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執筆者の写真Yukihiro Nakamura

珈琲考 第7回

更新日:2021年8月14日

2021/6/21


  珈琲のスケッチを初めて、なんとなく輪郭をなぞったけど、デティールを描くにはまだまだという感じ。ハイレゾ音源の違いを識別できなかったように、「何という珈琲でしょう?」と聞かれても銘柄を答えることはできない。ただ「いい音はいい音」だし「美味しい珈琲は美味しい」。幾度目かのウロボロス感覚を楽しみつつ振り返る。


 

淹れ方あれこれ


 最初に蒸らしの大切さを教そわった。うまく蒸らせないことが悩みの種となり、自分で淹れた珈琲を美味しいと思えず、いつしか珈琲は難しい物になった。ところが美味しそうに膨らむ蒸らしは豆の鮮度が重要であることを知った。MUGENの登場は、蒸らさなくっちゃという思い込みさえ吹っ飛ばしてくれた。ようやく鮮度のいい珈琲豆を使えば、自分でも美味しく淹れられることを体験して、気軽に珈琲を楽しめるようになった。きっと他にも思い込みでブレーキをかけている事があるに違いない。

 歳のせいかエスプレッソの出番が少なくなった。一番活躍しているのはペーパードリップフィルターインボトル。どの淹れ方も捨てがたい魅力があるから、たまに違った淹れ方で珈琲を飲みたくなる。

 

珈琲豆あれこれ


 どんな銘柄があるかさえ知らない頃、珈琲の銘柄の違いがわかるようになりたいと思った。実際に色々な珈琲を飲んで、生産地・クロップ・焙煎方法・挽き方・淹れ方等諸々の要素で味が変わることを体験した。聞き齧りの知識は当てにならない。

  1. 一杯単価は10gで算出。

  2. 焙煎項目の自は自家焙煎、店はお店の焙煎。自家焙煎は焙煎手数料分割安だ。そうした中で国産珈琲とコピルアクは高額で別物のようだ。

  3. 同じ銘柄も購入店や時期によって味も金額も異なる。

  4. Premier Cru Cafe 、COFFEE HUNTERS 、CAFE REVOLUCIONは何もMiCafetoのブランド。

  5. アラビカ種とのみ記載されている品種は、ティピカやブルボンに変異する前のアラビカ種の原種かもしれない。残念ながら問い合わせると豆屋さんもわからないようだ。一般にモカと呼ばれる珈琲豆はおおむねアラビカ種とのみ記載されている点が興味深い。

 自分で焙煎した豆は適正な焙煎ができているかわからないが色々試せる楽しみがある。何と言っても安上がりだ。お店が焙煎した豆はMiCafetoが気に入っている。豆のことを熟知して豆の良さを引き出す焙煎は確実に美味しい。一年保存が効く点も嬉しい。珈琲豆の背景にある物語を、珈琲ハンター川島さんが実際に体験したことを織り交ぜて教えてくれる。珈琲の味に奥深さが加わり、生産者を応援する気持ちが湧いてくる。

 MiCafetoと出会ってかれこれ一年、味の評価をやめ、ただその美味しさを楽しんでいる。

 

色々なあれこれ

  • 豆を選ぶ時:珍しい銘柄を見つけると飲んでみたくなる。実際きりがないくらい次々と新しい銘柄が登場する。豆の良し悪しは分からないが、唯一気にしていることがある。オールドクロップは風味が劣っていた。だから、古いクロップは買わないようにしている。

  • 焙煎する時:ピッキングと洗浄をやらなくなった。そもそも入手できる豆はかなり良い状態だ。欠けた豆はあっても異物はないし、カビや未成熟の豆も見かけない。厳密に比べれば、選り分けた豆で淹れた方が美味しいのだが、せっかく購入した豆を捨てるのはもったいないし、極端な味の違いもないように思う。結局買った豆は全部飲んでしまっている。ただ防腐剤のことを思うと洗ったほうがいいのだろう。

  • 淹れる時:焙煎して2日目には飲んでしまう。流石に焙煎した日は我慢するのだが、2日目には我慢できなくて飲み始め、1週間前後で飲み終えている。そうして思うのは2日目も美味しいということだ。

  • どの珈琲を飲むか:以前はなんとなくレギュラー珈琲>ペットボトルor缶珈琲>インスタント珈琲と優劣をつけていたが優劣は有耶無耶になった。どれも美味しい。インスタントコーヒーを飲む機会がグッと増えている。

 

追記


 同じものを同じように美味しいと感じるとは限らない。美味しさは、どんな状況で飲むか、どんな風に飲むか、誰と飲むか、そう言ったことに大きく左右される。お天気の具合とか、気持ちの持ちようとか、さまざまな味付けがある。そう言った気持ちも言葉にした途端に違うものになってしまったりして、儚さを味わう。それさえも味のうち。


 歳月の中で、どうでもよくなる部分と、大切に思えることがはっきりして、ルーティーンができる。生活にリズムができる。リズムができることはいいことだ、でも間違っていたとわかった時に困惑する。一度体得したリズムを変えるのは難しい。勘違いや思い込みは思いの外多い。おうちカフェを発動して、知らず知らずのうちに思い込んでいたことが氷解するのを幾度か体験した。そんなことを繰り返しながらジタバタする。


 「珈琲の香りが遠い記憶の呼び水に・・・」と市毛良枝さんが思い出を語りだした。誰かに教わるということは、受け継ぐと言う事であった。”珈琲いかがでしょうと”言うドラマは、珈琲の淹れ方を題材に引き継ぐ想いというものを語ってくる。パンデミックを口実に人との関わりを避け、何事も一人で済ませてきたことを振り返る。


 ドラマ”大豆田とわ子と三人の元夫”で「心に穴を持って生まれてきてさ、それを埋めるためにジタバタして生きてるんだもの」と風吹ジュンがしみじみと松たか子に語りかけた。この物語は印象的な珈琲を飲むシーンが出てくるわけではないけれど、何だか珈琲みたいな素敵な味付けがされていた。きな臭い時代にありながら、この世の中は優しいんだって語りかけてくる。ジタバタして生きている。それでいいんだって。


感謝

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