2025/3/3

2016年の夏、友人と浜松の楽器博物館へ出かけた。「音楽と革命」と題された企画で、テルミンの演奏を聴くことができた。ついでに自分でも試してみたが、これがなかなか難しい。手を宙にかざして音を操るというのは、思った以上に加減がむずかしく、意のままにはいかないものだった。
テルミンは、1920年にロシアの物理学者レフ・テルミンが発明した、世界最古の電子楽器のひとつである。演奏者が楽器に触れずに音を奏でるという、少し突拍子もない仕組みになっている。その浮遊するような音は、「地球の静止する日」(1951)や「惑星ソラリス」(1972)、「フィフス・エレメント」(1997)といった映画に使われている。私は「禁断の惑星」(1956)の音楽もテルミンに違いないと思っていたのだが、あれはテルミンではなく、電子回路を駆使した「電子トーン・ポエム」という手法だそうだ。
電子楽器というものは、どこか現実離れしていて面白い。シンセサイザーもそうだが、音の出る理屈はわかっていても、いざ自分で操ろうとするとたちまち手に余る。それでもつい試してみたくなるのは、そのユーモラスな魅力のせいかもしれない。
Stylophone Theremin は厳密にはクラシックなテルミンではなく、テルミン風の演奏ができる電子楽器だ。一般的なテルミンのように、手をかざして音程を操作する機能に、リバーブやディレイのエフェクトをかけたり、スライダーによる音階操作などの追加機能がある。見るからにチープな電子装置的な外観が気に入っている。
202533テルミン
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