なのでこの装置で淹れられるのは珈琲1杯分である。滴下速度は約120cc/2時間。実はこの器具があったからウォータードリッパーを作る気になったのである。
珈琲抽出部分の構造
「子供の科学」の付録で、中間部に膨らみがあり下部に穴が空いた試験管がある。偶然手に入れたこのヘンテコな試験管を抽出装置に利用することにした。試験管の下の穴の上まで挽かない豆を入れる。その上を中挽きの豆で満たす。こうすることで濾過装置になり、紙や金属や布などのフィルターを利用せずに抽出できそうである。上部に漏斗を取り付けここにも豆を入れて抽出濃度を上げ、滴下する水をこぼさず受けられるようにした。抽出部をどうするかが一番の悩みどころだったが、試験管の長さのおかげで、水が浸透して落ちるまで適当な時間がかかり、珈琲の抽出にちょうど良いようだ。
スタンドの構造
丸い木の板に丸棒を2本立て、丸棒にちょうど通る木製リングを組み合わせて、分液漏斗と抽出部を置くパーツを作った。蝶ネジで固定することで高さを変えられるようにした。
特徴
抽出器にペーパーフィルター、金属フィルター、布フィルターなどの一切のフィルターを使っていない為、抽出エキスを全て取り出すことができる。
ウォータードリップ珈琲の淹れ方
試験管8分目に豆10gを入れる。
漏斗を差し込んで残りの豆10gを漏斗に入れる。
分液漏斗に120ccの水を入れる。
ガラスコックをひねって水を出す。
満遍なく抽出器の豆に水を染み渡らせたらコックを絞って滴下にする。
抽出部の浸透速度にあわせて滴下を調整する。
2時間ほど待つ。
試験管と漏斗の抽出器はちょうど20gの中挽き珈琲豆を入れることができる。試験管は細いが漏斗があるからすんなり入るだろう思っていたら、細くて長い為にすぐに詰まってしまった。有り合わせの道具なので仕方がないがとても豆を入れにくい構造である。抽出器を水が通る速度に合わせて滴下速度を調整するのも結構難しい。ただ、めんどくさくて難しいのも楽しみのうちかもしれない。
テイスティング
豆はドリップ実験を行ったのと同じKALDIのリッチブレンド。
深煎りローストだが、渋みはほとんどない。
苦味も柔らかいが、少しえぐみを感じる。
香りはほとんどしない。
珈琲オイルも感じられない。
全体として柔らかい飲み心地。
熱を一切加えないため、ドリップやフレンチプレス、エスプレッソとは同じ豆でもずいぶん味わいが違う。当初1杯分入れば十分だと思ったのだがやはりもう少し入ると嬉しい。本式のウォータドリップは結構な量を一度に入れることができる、時間がかかるから少しでも多くとりたいと思うのは当然だろう。しかし1杯分だから2時間で済むが、5杯分を出そうとすると10時間かかることになる。いずれにしろ、いつか本式と飲み比べてみたい。
追記
繊細なガラス器の組み合わせなので、洗う時に気を使う。抽出器に入れた豆はなかなか取り除くことができず、とても洗いにくい装置となった。
一杯淹れるのに2時間かかる珈琲。
待つには長い2時間だけど
見飽きぬ姿にいつの間にか時の経つのを忘れ
待つ間も至福の一時となる。
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