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バドとハイネケン
2026/10/23 学生時代、バイト先のバーにはバドワイザーとハイネケンが置いてあった。そのおかげと云うか、そのせいと云うか、僕はこの二つばかり飲んでいた。片岡義男の小説を読みながら、バドをぐびっと煽る。味はよく分らない。ただ、雰囲気に酔っていたのだろう。そう云うことにしておく。 バドワイザーはアメリカを代表するラガービールで、赤と白のロゴが目につく。ブナの木を使った独自の製法で熟成させるそうで、苦味が少なく、ほんのり甘い。麦芽とホップのほかに米を使っていると云う。米の入ったビールを、ブナの木で寝かせて、それを片手に小説を読んでいたのだから、当時の僕は随分と贅沢なことをしていたわけである。もっとも、本人は何も知らなかった。アルコール度数は五パーセント。 ハイネケンはオランダのアムステルダムで生れたピルスナーである。世界の190か国以上で飲まれていて、ビール会社としては世界で二番目の規模だそうだ。原料は麦芽とホップと水、それにA酵母で、副原料は使わない。A酵母は1886年に見つかったハイネケン独自のもので、ほのかに果物のような香りがすると云

Yukihiro Nakamura
1 日前読了時間: 2分


ソルティードッグ
2026/10/23 ソルティードッグは、学生時代に流行った酒である。サントリーが「樹氷」を売り出した頃のコマーシャルが切っかけだったと思う。グラスの縁に塩をまぶすのが、いかにも洒落て見えた。しかし、そう思っただけで、当時の僕は一度も飲んだことがなかった。グレープフルーツと云う果物にも、まだ出会っていなかったのである。 それにしても、名前が変っている。“塩辛い犬“とは、どう云うわけだろう。調べてみると、船乗りを指す俗語から来ているそうである。甲板で働く男たちが、波しぶきと潮風を浴び、汗と塩にまみれて、犬のように這いつくばって働く。その姿に、敬意と親しみを込めてそう呼んだのだと云う。グラスの縁の塩は、その潮まみれの海の男を表しているのだそうだ。そう聞くと、洒落た酒の顔が少し変って見える。 もともとは、イギリス人の好きなジンにグレープフルーツジュースを注ぎ、塩をひとつまみ入れてシェイクしたものだったらしい。それがアメリカへ渡って、ウォッカ・ベースになり、縁に塩をつける今の形になって、世界中で流行した。塩を抜くとブルドッグと名前が変ると云うのも、

Yukihiro Nakamura
1 日前読了時間: 2分


スクリュードライバー
2026/10/24 スクリュードライバーと云うと、懐かしいような、少し気恥ずかしいような気持になる。学生時代、この酒は女性を口説くための道具と相場が決まっていた。別名をレディー・キラーと云う。ウォッカをオレンジジュースで割ったもので、口当りが良いから、ついスイスイ飲んでしまう。気が付いた時にはだいぶ酔っている。そこで洒落た青年は、バーで彼女のためにこれを註文して、いい塩梅に酔った相手を口説く。そう云う段取りだったらしい。らしい、と書くのは、僕にはその経験がないからである。 由来は至って色気がない。油田で働く男が、ウォッカにオレンジジュースを混ぜようとして、マドラーが見当らなかった。仕方がないので工具箱のドライバーでかき回した。それで、この名前がついたと云う。 学生時代、アルバイトをしていたバーでは、スクリュードライバーを註文する客は一人もいなかった。あまり有名になり過ぎて、かえって頼み難かったのかもしれない。もっとも、僕自身も誰かのために註文したことは一度もない。 半世紀が過ぎて、家で母とそんな話をしながら、スクリュードライバーを作った

Yukihiro Nakamura
1 日前読了時間: 2分


酒その3
2026/10/14 僕はお酒を好きか モヒートを美味しいと思った。きっと他のお酒も美味しいだろうと、ブランデー、カンパリソーダ、ウイスキー、ギムレット、マティーニと試した。そして思うのは、モヒートとカンパリソーダはまた飲みたい。ブランデー、ウイスキー、ギムレット、マティーニはそれほどでも無いということだった。 モヒートとカンパリソーダは甘みのあるアルコール低めのお酒だ。対してブランデーやウイスキーは甘味はほとんどなくアルコールが強い。ギムレットは甘みがあるがアルコールが強く、マティーニは甘くもなくアルコールも強い。 つまり僕は「甘いお酒が好き」だと思っていたが、「甘くてアルコールの低いお酒が好き」だということがはっきりした。 甘くてアルコールの低いお酒は、ジュースとは違う深みのある味わいがある。しかもその甘さは甘すぎてもいけない。ほのかな甘みとほのかなアルコールが美味しいと感じるようだ。 今の所その条件を満たしているのがモヒートとカンパリソーダだった。まだ飲んでいないだけで、美味しいと思うお酒はいくらでもあるに違いない。きっとそれは、

Yukihiro Nakamura
10月14日読了時間: 3分


マティーニ
2026/10/13 マティーニというと、ジェームズ・ボンドが「ウォッカ・マティーニを、ステアではなくシェイクで」と注文する場面がまず浮かぶ。『七年目の浮気』では、マリリン・モンローが出されたドライマティーニを「辛い」と言って、砂糖を入れる。ヘミングウェイはモヒートやダイキリが好きだったそうだが、それでも作品にはマティーニを登場させている。どういうわけか、前からなんとなく憧れていた酒である。 作り方は簡単である。氷と水でカクテルグラスを冷やしておき、ミキシング・グラスにジンとドライベルモットを3対1で注ぐ。氷を入れて20回ほどかき混ぜ、冷えた液体を氷が入らぬようにグラスへ移して、オリーブを添える。度数は35から40パーセントというから、なかなか強い。味はキリッとした辛口で、ハーブの複雑な香りと、爽やかな苦味と、ジンの香りがひろがり、甘味はほとんどないのだそうである。 ベルモットが少ないほど辛口になるらしい。標準はジン3に対してベルモット1、ドライマティーニは4対1、エクストラ・ドライになると7対1で、こうなるともうほとんどジンを飲んでいるよ

Yukihiro Nakamura
10月13日読了時間: 3分


ギムレット
2026/10/11 ギムレットを飲む。ギムレットは、ジンをベースにライムジュースを合わせた、すっきりとした辛口のショートカクテルである。レイモンド・チャンドラーの『長いお別れ』で「ギムレットには早すぎる」という名台詞が登場する。お酒の多くは、物語の中で出会って、憧れのような気持ちを抱いたりする。僕の場合、モヒートだったり、カンパリソーダ、マティーニだった。そしてこのギムレットもその一つだ。名前は聞いたことがあるけれど、実際に飲むことのなかったお酒。 レシピは簡単だ。シェイカーにたっぷりと氷を入れ、ジンとライムジュースを3:1でシェイクして、カクテルグラスに注ぐ。カットライムを添えて出来上がり。今回は、ドライ・ジンにサントリーの「六」(アルコール度数47%)を使用したから、ギムレットのアルコール度数は大体25%〜30%というところか。 母の前でカクテルを作りグラスに注いだ。母もニコニコしている。かつてマスターに教えてもらったシェイク方法は、「氷がシェイカーの底にあたる前に引き戻すように“くの字“に振れ」だった。僕にそんな振り方はできないけれ

Yukihiro Nakamura
10月11日読了時間: 2分


ジャックダニエル
2026/10/10 「ジャックダニエル」を飲んだ。美味しかった記憶がある。かつての感動を楽しみにストレートで一口含んでみたが、「こんな味だったろうか」と首をかしげた。若い頃に味わった感覚と違うのだ。記憶の中の香りはもっと麦臭かった。 これはバーボンというよりウイスキーという感じだ。僕はジャックダニエルをバーボンだと思っていた。法律上の定義を満たしてはいるものの、厳密には「テネシーウイスキー」なのだそうだ。そもそもバーボンという名前はブルボンの英語読みで、ケンタッキー州バーボン郡でトウモロコシを主原料に作られたウイスキーを指す。ジャックダニエルの原料もトウモロコシ80%にライ麦、大麦麦芽だ。……かつてバイト先のマスターに「これはいい酒だぞ」と教えられたあの味が、どうしても思い出せない。 「テネシーハニー」も試してみた。ストレートで舐めると想像以上に甘い。しかし、これが実に美味しい。自分で思っている以上に、僕は甘いお酒が好きになっていたようだ。母も気にいるかもしれない。 ミルク割りもあると知り、テネシーハニーとミルクを1:3で作ってみたが、これ

Yukihiro Nakamura
10月11日読了時間: 2分


酒その2
2026/9/28 我が家はお酒に弱い家系で、両親も僕もお酒に馴染みが薄い。ビールは苦い、ワインは酸っぱい、ウイスキーは舌が痺れる。なんとか飲めるのは梅酒やお屠蘇、赤玉スイートワインのような甘いお酒だ。幾度かチャレンジして玉砕を繰り返し、その経験から、お酒の雰囲気は好きだが、お酒そのものは美味しくない。という感覚を育ててしまった。 学生時代バーテンのアルバイトで、お酒のことを知る機会があったけれど、何も学ばなかった。母と暮らすようになり、夕食にお酒を用意したが、酔った母が意識を失った日から、すっかりお酒を飲まなくなった。でも、母も僕もお酒を楽しめたらいいのにと思っていた。そんなある日「モヒート」に出会った。美味しかった。酔って倒れたり気分が悪くなることもなかった。お酒に対する今までの思い込みがすうっと薄れていった。 コーヒーもそうだった。雰囲気で好きだと思い込んでいた節がある。でもコーヒーについて何も知らない。好きなものは、ちょっと語りたくなるものでもある。そんな思いのまま歳をとり、ついに、色々試して少しは語れそうになって、ようやく理解した

Yukihiro Nakamura
9月27日読了時間: 2分


知多
20236/9/27 サントリーウイスキー知多を飲む。ストレートでちょっと舐めてみた。それからロックでグビっと飲んだ。さわやかでほんのり甘い。それから炭酸を注いでハイボールにした。久しぶりのウイスキーは想像以上に美味しかった。母もハイボールにライムジュースを注いでぐびっといった。 蒸溜所:愛知県の知多蒸溜所 分類:シングルグレーンウイスキー(単一の蒸留所のグレーン原酒のみを使用) アルコール度数:43 風味:ハチミツや和菓子のようなほのかな甘さ、なでらかな口当たり、すっきりとした余韻 おすすめの飲み方:爽快な香りと軽やかな味わいを活かした「風香るハイボール」 楽しみにしていた大相撲が千秋楽を迎え大之里が優勝した。大関昇進をかけた熱海富士も、横綱昇進をかけた霧島も残念な結果となったが、見どころの多い場所だった。今日知多を開けたのは大之里優勝を祝ってということにした。

Yukihiro Nakamura
9月27日読了時間: 1分


カンパリソーダ
2026/9/24 カンパリソーダを飲む。グラスに氷を入れカンパリ1に対して炭酸水3で割った。甘味いかなと思ったら、独特な苦味、風味が立ち上がった。飲み終えた喉越しに微かな甘みが通り過ぎる。 母には、氷を入れたグラスに、自家製の擦りおろして絞った梨のジュースに1:1で炭酸水を混ぜ、カンパリを少量垂らした。梨と炭酸で半透明だった液体がピンクに変わっていく。見た目が面白い。純粋なカンパリソーダではないけれど、梨ジュースの甘味と風味がまざって洒落たカクテルになった。 カンパリの独特な苦味とか風味は、ビターオレンジピールやコリアンダー、シナモン、キャラウェイ、カルダモンなど約60種類のハーブや香草、果皮からきているらしい。配合や原料は公開されていない。ラベルにも添加物:香料と書かれているだけだ。何と言ってもカンパリは鮮やかな赤が印象的だ。かつては昆虫由来の染料が使われていたが、現在は赤102、黄5、青1の着色料が使われている。原産国はイタリアで、アルコール度数は25度のリキュールだ。

Yukihiro Nakamura
9月27日読了時間: 1分


酒
2026/9/13 酒には醸造酒、蒸留酒、混成酒の三つがあるらしい。 果物や穀物をそのまま発酵させたのがビールやワイン、日本酒。それを熱して蒸気を集め、強い液体に仕立てたのがウイスキーや焼酎、スピリッツ。そこに香草や果実を漬け込んだのがリキュールや梅酒だそうだ。 そんな知識は後になって知ったことで、若い頃の私にとって、酒といえばもっと荒々しく、身の置き所に困るような代物であった。 私の両親は酒を嗜まなかったから、実家の食卓に徳利や瓶が並ぶことはなかった。高校を卒業した春、友人の部屋で初めてウイスキーを口にした。胸がカッと熱くなり、世界が少しだけゆがむ感覚は面白かったが、調子に乗って飲みすぎ、ひどい気持ち悪さに襲われた。「酒など小さじ一杯分も飲んでやるものか」と誓ったはずなのに、大学に入ればそうもいかない。コンパで杯を交わし、気取った店のカウンターで、女の子の目を意識しながら「バーボンを」などと注文してみたりした。 やがて飲み屋でアルバイトを始めた。氷を砕き、板わさを切り、エイヒレを炙る日々の中で、ハーパーやジャックダニエル、オールドパーに

Yukihiro Nakamura
9月13日読了時間: 3分


レミーマルタン
2026/9/12 子供のころ、我が家はお酒にまったく縁のない暮らしをしていた。けれど、母は本当はお酒が好きなのかもしれない。ラムを飲み、モヒートというものを知ってから、急にお酒の楽しみを覚えたようだった。 「お父さんは晩年、ウイスキーの水割りを旨そうに飲んでいたっけねぇ」 そんなことを思い出した母が、ぽつりと「ブランデーというのを一度飲んでみたい」と言った。考えてみれば、僕もブランデーというものをちゃんと味わったことがない。そこでさっそく「レミーマルタン」というのを取り寄せ、敬老の日にでも開けようということになった。 折しも、金曜ロードショーで映画の『タイタニック』をやっていた。沈みゆく大きな船のうえで、死を覚悟した紳士が「ブランデーをくれたまえ」と言っている。それを見ていたら、無性にブランデーが飲みたくなってしまった。 僕はさっそくレミーマルタンの瓶を出し、グラスに注いで母に差し出した。なかなかいい香りがする。母はグラスをくるくると回し、そっとひとくち口に含んだのだが、すぐに「あら」と言って目を丸くした。アルコール度数は四十度である。

Yukihiro Nakamura
9月13日読了時間: 3分


モヒート
2026/9/9 モヒートを飲む。ミントとライムの香りがふっと立ちのぼり、喉の奥にほのかなラムの温もりが残る。ストレートで煽ったときのあの舌が痺れるような強烈さはなく、すこぶる心地よい飲み心地である。母はこれがすっかり気に入った様子で、もう一杯おかわりを求めた。 「モヒート」はキューバのハバナで生まれたカクテルで、時間をかけて気長に味わうロングドリンクなのだそうだ。今回はグラスに氷を浮かべ、バカルディのモヒートを注ぎ、同量の炭酸水で割ってから、ライムのスライスを添えてみた。 それにしても、私はいつこの「モヒート」という酒の名を覚えたのだろう。ヘミングウェイか村上春樹の小説で読んだような気がしていたのだが、調べてみると、どうやらヘミングウェイの作品には登場しないらしい。村上春樹の方は『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』の中に顔を出している。しかし、ヘミングウェイを貪り読んだのは二十代の頃であり、村上春樹のその本を手にとったのは六十を過ぎてからのことだ。二つの間には、ずいぶんと長い年月が横たわっている。 私としては、もっとずっと昔にこ

Yukihiro Nakamura
9月13日読了時間: 2分


ラム
2026/9/8 母と映画「風のマジム」を見た。それは、沖縄電力の契約社員からグレイスラムの社長となった金城祐子氏の、南大東島で純沖縄産ラム酒造りに挑んだ実話が基になっていた。見終わった時母が「ラムってどんなだろうね?飲んでみたいね」と言った。映画ではクイっと誰もが美味しそうに飲んでいたのである。 買い出しに出かけた時、ジャマイカ産のラム酒を見つけた。ダークラムと書かれていてアルコール分40%だった。ラム酒とは、サトウキビから作られる蒸留酒で、砂糖の製造過程でできる「廃糖蜜」や、サトウキビの「搾り汁」が使われる。甘い味を想像したが、キリッとした甘くないお酒だった。独特の香りは、どこか懐かしさがある。 ラムはホワイトラム、ゴールドラム、ダークラムがあり、ホワイトラムは 無色透明でクセが少なく、モヒートやダイキリなどのカクテルベースに使われる。ゴールドラムは淡い黄金色で、樽の香りとマイルドなコクが特徴。ダークラムは濃い色合いと芳醇な香りを持ち、ストレートやロック、お菓子作りの風味づけに使われる。村上春樹やヘミングウエイの物語に登場したモヒートや

Yukihiro Nakamura
9月8日読了時間: 3分
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