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執筆者の写真Yukihiro Nakamura

マラゴジッペ

更新日:2021年8月23日

2021/8/15


 COFFEE HUNTERSのアントニエタ・マラゴジッペ

 マラゴジッペはジューシーなアップルのフレーバーと黒砂糖のような甘さ。しっかりとしたボディで滋味に富む味わいが特徴である。


豆について


AM:アントニエタ・マラゴジッペ

  1. 生産国:エル ・サルバドル共和国

  2. 生産地:サン ミゲル県サン ミゲル火山

  3. 農 園:アントニエタ農園

  4. 農園主:カタリーナ ジャスパーソン

  5. 標 高:1070〜1550m

  6. 栽培種:アラビカ種マラゴジッペ

  7. プロセス:ウォッシュト

  8. 原料豆輸送:リーファーコンテナ

  9. 賞味期限:2022/07/26

フレーバー

  • 強く感じられる:黒糖、アップル

  • 微かに感じられる:チェリー、グレープフルーツ、スイカ

  1. 味わいの強さ 8/10

  2. 酸味 8/10

  3. 甘味 7/10

  4. 苦味 5/10

  5. 焙煎度 2/10

COFFEE HUNTERS STORYより

 マラゴジッペは、ブラジルで生まれたティピカからの突然変異種です。アラビカ種の中で一番背が高く、葉と実もとても大きいのが最大の特徴です。メキシコやニカラグア、コロンビアが主な生産地で、高品質のコーヒーとして有名でしたが、病気に弱く生産性も低いため、いつの間にか耐性のある多収量の栽培種に変わってしまいました。ミカフェートを開業して以来、マラゴジッペがあると聞けばどこにでも訪ねて行きましたが、満足できる品質と志の高い生産者に出会えませんでした。しかし2018年、僕がマラゴジッペを探していることを知っていたエル ・サルバドルの友人から朗報が舞い込みました。なんとエル・ サルバドルの東部サン ミゲル火山のアントニエタ農園に、高品質のマラゴジッペがあるというのです。もちろん直ぐにアポを取って農園を訪問しました。農園のオーナーであるジャスパーソン家のルーツはドイツです。1850年代にヨーロッパに見切りをつけた初代が、エル サルバドルに移住し酪農とサトウキビ栽培を始め、コーヒーにも手を広げました。その後2度の世界大戦でも事業を守り抜きましたが、1970年代からのエル サルバドルの内戦・革命と農地解放によって、連綿と受け継がれてきた農地を切り離され、家族も離散せざるをえない状況になりました。しかしカタリーナ ジャスパーソンが、2017年に荒れ果てた農園の再興に着手しました。これからも彼女をサポートし、この希少種になってしまったマラゴジッペを、アントニエタ農園の特産品に育てていきます。


 

感想


 いろいろなコーヒーを試そうと、ずいぶん探して飲んだつもりだったが、マラゴジッペを飲むのは今回が初めてだ。ネット検索で見つけることはできるが、Amazonでは見つからず、希少種なのが伺える。浅煎りに焙煎されたマラゴジッペは大粒で初めてパカマラを見た時と同じように「わー大きい」と言葉が漏れた。その大きさは母でも「大きな豆だね」と言うほどだ。大きい割に重さがないから、重さで計った場合と、計量カップで測った場合で一杯分に違いがでる。10gを測ると若干多めな感じだ。ミルで挽くととても良い香りが立ち、ドリップする時も甘めの香りがする。飲む前から美味しそうだ。一口目にほんのり甘味がして、フルーティーな酸味がある。苦味は少なく、見た目はサラッとしているのに、ねっとりとした風合いが残る。少し豆が多かったのかもしれない。川島さんが苦労して探した逸品とあって、そのことを思って飲むといっそう味わい深い。


 

追記


 マラゴジッペは、発見された地域がブラジル・バイーア州・マラゴジッペ地区だったことから、地区の名前をとって名付けられた。調べるとメキシコ、ニカラグア、コロンビア、グアテマラで栽培されているとあり、本家のブラジルやエル・サルバドルでの栽培記述は見当たらない。しかしこの豆はエル・サルバドル産である。かつて川島氏が留学を始めた頃のエル・サルバドルは、世界でも3本の指に入るほど有名なコーヒー研究所を持つ豊かな国だった。しかし留学して数年後に内戦が勃発。40年以上経った今も20%に近い世帯が安全な水や十分な食料を確保できないなど経済復興と治安回復が課題となっていると聞く。母は内戦が起きたことを覚えていた。それほど大きなニュースだったのだ。そんなエル・サルバドルもコーヒー産業は復活しているようだ。2002年コーヒー豆の生産量が9.2万トンに達した。COFFEE HUNTERSが取り扱うエル・サルバドルのコーヒー豆は10種類どこの国より多い。



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