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初めてのシンセサイザー

執筆者の写真: NappleNapple

更新日:3月7日

2025/2/21



 冨田勲の「火の鳥」それが、シンセサイザーとの出会いだった。未知の音、無数のツマミ、絡み合うコード。そんな世界に魅了された。「初歩のラジオ」に掲載されたムーグ・シンセサイザーの回路図に胸を躍らせ、「いつか作りたい」と夢見ていた。


 大阪駅前第一ビルにシンセサイザーのショールームを見つけたとき、運命のようなものを感じた。そこには「Roland」と書かれていた。その頃はまだ国産メーカーということも知らなかった。


 パッチコードやメーター、オープンリールデッキが並ぶ光景に心を奪われた。つまみだらけの未来的な機械たち。それが、目の前にある。しかし、憧れと現実は必ずしも一致しない。ショールームでシンセサイザーに触れてみたものの、音を出すことすらできなかった。


 ところがRolandに入社できたのだ。それは、夢か奇跡だったかもしれない。


 鍵盤が弾けない者にとって、宝の持ち腐れなのはわかっていた。ましてや音作りの知識もないのだから、なおさらだ。けれど、憧れというものは、そうした障壁とは無関係に膨らんでいく。シンセサイザーにさわりたい一心で、社内販売で機材を手に入れた。


手に入れた機材たち

  1. SYSTEM-100 – モジュラー・シンセサイザー

  2. SYSTEM-100M – コンパクトなモジュラー・シンセサイザー

  3. GR-500 – ギター・シンセサイザー

  4. RE-201 – スペースエコー

  5. JC-120 – ジャズコーラス・アンプ

  6. Rhodes mkI 73Keys – エレクトリック・ピアノ

  7. DSP-1000 – デジタル・シグナル・プロセッサー

  8. etc.



 憧れ続けた機材たちが、今、目の前にある。しかし、すぐには音が出ない。でも嬉しいから、試行錯誤する。あれこれ試しているうちに、ようやく音が出た。感動した。もっと音を出したいと思った。……だが、そこまでだった。鍵盤を弾けないから、思うように演奏することができなかった。それでも、機材を眺めているだけで満たされた。やがてコンピューターを繋げ、音を鳴らそうと思うのだ。ところが時代はコンピューターそのものが音楽を奏でるようになる。


 オープンリールデッキやアナログ・シンセサイザーは姿を消した。そして新たに迎えたのは、音階を持たない楽器たち。ディジュリドゥリケンべカホンといった楽器だった。それらは居場所を得て、生き残った。


 時が流れ、やがて再びシンセサイザーがやってくる。


 それは、手のひらサイズのアナログ・シンセサイザーだった。2つのオシレーターを搭載し、悩まなくても音が出る。ツマミを回せば音色が変わり、リボン・コントローラーで簡単に演奏できる。それはRolandではなく、KORGの製品だった。


 ようやく私は気づいた。自分に扱える楽器がどんなものか。音を楽しめばいいのだ。


2025222シンセサイザー


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