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執筆者の写真Yukihiro Nakamura

ドリッパー3種

更新日:2020年3月29日


ネルドリップ、金属フィルタードリップ、ペーパードリップを飲み比べた。


感想

  1. ネルドリップ:バランスの良いすっきりとした味。

  2. 金属ドリップ:ネルに比べ少し粉っぽく感じる。

  3. ペーパードリップ:酸味が強くなった感じ、冷めてもスッキリしている。


今回の結論

  • ネルドリップが一番美味しかった。しかしネルは手入れや後始末がめんどくさい。

  • 金属ドリップは今回初めてでかなり期待したが、少々粉っぽい。

  • 頻繁に飲むにはペーパードリップ

  • たまにじっくりネルドリップを楽しむということになりそうだ。


 豆はKALDIのリッチブレンド。エスプレッソを楽しむために購入した豆であったため深煎りロースト。重厚感のある強い苦味、充実感の高い、深いコクが特徴のブレンド。飲む直前に20gを中挽きにした。最近エスプレッソをよく飲んでいたので、ドリップ珈琲は懐かしい感じがする。ドリップ珈琲は当然なことだが、エスプレッソとは全く異なる味わいがある。どちらが好きかと聞かれると悩ましい。朝はカプチーノ、お昼はまったりドリップを楽しみたい。


 

以下は今回の実験の詳細と補足情報である。


1ネルドリップ

使用した機材

  • HARIOろか布 ネルドリップポット ウッドネック オリーブウッド 1~2杯用 DPW-1-OV

準備

  • ネルを鍋に張った水に浸し、20g程度の挽いた豆を投入し、沸騰させないように湯を沸かし20分程度浸す。ネルのノリ分を落とし、コーヒーの風味を移す。

  • サーバーとカップにお湯を注ぎ温める。

  • ネルを水洗いし、コーヒー豆を取り除き、水分をしぼる。

  • サーバーのお湯を捨てる。

  • 縫い目を外側にしてハンドルに取り付け、サーバーに乗せる。

コーヒーを淹れる

  • 中挽き20gの豆をネルに入れ軽く振ってならす。

  • 中心へお湯を注ぎ、しばらく蒸らす。

  • 中心から「の」を書きながら2投目のお湯を注ぐ。

  • 泡立った盛り上がりがしぼむ前にお湯を注ぐ。

  • 適量のコーヒーが入ったら、ネルを外しカップに注ぐ。

後始末

  • ネルをハンドルから外し、豆を洗い流す。

  • 数回注いだらしっかり絞り、水を張った蓋つきのビンに入れて冷蔵庫に保存する。

  • 適時水を替える。

今回ネルの初おろしだったため、最初の準備がたくさんあるが、今後は水洗いする程度でよい。このネルドリップサーバーは「優しい時間」というドラマで使われていた物に似ている。半分に分かれたオリーブウッドを革紐で閉じたあたりが洒落ている。この形状はケメックスのペーパードリップサーバーも似ている。


 

2金属フィルタードリップ

使用した機材

  • KINTO ブリューワースタンドセット SCS-S02 4杯用 27591

  • ステンレスフィルター(メッキ加工)

準備

  • サーバーとカップにお湯を注ぎ温める。

コーヒーを淹れる

  • 中挽き20gの豆を金属フィルターに入れ軽く振ってならす。

  • 中心へお湯を注ぎ、しばらく蒸らす。

  • 中心から「の」を書きながら2投目のお湯を注ぐ。

  • 泡立った盛り上がりがしぼむ前にお湯を注ぐ。

  • 適量のコーヒーが入ったら、フィルターを外しカップに注ぐ。

 資料では、金属フィルターは抽出が早いとあったが、実際には、ネルドリップより滴下に時間がかかったように感じる。KINTOのドリップスタンドは理科の実験道具のような風合いが面白い。ドリッパーを受ける小皿がついていることや、サーバーやカップなどの高さに合わせドリッパーの高さを調整できるのも嬉しい。


 

3ペーパードリップ

使用した機材

  • コーノ式名門ドリッパー(アクリル樹脂)

  • KONO MD-45 円すいコーヒーフィルター 1~4人用

準備

  • フィルターを折りドリッパーに装着する。

  • ペーパーがドリッパーに馴染むようにお湯を注ぎサーバーとカップを温める。

コーヒーを淹れる

  • 中挽き20gの豆をフィルターに入れ軽く振ってならす。

  • 中心へお湯を注ぎ、しばらく蒸らす。

  • 中心から「の」を書きながら2投目のお湯を注ぐ。

  • 泡立った盛り上がりがしぼむ前にお湯を注ぐ。

  • 適量のコーヒーが入ったら、フィルターを外しカップに注ぐ。

 資料では、コーノ式は蒸らしが不要としているものがあったが、以前喫茶店で教えてもらった方法は蒸らしをしていたため、今回も蒸らしを行なった。結果的に3種類のドリッパーを使ったが淹れ方は同じ方法をとった。


 

補足1:ペーパーフィルタードリッパーのいろいろ


 ペーパードリップもいろいろな方式がある。多くが日本製であることが嬉しい。微妙な違いながらそれぞれに特徴がある。


円錐型

  • コーノ式 名門 ストレートリブ 日本製

  • ハリオ式 V60 スパイラルリブ 日本製

  • ケメックス式  リブなし    アメリカ製

台形型

  • カリタ式 3つ穴式 ストレートリブ 日本製

  • メリタ式 1つ穴式 ストレートリブ ドイツ製

 今回はコーノ式で淹れた。ハリオ式、ケメックス式はコーノ式に似た円錐型であるが、リブ形状(ドリッパーの内側の凹凸)が異なっている。コーノ式はストレート、ハリオ式はスパイラル、ケメックス式はリブがない。円錐型はネルドリップに近いテイストをねらっているようだ。コーノ式は15年前喫茶店でペパードリップの淹れ方講習を受けた時紹介されて購入したもので、古くから多くの喫茶店で使われている。ハリオ式はコーノ式より新しいが、円錐の角度が60度のv60は今や世界中で愛用されている。ケメックス式はリブがないため、抽出時にドリッパーの壁面を抽出液が伝いやすくコツがいる。デザインが美しく、先日(3/26)のアップル・スペシャル・イベントでも、コーヒーコーナーでケメックスのサーバーとハリオのケトルが使用された。今回台形型ドリッパーでは比較していないが、フィリップスのドリップマシンがメリタ式である。学生時代使っていたのがカリタ式だった。


 

補足2:評価について


 評価するためには基準が必要となる。基準となるものに対して、良いとか悪いとか、甘いとか辛いとか、そういったスケールを用いて定量的に物事を判断すれば人に伝えやすい。珈琲を味わうにあたり評価する要素は以下のようなものだろうと思う。

  1. 香り

  2. 酸味

  3. コク

  4. 苦味

  5. 甘み

  6. 風味

コーヒー鑑定士が鑑定する項目。

  1. アロマ

  2. クリーン

  3. アシディティ(酸味)

  4. ボデイ(コク)

  5. アフター

  6. バランス(風味・酸味・コクのバランス)

  7. マウスフィール

  8. スイートネス

  9. オーバーオール

 苦み、甘み、酸味などコーヒーの風味を規定するために「米国スペシャリティーコーヒー協会」(Specialty Coffee Association of America:SCAA)がつくるチャートがある。ゴムやスカンクの悪臭、カビ臭い匂いなど、ありとあらゆる匂いをチャートにしている。


(SCAA参照)


 長らく珈琲に親しんできたが、自分の中に基準がまだできていない。今回はペーパーフィルターは紙の味がするか?という点に着目していたのだが、全くわからなかった。何れにしても、いろいろな珈琲の味を知ることで、わかるようになるのだろうから、ちょっと飲み比べたぐらいでわかるものではない。ああこれ違うなっていう体験があって始めてわかるのだろう。意識して飲み比べるのは初めてであり今回はその手始めである。大した違いなどわからないけれど、良しとしよう。


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