2025/3/14

ハンドパンは、2000年頃にスイスの楽器会社が開発した。カリブ海発祥のスティールパンをもとに、インドのガタムやインドネシアのガムランの要素を取り入れて作られた。
形は独特で、横から見るとアダムスキー型円盤のようだ。金属の円盤にいくつもの凹みがある。これが音盤で、それぞれが調律されている。ヘルムホルツ共鳴の原理を利用しており、叩けば豊かな響きが生まれる。音は三倍音のハーモニクスを含み、柔らかく澄んでいる。手で軽く叩くと、穏やかな音が響く。マレットを使うと、スチールパンのような雰囲気も味わえる。
大きさは3種類。53cm、50cm、そして45cm。手元のものは45cmのミニサイズだが、音の響きは十分に深い。タンクドラムに似ているが、音はまったく違う。タンクドラムの美しい音色もいいが、これはまた別の趣がある。
膝に抱え、両手をそっと置く。指先で軽く叩くと、思いがけない音が返ってくる。場所を変えれば、また違う響きがする。初めはゆっくり、やがてリズムを試したくなり、気づけば音の中にいる。どう叩いても、どこかしらしっくりくる。音を探っているうちに、いつしか自分の気持ちを探っていた。
2025314ハンドパン ハンド
2025314ハンドパン マレット
2025/3/15
ヘルムホルツ共鳴の原理
ヘルムホルツ共鳴とは、空洞を持つ物体の内部で空気が振動し、特定の周波数で共鳴する現象である。瓶の口を吹いたときに「ボー」という低い音が鳴るのが、その典型的な例である。
仕組み
ヘルムホルツ共鳴は、以下の要素によって決まる。
空洞の大きさ:空気がためられる空間の容積
開口部の大きさ:外部とつながる穴の直径や長さ
空気の圧縮・膨張:開口部を通じて内部の空気が出入りし、振動すること
ハンドパンの中央には「グー」と呼ばれる窪みがあり、楽器全体が共鳴する構造となっている。底面には空気が出入りするための穴(ポート)があり、これによってヘルムホルツ共鳴が発生する。叩くことで金属板が振動し、それに伴って内部の空気も振動し、深く柔らかい音色を生み出す。
この共鳴構造によって、ハンドパンは単音であっても倍音を豊かに含み、独特の幻想的な響きを持つ楽器となるのである。
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「単音であっても倍音を豊かに含み」とは、ハンドパンの特性上、一つの音を叩いたときに、単一の周波数(基音)だけでなく、その整数倍の周波数を持つ倍音(高次の音)が同時に響く状態を指す。
具体的な状況
一般的な楽器(例えばピアノやギター)では、特定の音を出すと、その音(基音)に加えて、かすかに高次の倍音が響く。ハンドパンも同様だが、特に以下の点で倍音が豊かに響く仕組みになっている。
三倍音(完全五度上)の共鳴
ハンドパンの各音盤(ノート)は、基音だけでなく、その三倍音(完全五度上)も強調されるように調律されている。例えば、C3の音盤を叩くと、その三倍音であるG5も同時に鳴る。
ヘルムホルツ共鳴による低音の増強
本体全体が共鳴するため、叩いた音に対して低音域の共鳴が付加され、音に深みが生まれる。
金属板の特性による広がり
金属製の音盤は、叩いた際に細かい振動が発生し、隣接する音盤や楽器全体に響きが広がる。その結果、単音を鳴らしても周囲の倍音成分が共鳴し、より豊かな音になる。
実際にどう聞こえるか
ハンドパンを叩いたとき、単に「ドン」「ポン」という単純な音が鳴るのではなく、
基音の響き
高次の倍音(特に三倍音)
楽器全体の共鳴による音の広がり
これらが重なり合い、まるで音が空間に溶けるような、神秘的な響きを生み出す。これが「単音であっても倍音を豊かに含む」という状況である。