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執筆者の写真Napple

初めての家

更新日:3月4日

23/12/1


1957年 名古屋

 最初の家は祖母の家だった。離れに父と母と私が暮らし、母屋に祖母と叔母が暮らした。布団ひと流れを敷くといっぱいの離だったが皆でテレビを見た。中庭と日当たりの良い縁側、台所の土間、五右衛門風呂、木の塀。道路向かいに駄菓子屋があって野良犬がいた。近くに川があった。1959年9月伊勢湾台風に襲われ川が溢れ家は半壊し家財は消失した。

1960年 福井

 水害の後始末もままならないうちに、父の転勤で福井刑務所の官舎に引っ越すことになった。引越しがわからずトラックに積み込まれる三輪車を見て取られたと泣いた。名古屋駅で大勢に見送られて向かった次の家は目の前に高い刑務所の壁が聳り立っていた。裏は一面畑で遠くに白山が見えた。雪がたくさん積もり1963年の豪雪では家がすっぽり雪に埋まってしまった。官舎を移動させることになり、一旦二軒隣に引っ越してまた戻るということもあった。家は一戸建てで玄関に3畳の小部屋があり庭も広かった。いちじくの木が毎年実をつけた。母は花やスズメや亀を育てた。行商のおばちゃんのおかげで蟹をよく食べた。


1966年 岡崎

 父の転勤で岡崎刑務所の官舎に引っ越した。刑務所は最初岡崎城のそばに建てられたが時とともに賑やかになり街の外れへ移転する。父が勤務することになった刑務所は街から離れた山の中にあった。あれから半世紀またしても刑務所の周りは賑やかになった。刑務所ができると街は繁栄するらしい。引っ越した時はじゃり道で車が走ると砂煙が上がった。学校まで2kmなど大したことないのだが、当時は永遠に遠く感じた。おかげで丈夫になった。散髪は刑務所でする物だと思っていた。散髪の日は鍵のかかった鉄格子を開けてもらって刑務所へ入った。官舎は二軒長屋で木の塀で囲われ、母は庭で花を育て、カナリヤや鶏や鳩を育てた。僕はオーディオに目覚めギターを弾き始めた。


1974年 岡崎

 父が念願の家を建てた。土地探しについて行き、茶畑だった土地を親子三人で整地した。間取りも一緒になって考え自分の部屋ができた。家の前に高い塀が見える生活は終わりを告げ、散髪も町の理髪店へ行く様になった。父の仕事は転勤がつきものだった。長らく固辞していた昇進を断りきれなくなり、岡崎の家を閉めて岐阜刑務所に転勤することになった。その頃私は大阪の下宿暮らしから就職して浜松の寮暮らしへ移った時で、盆と正月に岐阜の官舎を訪れた。しばらくして岡崎に戻った父は土地を買い足して書斎を作り、母は庭を作り花を育て、私は喫茶店「1.9lの魔法びん」を見つける。岡崎の家が父にとって終の棲家となった。母もそのつもりだっただろう。


1976年 大阪

 大学生になり大阪に下宿した。大阪駅から歩いて行けるところに、先輩の家が経営するモータープールがあり、その一角に古びた5部屋の下宿があった。最初は4畳半の部屋だったが、先輩が卒業すると入れ替わりに5畳の部屋に移った。その部屋は真っ暗で雨漏れがした。同期の友が卒業すると住人は私一人になった。日当たりが良くて雨漏れのしない4畳半二部屋の壁をぶち抜き好きな様に改造して暮らした。友人の多くは在学中に下宿を変わったが、私は同じところに8年暮らし続けた。


1984年 浜松

 会社の寮に入った。朝晩の食事付きビジネスホテルの様な一室に、服とコンピューターだけを持ち込み、オーディオは彼女の妹にあげて、そのほかのものは実家に置いた。秋に結婚して新居を構えるつもりだった。ところが破談になり寮に居着くことになった。50ccのバイクで通勤を始めたが、雨の日が辛く車で通勤する様になる。ひたすら仕事に打ち込む独身貴族のMINIライフが始まった。


1988年 浜松

 いつまでも寮にいるわけにもいかずアパートに引っ越した。冷蔵庫や洗濯機など生活に必要なものを買い新たな生活を始めた。アンプスピーカーモニター、レーザーディスク、マウンテンバイク、天体望遠鏡と趣味に突き進む。


1993年 浜松

 ログハウスを建てた。

季刊誌「夢の丸太小屋」に載る。

 

憧れのログハウス


 19歳の時「平凡パンチ1976WINTER Men’s Catalog」を手に入れた。欲しいものばかりでいつまでも見飽きなかった。

 一番惹かれたのはVANオリジナルの「カーペンターズ・キット」だった。そこには「ハンド・メイド・ハウス」のことが書かれ丸太小屋が描かれていた。

 大学生になり山に行く様になった。平凡パンチに描かれた丸太小屋は森林の中、山を背景にしたログハウスだった。しかし、山ではログハウスを見かけなかった。ログ風に丸太を壁面に貼り付けた家はあったけれど。不思議なくらい実際にログを組んだ家は見かけなかった。構造的には正倉院もログハウスなのだが、平凡パンチに描かれていたような本物のログハウスを求めるようになっていった。

 高校時代「私の部屋」という雑貨店に置いてあったカントリー調の家具が気に入って、鎧戸の付いた壁掛けシェルフやディレクターチェアー、テーブル、ホーローのポットやカップとソーサーを手に入れた。

 浪人時代「1.9lの魔法びん」という喫茶店を見つけ。すてきな外観や店内の雰囲気にいりびだりになり、いつかこんな家に住みたいと思った。

 アンティーク好きも相まり、住に対する指向性が絞られていく。大学生になり四畳半の下宿に住むようになった頃、部屋のコーナーをイメージでまとめるようになる。見せる収納だ。その頃の感覚は今も続いている。映画で見る海外の住宅にも憧れた。そう言った断片がミックスされて好みが形成されていった。


 現実にあるものでイメージを形にしてゆく。壁一面を本で埋めるイメージを実現するために、下宿の廊下に放置されていたタンスの引き出しを引き抜き、間に仕切りをつけて、壁に打ち付け本棚にした。読み終えた本が増えるたびに、引き出しを引き抜き追加して、いつしか壁一面が本棚になった。


 社会人になり市が主催した住宅セミナーに友人と参加した。家の構造、種類、建築方法や資金繰り、地震に備えた地盤の固い土地のことなどを教わり、実際にマイクロバスで市内を周回し、建築中の住宅を勝手に見ながら、問題点を教えてくれた。家を建てることになった地区の地盤が硬いこともその時知った。

 市が造成したテクノポリス計画で社屋を建てた会社が、社員の宅地を斡旋した。やもめだったが一挙に家を建てる機運が高まり、兼ねてから憧れていたログハウスを建てるために調査を開始した。輸入住宅も惹かれるものがあったが、建てられるなら、ログハウスを建てたいと思った。調べてゆくと、純国産のログハウスメーカーが隣町にあることがわかった。会社が終わると通い詰め、法的なことや金銭的なことを具体的に相談に乗ってもらった。希望する区画を射止め、建築条件もパスして、ログハウスを建てることができた。

 父の好みだろうと思っていたログハウスだったが父は反対だったらしい。母が賛成してくれたおかげで建てることができた。そんな母はログハウスに暮らすようになった。

 

家に魔法を


 我が家は時と共に熟成して行く。長い間魔法をかけてきた甲斐があったというものだ。せっかくだからもっと魔法をかけよう。

部屋の構想

  1. 喫茶店の様な

  2. 本屋の様な

  3. 工房のような

  4. アトリエの様な

  5. 書斎のような

  6. リスニングルームのような

  7. 映画館のような

  8. カジノのような

  9. 研究室のような

外観の構想

  1. 魔法のかかったような

  2. 森の山小屋のような

  3. 喫茶店のような

  4. ガレージのような

 

家を作るなら(覚書)


 また家を建てるときのために思いついたことをメモしておく。今の家で実現できることもあるから、そこらへんも含めて夢を具体的にしてゆく。


場所選びが大切

 どうせ住むなら見晴らしの良いところに住みたい、友人もそばで見晴らしもいいとなるとやはり奥浜名湖。例えば西気賀の浜名湖を見渡せる半島はいいかもしれない。浜名湖にこだわらなければ鎌倉の富士が見えるところに憧れる。しかし実際に住んで新都田は災害にも強く良いところだと見直している。毎年の災害を見るにつけ住む場所は災害に強いということを最優先すべきだ。町内の音楽ホールの向かいに広い土地が空いている、できればもう少し広い土地にゆったり立てられるといい。


ログハウス

 建てるならば迷わずハンドカットのログハウスを建てたい。二階建てをイメージしていたが、歳とともに平家にしようかと思い始めている。


間取

  1. ゆとりのある玄関:(ファサードデザイン)玄関先に庇があって、お客さんが雨に濡れない。入り口にライティングビューロを置いて訪問者の応対ができるゆとりのある玄関にしたい。

  2. 吹き抜けのリビング:ちゃんとした煙突を作って、ホールに薪ストーブを置こう。バーコーナー(お酒と止まり木)とか照明が決め手かも。ホームシアターを兼ねて、えり抜きのオーディオと生演奏ができるようピアノやウッドベース・ドラムセットが置いてある。チケット売り場や売店コーナーも作っちゃう。ビリヤード台を置き、ダーツやチェス、ジュークボックスが傍にある。喫茶店のような空間

  3. キッチン:アイランドキッチンに作業スペースをしっかり取りたい。そもそもキッチンを家のどこにレイアウトするかが悩みどころ。キッチンツールを見せて収納したい。

  4. ベッドルーム:広くて日当たりも良く、見晴らしが良い(浜名湖か富士山が見える)、リスニングルームでもある。

  5. ウォークインクローゼット:ベッドルームに繋がったウォークインクローゼット。とにかくたくさん棚や引き出しがあって鏡がある。

  6. 見晴らしの良い風呂:ジェットシャワーや泡風呂・檜風呂。とにかく居心地のいい風呂を作りたい。

  7. 広さに余裕のあるトイレ:居心地のいいトイレは広すぎず狭すぎない。

  8. 客部屋:友人が泊まれる部屋があるといい。そこにはベッド・ライティングディスク・オーディオ・額を飾る。ホテルの一室の様な部屋。

  9. 図書室・書斎:四方が天井まで書棚、歴代のアップル製品やカメラ時計なども陳列。

  10. 工作室・工房:ドリルや丸ノコなどの工具があって、家具などを作る作業台がある。そんな部屋もいいが移動できるワークベンチに工作道具を詰め込んで、どこでも製作ができる様にするのもいいかもしれない。

  11. ガレージ:スナップオンの工具セットがあるガレージ。新旧MINIとケーターハムスーパーセブン・ベスパ・自転車などを格納。家を嵩上げして下をガレージにしたいと思ったこともあるが、だんだんガレージハウスを家の横に併設しようと思う。

  12. 地下室:外国の映画に出てくるような地下の納屋というか作業スペースというような空間。ワインセラーもあると素敵だが、あまりワインは飲まないから、ワインを飲む様にするか、ワインセラーはいらないかどっちだ?

庭のこと

  1. 土地の周囲:道路や隣家からある程度距離があるといい。

  2. 庭:芝生とイングリッシュガーデン

  3. シンボルツリー:何がいいだろう。

  4. アプローチ:玄関までちょっとした林間になると素敵。玄関前にロータリーがある。

  5. 内庭・坪庭:屋敷全体がロの字で、内庭があり、周辺の客間や風呂・トイレから坪庭がみえる。家の内外にちょとした路地裏的な空間を作る。

設計のポイント

  1. 設計してもらおう:土地探しから、家の設計、空調や配線の引き回し、オーディオルームの設計、庭の設計、トータルで設計してもらう。

  2. スマートホームを盛り込もう:現在利用できるioT機材・家電を盛り込んで、照明や空調、表示、セキュリティーを取り込みたい。

    1. 照明のオンオフ

      1. ホームキット対応電球でコントロールするか、スイッチをコントロールするか

      2. 灯りは基本電球色のLED

    2. 部屋の監視

      1. 監視モニター

      2. 対人センサー

      3. 開閉センサー

      4. 気象センサー(温度・湿度・雨量・風向風速。その他)

      5. 電力モニター

    3. お掃除ロボット

    4. スマート・ロック

    5. 家電の連携

      1. エアコン

      2. 扇風機

      3. シーリングファン

      4. カーテン

      5. 冷蔵庫

      6. 洗濯機

      7. 炊飯器

      8. AV

  3. メンテナンス:部屋を綺麗に保つ工夫、掃除のしやすさ、外観の時間変化を考慮した設計、庭を綺麗に保つ工夫、メンテ経費を見積もっておく、メンテナンスを依頼できる長く付き合える所とのおつきあい。

  4. 収納:買って来たばかりの消耗品や食料品を置く一時置き場。布団や季節ものの保存場所。物を運び込む導線も使い勝手良い配慮を。小物や段ボール箱をしまう場所も作っておけ。

  5. キッチン道具のレイアウト:換気扇、コンロ、シンクのレイアウト、冷蔵庫、炊飯器やオーブン、コーヒーメーカー、鍋やフライパンの使いやすく美しいレイアウト。調味料や食材の置き場所も重要。

  6. 家具のレイアウト:基本はカントリーファニチャー、多すぎず邪魔にならない配置。掃除がしやすいことも必要。

  7. 本箱:くくりつけの本箱

  8. 食器の収納:見せる収納と使いやすい収納を兼ね備える。

  9. 仏壇・神棚置き場:仏壇の部屋を用意する?収納にする?

  10. 観葉植物:家の中に木が植わっている感じも捨て難い。

  11. 室外機のレイアウト:アンテナ、エアコンの室外機、湯沸かし器の室外機の設置場所と設置方法(見えない工夫)

  12. ゴミ箱の位置:キッチンなどゴミ箱を綺麗にレイアウトしたい。

  13. 物干しの場所:室内の物干し、外の物干し、邪魔にならず使いやすいところを用意する。物の移動がしやすいよう導線に配慮する。

  14. 焙煎機を置く:電源と煙突が必要

  15. エコの検討:発電、風通し、ゴミの再利用などできることがあれば取り込みたい。

  16. 音響のレイアウト:どの部屋(風呂・トイレを含む)でも音楽が聴けるスピーカーをレイアウトする。

  17. 冷暖房:家全体の効率の良い空調、床暖房、ヒートショック対策、洗面、トイレ、風呂の空調。効率をよくする窓。

  18. 災害対策:くくりつけの家具にすることで転倒防止。そもそも災害に遭わない場所を選ぶべきだが、美しい景色を求めた時、折り合いが必要になり、対策が必要となる。浜名湖が見える場所だと、津波洪水を避けられる高度が必要だし、景色を求めると崖の上が思い浮かぶから、崩れない対策が必要だ。

  19. セキュリティーは必要だろうか:セコム?、アルソック?、etc.?、対人センサーとかモニターの設置で自分で管理するのもあり。

インフラについて

  1. のインフラ整備(配線、空調、床暖)取り回し:コンセントの位置を家具や家電の位置を事前によく検討して決めて、余分なコードなどが見えないように配置。無粋な空調の吹き出しなども目立たないようにレイアウト。照明などのスイッチ位置もよく検討すること。配電盤の振当ても考慮すること。現在の家はリビングとキッチンが同じ配電盤につながっているため、全体の容量は足りているが、リビングで電気暖房気を使い、キッチンでトースターを使うと、ブレーカーが降りてしまう。アースが取れるようにしておこう。

  2. 家のインフラ整備(電気、ガス、通信、上下水道、水はけ、雨水の枡位置):外部からの取り込みを一箇所に集め、メータ類の確認のために敷地に深く侵入しないでも良い様な配置。上下水道の管理口は電気などの管理口と同じところに置き、枡は車などが置かれない位置にする。特に水はけは重要だ、水たまりができないようにしたい。洗濯機用の水道も温水が使えるようにすべし。室内のすべての水道は、温水も使えるようにした方が便利だ。カランの使い心地も吟味すべし。温度設定ができて、長期使用に耐えれれるものを使うこと。


追加設備

  1. 発電と蓄電:屋根に太陽光パネルを設置したくはないが、何らかの方法で太陽光パネルと蓄電設備を連携したシステムを構築する。窓に貼るタイプの太陽光パネルなんかもいいかもしれない。

  2. 天体観測:天体望遠鏡を格納するドームみたいなものが作れたら最高だ。

  3. ツリーハウス:シンボルツリーにはツリーハウス。母屋のから吊り橋がかかっている。



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