2021/11/9
「1.9ℓの魔法びん」は学生時代にかよった喫茶店の名前だ。三角屋根に鎧戸の付いたアーチ型の窓があるその店はそこだけ魔法にかけられたみたいだった。店に入ると天井から白熱電球がぶら下がり、壁には動かない柱時計やドライフラワー、訳のわからない絵が飾られ、真空管ラジオや古めかしい扇風機が床に置かれていた。カウンターには小さな木の椅子が並び、緑に塗りつぶして絵が描かれた洋酒瓶や、妙な形に捻じ曲げられたビール瓶が置かれ、テーブルには灰皿と徳用マッチとスタンドと花が活けてあった。珈琲を飲みながらゆっくり時が過ぎるのを楽しんだあの時、私の中に大切な何かが形成された。
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お店はこんな感じだった。
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東海道本線の岡崎駅から西尾街道を南へ20分ほど歩いたところにあった。
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最初はお店のノートにちょっと落書きしただけだった。そのうち山でのことを書いたりコーヒーカップやお店の風景をスケッチをするようになり、気がつくと彼女のことばかり書いていた。過去の自分を眺めたり、未来の自分が今から書き残す戯言をどんな気持ちで眺めるのだろうと、そんなことを思いながら珈琲を啜った。それは半世紀も昔のことだけど、落書きを書き写したノートを開くと蘇ってくる。
1976年
6月16日水曜日
久しぶりに岡崎に帰ってきました。一番にこのお店へ来ました。家にも帰らず、ここへ来ました。ルシアン飲みました。友人達は元気だろうか。私は19歳ワンダーフォーゲル部1回生、夏に北アルプスへ行きます。
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6月18日金曜日
友人と三人で来ました。H君が不思議な算数を語り出した。
x=1 とおく
両辺にxをかけると
xの2乗=x
両辺より1を引くと
xの2乗-1=x-1
左辺を因数分解して括ると
(x+1)(x-1)=x-1
両辺を(x-1)で割ると
(x+1)(x-1)(x-1)
——————- = —-
(x-1) (x-1)
約分すると
x+1=1
x=1を代入すると あれれ?
2=1
となってしまった。
H君が得意そうな顔で笑っています。x-1で割り算をするのはなんらおかしくないのですが、最初にx=1と置いていますから数学的に禁じられている0で割っているためこんなことになるのです。とはいえちょっぴり不思議な気がします。
友人T君の落書き
コンニチハ、2回目の登場です。友人がはるばる大阪から家へ金をせびりに戻ってきたので、H君と学校をサボってやってきたのであります。二人でとろい遊びをして僕をからかっているのであります。
7月のある日
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7月9日水曜日
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彼は 扉を開けた ほんのり暗い店の中
彼は 入口の椅子に座った この店の中で一番明るいところ
彼は 窓から西日のさすこの席が一番好きだった
今日は紫色の花が綺麗だ
彼は その花の名前を知らない
「ミルクを1つください」
「ほっとにしますか」
「いいや冷たいの」
彼は タバコをろくに吸わないのにショートホープを一箱
彼は タバコの煙の行方を追うのが好きだった
特級品 ABC印マッチ
彼は このマッチの箱が好きだった 下宿にもおこう
この席が一番いい
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1977年
3月29日火曜日 晴れ
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11月5日土曜日
鳥海山に登ってきました。帰りに金沢の先輩の実家に寄りました。先輩のおじさんおばさんに会ったら岡崎の家へ帰りたくなりました。今日はジュニア珈琲とマイルドセブン。
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1978年
1月9日月曜日
あけましておめでとうございます。窓の外は風が吹いちょる。乗鞍から帰ってきました。雪の中での生活は寒くて苦しいものですね。スキーもちっとも上手くなりません。今年の春は大雪山へゆくのです。本日バーボン珈琲&マイルドセブン。
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気まぐれに放り込んだ「めんこ」と「ビー玉」が瓶の中にいつまでもある。
1979年
6月3日日曜日
PM7:15 晴。昨日、久しぶりに彼女に会えたのにしっくりしなかった。バイトに行っても滅入ったまま。今朝0時にバイトを終えて下宿に帰ったけれど眠れそうになかった。気分を紛らわせるために深夜映画「俺たちに墓はいらない」「その後の仁義なき戦い」を見に行った。なんだか余計気をめいらせて映画館を出ると夜は明けていた。突然何もかもがどうでも良くなってしまった。山にゆく気にもなれない。どうしよう・・・。そうだ岡崎に帰って「1.9ℓの魔法びん」へゆこうと、朝一番の新幹線に乗って大阪の街から逃げてきた。家には親父もお袋もいなくて、いつの間にか寝てしまった。目が覚めてここへきた。俺には逃げ帰るところがある。
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あと1週間で満月。今日は差し詰め半月というところ。上昇期にある。心の滞りもあと1週間もすれば晴れるのだろうと月夜を見上げる。本日は小倉トーストとウインナ珈琲。テーブルの上のピンクの花は一体なんて名前だろう。相変わらずテーブルの上の小瓶には俺が放り込んだビー玉とメンコが入っている。
8月4日土曜日
曇りのち雨のち曇り。今朝起きた時は南アルプスの麓、奈良田温泉にいました。4回生になった俺はオブザーバーとして、7月20日に大阪を出発して8月4日奈良田温泉で解散するまでの18日間、約90kの道のりを後輩たちの後ろで見守ってきました。かつて1回生だった時は真っ先に怪我をして脱落し、2回生3回生の時も誰かが脱落したものでした。今年は一人の脱落者も怪我人も出すことなく大成功です。
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雑記帳に友人がメッセージを残していてくれた。感激。本日はメキシカンココア&小倉トースト&ショートホープ。
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8月8日水曜日
いつも花の名前はわからない。オレンジ色の花が3つ。まあるいテーブルの片隅にチョンと置かれている。明日大阪に帰ります。
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11月11日日曜日
PM0:45。どこまでも空は青く澄んでいる。11月10日が両親の結婚記念日だったと思って帰ってきたのでありますが、11月4日だったようであります。銀婚式を迎えるそうで、おめでたいことです。ちなみに10日はお袋様の誕生日でありまして、4日は結婚記念日とともに親父殿の誕生日でもあります。三揃を着て帰ってきたのに親父殿は出張でおらんのです。
岡崎に帰るたびにこのノートを見るのが楽しみです。友人たちからのメッセージがあるのです。この「1.9ℓの魔法びん」は俺たちのちょっとした連絡中継所みたいです。K君は張り切って仕事してるみたいだし、Y君も今年は頑張って仕事を探している。T君はお巡りさんになったはずだし、M君は何を東のハズレの街でしているのでしょう。そうそうY君は彼女をここへ連れてきたみたい。本日はルシアン珈琲&セブンスター(ショートホープがないのです)。
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1980年
1月5日土曜日
PM1:00 晴れ。Y君から「1.9ℓの魔法びん」に電話がかかってきた。びっくりです。今から蒲郡まで会いにゆくことにしました。本日もルシアン珈琲。
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1月5日土曜日
PM6:35。本日はここにくるの2回目です。Y君と彼女と一緒です。俺もあいつに会いたい。本日は黒パントースト&のり茶・こぶ茶・うめ茶でした。
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3月23日
誕生日という日。岡崎にゃVANのファンが多いですね。俺もVANのパンツとTシャツの上に、VANのボタンダウンシャツを着て、VANのブレザーと綿パンを履いて、ソックスは3足1000円、リーガルのコインローファーをつっかけております。VANのTシャツはいいけれど、パンツはすぐにのびちゃう。BVDもあんまし良くないし、最近はニチイのガラパンに凝ってます。
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「☆ひさしぶりにお目にかかりましたYUKIくん、お誕生日おめでとう1.9ℓ」
とお店からのコメントが書かれていて嬉しかった。
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23歳になった。
4月10日木曜日
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雑記帳に登場するサインペンのにいちゃんの絵が気に入ってます。「ホウ!引き分けたかー猪木がのおー」なんと渋いセリフではありませんか。
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4月12日土曜日
なんとなく良い天気。彼女との沖縄旅行をお袋に聞き出されてしまった。「もうしたんか?」だって。俺はあんまり大ぴらに聞くもんで「ウン」と答えてしまった。するとお袋は「それはよかった、泣かすんじゃないよ!」だって。大変驚いてます。本日アメリカン&ショートホープ、片岡義男の「人生は野菜スープ」を読みながら。
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6月15日日曜日
PM5:00。オリーブは素敵な名前です。[O]と[I]を入れ替えると[OLIVE]→[I LOVE]。
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6月19日木曜日
晴れ。今日は本当にいい天気。お店を閉めてみんなで遊びにゆきましょう。
と書くと
「M.Todachi ☆できるものなら私たちもそうしたいです。」
とお店のメッセージ、ちょっと申し訳ない気分。
上と同日
ややくもりPM4:30。アメリカンのカップが大きいので嬉しい。いっぱい入るから。なかなかなくなんないよ。ホットで頼むといつもホットと冷たいのが飲める。1杯で2杯分お得な飲み方。ゆっくり飲むのです。明日は彼女の教員試験がある日です。明日は1日お祈りをするのです。
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K君は最近ここへ寄らないみたいです。仕事が忙しいのでしょう。やっぱり卒業して仕事や結婚という友人を見ると焦ります。23歳になり、まだ、大学でウロウロしている俺。いったい23年間何をしてきたのでしょう。友人のことを考えると焦っては見るものの、すぐそんなこと忘れて、まあいいや、俺は俺だもんなどとも考える。しかし、やっぱしK君たちに会うとなると照れ臭い「お前何やってんだ!」の一言がとっても辛い気がして、電話の1本もできません。
7月15日火曜日
久しぶりに気持ちの良い天気です。岡崎へ帰りました。帰ってきてびっくり、Y君が結婚するのだそうだ。本当にびっくりです。早速K君にも教えてあげよう。俺も早く大学を卒業て結婚したいよ。本日はアメリカン&ハイライト。
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7月26日土曜日 PM2:10
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8月9日土曜日
PM5:45。西日の差し込む1.9ℓ、ふと彼女の顔など思い浮かべて口元がにやける。もう岡崎も秋の色です。
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8月12日火曜日
とっても晴れ。明後日彦根で彼女にあう。
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8月13日水曜日
PM6:00 。とっても青空ちょっぴり白雲。電話しようかな。今頃は家かな、店かな、勉強かな。10円玉1枚ではろくに話もできない。声を聞くだけでもいいんだけど。緑色の電話ボックス。薄汚れてるくせになんとなく落ち着く。今日はやめとこ。明日会えるから。
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8月16日土曜日
PM4:00お日様さんSun。本日バター珈琲&セブンスター。
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(8月14日木曜日の回想)
家を出る頃空はどんより曇ってて、でも傘は持ってゆきたくないなあと、バス停へ歩く頃にわかにサーっと雨が降り出した。びしょ濡れになって名古屋へ、そして新幹線にて米原へ。なんとなく電車の中で乾いていた。
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8月18日月曜日
雲量9 PM3:00。ああ、風呂上がりのような髪の香り。上弦の月のような瞳。ちょっと上向き加減の鼻。並びの良い白い歯。優しく微笑む唇。イヤリングの似合う耳。すらりとのびた顎。うなじの真ん中にホクロが1つ。壊れてしまいそうな肩。日に焼けた両の腕。編み物をしたりケーキを焼いてくれる手。ちょっと荒れてる指。俺より長い足。本日カフェ・アメリカーノ&セブンスター(ショートホープがなかった)。
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ひがな一日オーバーオールに下駄なんぞをつっかけて、ぶらぶら、昔通った小学校や中学校へ足を向ける。メンコを買った駄菓子屋の前を通り過ぎる頃、サーッとにわか雨がやってきた。農家のガレージに雨宿りすると、近所の子供達も遊びの最中に降られたらしく、慌てて駆け込んできてにっこり笑う。しばらくは蝉の鳴き声もかき消されるほどにザーッと降る雨も、ふっと気が抜けたように立ち去って行った。雨の最中にも日がさしていた、狐の嫁入りかな。雫をたっぷり含んだ夏草を踏みながら、畦道に入ると雲からひょっこり顔を出した太陽が、なんだか急に周りの景色をボーッと霞ませる。草木や稲の穂についた雨の雫が、一斉に太陽の光を吸い取って笑っているようだ。そんなキラキラと宝石を散らべたような光の中にポツンと黒い点が現れた。スーッと目の前へやってくるとくるりと弧を描いて飛び去った。ツバメだった。突然なんとも言いようのない感情が心を満たした。雲が動いている。空高くなんともゆっくりと移ろってゆく。雲の隙間から差し込む日の光の筋。ただそれだけのことだけど。一生懸命鳴き争っていたセミが鳴き止む瞬間、不器用に別の木へ向かう蝉を見つめている時、ふと周りの全てを忘れて、ボーッと見つめている、そんな一時が例えようもなく素敵に思える。そんな自然の出来事にふと心を奪われた時の気持ちは、まるで恋人のそばにいる時の安らぎと、ときめいた気持ちに似ている。もしそうなら、恋人と感じるものは愛に違いないから、自然の中でふと感じたこの気持ちも、自然への愛であり、自然が愛してくれたってことかしらんと思う。
8月19日火曜日
雨が2〜30粒。お客が来る度に、席を譲らなくていいかしらんとチラチラお店のお姉様をすまないねえという目で見つめながら、結局一度として席を譲ることもなく一人で大きなテーブルを占領している。「気にしてませんよ、ごゆっくりどうぞ」というお店のお姉さまの言葉に、甘えて絵を書いたり、1杯のコーヒーを啜り、タバコをふかして、取り止めのないことを考える。こんなことしてていいのかしらんと思いながらも、何よりもこうしていることが一番いいんだって気がする。あいつはこんな俺をどう受け止めてくれるだろうと考えます。やらなくてはいけない事とか色々あるけど、そういう現実的なことじゃなく、俺はこのままでいいのだろうかと訝しんだり、俺は俺なのだからなどと宥めたり。やっぱりあいつは、こんな俺をどう思うだろうと心配するのです。
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8月30日土曜日
今日も雨が降っている。下宿の部屋は大丈夫だろうか。そのうち朽ちた天井がどさっと音を立てて落ちてきそうだ。さあて今日は何をしようか。なんとなく街に出てみたい。別に何が欲しいというわけでもないけれど、フラフラしたくなる。本当はそんなことじゃなくて、勉強すべきなんだけど。そういった極めて基本的な自制心と、強迫観念がかろうじて、本来無軌道で放浪性の強い俺をなんとか思いとどめさせている。これから先のことを一切気にしないで済むなら、どこまでも一つのところにとどまらずにフラフラ歩いて行ってしまいそうだ。それができずに妥協しながら悶々としている。今一番すべきことはわかっているけど、さして重要でもないことをしている俺。いっそのことフラフラしたいなら、心配など忘れてフラフラすればいいのに。それができないならフラフラしなければいいのに、どっちでもない。うーんちょっと違うな。例えば、おもちゃ屋を覗いても心から欲しいと思うものが少なくなったのが変なんだ。かつておもちゃ売り場は宝の山で、夢の国そのものだった。今でも多分にそうだけど、やっぱり何かが違う。最近どうかしている。
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11月10日土曜日
AM7:46発東京行きひかり車中にて。今日も寝ていない。いぜんも寝ずに朝の新幹線で帰ったことがある。前回はなんとなく気持ちが落ち着かなくてどうしようもないやるせなさの中で悶えながら、深夜映画を見てそのまま逃げるようにして岡崎へ帰った。今回は幾分いつもの岡崎へ帰る時のなんとも言えない帰るんだという気持ちはあるけど、逃げ帰るという気分じゃない。とはいっても、いつも岡崎へ帰るときは、懐がさみしい。帰ればなんとかなるという甘えが大いにある。今朝はあまり腹が減るのでスルメをライターで焼いて食った。後輩が学祭で出店するのにコンロがいるというので俺の部屋のガスコンロを持って行ったきりもう学祭も終わって1週間というのに持ってこない。おかげでラーメンも炊けない有様だ。
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11月11日日曜日
PM2:10。どこまでも青く空は澄んでいる。岡崎もファッショナブルになった。お店はイカしてるし、壁に「小さな冒険」という絵・文字を注文に応じて作ったり、アクセサリー修理をやってくれるお店の広告が貼ってある。地図を見ると、家からそう遠くない畑の中にある。いかした広告と場所が似合わないけど、そこがまたイカしてる。別の壁には劇団のお知らせが貼ってある。「字根石村スケジュール:字根村がお届けする秋の風。坂本永利の一人芝居「土佐源氏」「フユニシ」上映会。そして地元岡崎の劇団白髪小僧公演「街は口紅(シティ・ルージュ)」11月は名古屋公演です。今回は12月の北風に乗って京都まで一っ飛び久々の野外公演です。」郷土匂のある広告。もっと岡崎の街に密着した生活がしたい気がしてくる。畑の中に小さな店を出したい気分。
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お店からあいつんちへ電話した。しばらくしたらあいつからここへ電話があった。電話番号知らないはずなのに。
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タバコを燻らしルシアンを飲み西日が窓からさす頃に昆布茶を飲んで店を出る。「1.9ℓの魔法びん」の道路向かいは寺だ。
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西尾街道を南へ5分ほど歩くと今度は神社がある。ここらは竹藪と神社やお寺が多い。周りは畑や田んぼで農家の大きな古い家ばかりだ。近所の神社でお賽銭を投げ、ふと見上げると唐獅子と象の彫り物が見えた。
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畑の中に名鉄バスの専用道がある。近所のバス停は「西若松」。次のバス停が「福岡町」で終点だ。もう一方は岡崎の北の方で「大樹寺」が終点。
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バス停の裏は田んぼと森に囲まれた神社とお寺が並んでいる。板も剥がれ、ペンキも禿げ、錆びたトタンで囲ったバス停だけど、夕日を浴びると黄金色に輝き、春になると満開の桜が古ぼけたバス停を素敵にさせる。
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あとがき
もっと故郷を描いてみたいと思う。青春時代を過ごした大阪の街も描いて見たい。そしてスケッチをした時の気分を添書きする。時が経って見返した時、思いがけない宝物が見つかったりする。どんなことも無駄なことなんてないんだと感じる。
1.9ℓの魔法びんメニュー
追記
「1.9ℓの魔法びん」という不思議な名前の喫茶店。2ℓに少し足りない1.9ℓはなんだか中途半端で割り切れないけどもう少しで満たされそうな気配があり、「魔法瓶」は特別なものではないけれど「魔法びん」には何か魔法がかかっているような雰囲気がある。そんな微妙な言葉の持つ不思議な力と本当に魔法がかかったような外観に引き寄せられて青春時代を過ごした。雑記帳に綴られた言葉は他愛のないことばかり。でも個人的にちょっとした小説より面白い。そこには青春真っ盛りの若者がいて、魔法のような時間が流れていた。落書き帳に書き始めた絵が全ての原点。「1.9ℓの魔法びん」という喫茶店も、バス専用道も、「西若松」のバス停も、岡崎の家も今はもうない遠い昔の物語。
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おしまい
2021/10/9
絵にも文章にも頻繁に登場する煙草。合宿で長く人里離れて暮らした時に、先輩から毎日煙草を勧められた。最初はイヤイヤもらったはずなのに、山を降りる頃には煙草なしではいられない体になっていた。あー恐ろしい。当時の映画やドラマでは、いかした野郎は煙草を燻らしていたものだった。もちろん今煙草はやらない。