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執筆者の写真Yukihiro Nakamura

パーカス

更新日:2021年9月1日

2021/8/23


 COFFEE HUNTERSのサンホセ・パーカス

 サンホセ農園のパーカスはレモンの爽やかな風味。繊細な酸と滑らかなボディ。ハチミツのような余韻と甘みが残る味わいが特徴。

豆について


PA:パーカス

  1. 生産国:エル サルバドル共和国

  2. 生産地:サンタ アナ県プラネス デ ラ ラグナ地方

  3. 農 園:サン ホセ農園

  4. 農園主:フローレンス マティス

  5. 標 高:1500m

  6. 栽培種:アラビカ種パーカス

  7. プロセス:ウォッシュト

  8. 原料豆輸送:リーファーコンテナ

  9. 賞味期限:2022/07/21

フレーバー

  • 強く感じられる:マスカット

  • 微かに感じられる:レモン、グレープ、シソ、ハチミツ

  1. 味わいの強さ 3/10

  2. 酸味 5/10

  3. 甘味 6/10

  4. 苦味 3/10

  5. 焙煎度 3/10

COFFEE HUNTERS STORYより

 エル サルバドルを代表する栽培種にパーカスがあります。この国で生まれたブルボンから起きた突然変異種です。背が高くなるブルボンに比べ小ぶりですが葉が大きめで高収量が特徴のコーヒーです。グアテマラ国境に近いサンタ アナ火山にあったサルバドール ポルティージョ氏の農園で、この突然変異種は見つかりました。彼はコーヒーの品種に精通した生産者だったので、自分のブルボンの畑の中で他の樹とは違うコーヒー樹を見極めることができたのです。そしてこの種を固定化させ、世に出したのが、やはりサンタ アナ地方の生産者パーカス氏でした。それゆえパーカスという名がついたのです。2012年1月にエル サルバドルを訪問した際、ブルボン エリテを作ってくれているサンホセ農場で、元気に育っているパーカスの樹に会いました。その樹々は逞しく育ち、十分に栄養を与えられた葉は深い緑で肉厚、枝には密度が高い実がついていました。サンホセ農場は、2008年にGrand Cru Cafe’を探していた時に訪れた農園です。管理が行き届いた良い農園でしたが、僕の求める基準にはあと一歩届かず、諦めて農園を後にしました。その帰り道で出会ったのが、Grand Cru Cafe’を生産するセルバ ネグラ農園です。そして後から分かったことですが、なんと両方ともロベルト マティス氏の所有する農園だったのです。ですから、COFFEE HUNTERSシリーズを日本の市場に紹介する際には、サン ホセ農園のコーヒーを必ず入れようと思っていました。そして最初にこの農園から紹介したのが、ブルボン エリテです。この農園で大切に育てられたエル サルバドル生まれのパーカスを、日本のコーヒーラバーズの皆さんに紹介します。


 

感想


 パーカスはマラゴジッペに比べると豆が格段に小さい。開封するとフルーティーな香りがある。豆を挽きドリップをするとさらにフルーティーな感じが広がる。予想通り一口目はフルーティーな酸味が印象的だ。喉越しに微かな甘みが残る。浅煎りであることもあって苦味は控えめで全体的に酸味と甘みが広がり美味しい。マラゴジッペに似ているところもあるが、マラゴジッペより後味がすっきりしている。コーヒーカップを手に何度も味わってきた「ああ美味しいもう一杯飲みたい」という気持ちが湧いてくる。幸せな気持ちにさせてくれる珈琲だ。

 

追記


ブルボンについての一考


 ブルボンもティピカも同列でアラビカからの突然変異種だと思っていた。しかし系統図からブルボンがティピカからの突然変異種であることがわかる。トラジャ・ママサやメキシコのハニーオアハカ・ペタテドライパプアニューギニア・シグリなど、品種にアラビカ種・ティピカ種・ブルボン種とあったのを見て。これはティピカとブルボンのブレンドなのかと思ったことがあった。そうではなくアラビカのティピカのブルボンということなのだろう。

 系統図に出てくるカトゥーラカトゥアイカティモールパカマラビジャ・サルチムンドノボSL28、SL34には出会うことができた。出会えたかどうかあやふやなのがパーカス、リントン、コロンビアだ。パーカスはブレンド実験で手配したブルボン種50%パカス50%のガテマラSHBを飲んだことがありこのパカスがパーカスのことだったのだろうと思う。単体でパーカスを飲むのは今回が初めてだ。ネットで探すとCOFFEE HUNTERS以外では見当たらない。流通が少ない貴重な一杯に出会えた。リントンはマンデリンの仲間でブルー・リントンを飲んだことがありアラビカ種ティピカ亜種と記載されていたからこれがリントンなのだろうと思っている。またコロンビアが種というのも今回初めて知った。コロンビア・スプレモはアラビカ種・カトゥーラ種とあったからこれがコロンビア種なのだろう。種を決定する要素が何なのかもう少し勉強が必要だ。ポワントゥ、パチェ、ルイル11、サチモール、キテシックはまだ出会ったことがない。機会があれば飲んでみたい。中でも川島氏が復活させたポワントゥはぜひ味わってみたい。


 改めて今まで出会ったブルボンを列挙すると結構色々飲んでいる。中でもブルボンナチュラルは「美味しいブルボンでナチュラルを作ったらどうなるか?とトライしたのがこのブルボンナチュラルです。」と精製にこだわり。ブルボン・エリテは「ブルボンの特性をより強くだしている樹勢の良い木を選抜し、その掛け合わせを繰り返し作ったブルボンの優性種です。」と樹の選別にこだわり。ピンク・ブルボンは「畑に点在するピンクブルボンの樹の完熟豆だけを収穫して、他のコーヒーとは混ぜずに精選した。」と熟した果実一つ一つにこだわるなど。いずれもエルサルバドルのブルボンだからエルサルバドルと銘柄を付けられそうだが、COFFEE HUNTERSは銘柄で括らず特色のあるブルボンとして飲ませてくれた。

 トラジャガテマラシグリンゴロンゴロなどはブルボンという品種ではなく生産地の名前がついた銘柄が一般的だ。トラジャは好んで飲んできたがブルボンとしては意識していなかった。トラジャは甘味が印象的だ。ンゴロンゴロといえばキリマンジェロ、甘味と酸味が印象に残っている。メキシコもシグリも甘味に印象があり酸味もある。甘味と柑橘系の酸味がブルボンのベースなのだ。しかし同じブルボンなのに銘柄が違うと同じ味に感じない。栽培する土地が異なるから味が違うのは当たり前だ。

 本当にそうだろうか? 銘柄を聞いて飲む時、銘柄の持つ先入観で味にバイアスがかかる。なんとなくトラジャならトラジャらしく、ガテマラならガテマラらしく感じるのだ。もちろん栽培する環境や精製方法で味が変わり地域固有の味というものもある。だがもともと極端に味に違いがあるわけではないから銘柄を聞かなければ、同じブルボン種のコーヒーなら似ていて当たり前で違いがわからなくなる。「何という珈琲でしょう?」と聞かれても銘柄を答えることはできないと感じてきた理由は、こういうことだったのかと納得している。



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