トラジャ ・ママサとスラウエシ・トラジャを飲んだことがある。きっとスラウエシ・ママサはトラジャだろうと入手した。
厳密にはトラジャ地方で栽培された珈琲をトラジャと呼ぶらしい。トラジャ地方は南スラウエシ州および西スラウエシ州の山間地帯、ママサ地方は西スラウエシで地域的に重なっているか隣り合わせている。トラジャとはもともと沿岸民のブキス族が山間部に住む人々を指して言った呼称で「山の上の人」という意味らしい。トラジャ族はサダン・トラジャ、タナ・トラジャ、ママサ・トラジャらがおり、首刈りの風習があった。
オランダの植民地時代に初めてインドネシアに珈琲が植えられ、スラウエシ島には1900年に農園が開かれ栽培が始まった。当時は生産量も少なく、ヨーロッパと地元スラウエシで飲まれていたにすぎなかった。ヨーロッパでは評判であったこの地の珈琲も、第二次大戦で農園が放棄され、戦後しばらくは「幻の珈琲」と呼ばれていた。独立後インドネシア政府は民間の会社に委託して農園を復興。かつての名品をよみがえらせることに成功した。
1978年農園を復活させたのは、日本のキーコーヒーだった。「トラジャ(toraja)」「アラビカ(arabica)」「コーヒー(coffee)」の頭文字から2つずつ取って付けた名称、トアルコ・トラジャはキーコーヒーの登録商標である。トラジャ珈琲が幻の珈琲と呼ばれたのは市場から消えてしまったからだが、今はその希少性と高い品質を称え幻の珈琲と呼ばれている。カロシ地区で栽培されたカロシ・トラジャ 、ママサ地区で栽培されたトラジャ ・ママサなどがある。
豆について
国名:インドネシア共和国
地域:スラウエシ島 ママサ地区
品種:ティピカ、S.LINI
精製方法:スマトラ式
乾燥方法:天日乾燥
クロップ:2018/2019
収穫時期:12月〜
標高:1300〜1500m
インドネシアのスラウエシ島(セレベス島)
スラウエシ島は赤道直下に位置し、生産エリアはママサ地区の中の標高1300~1500mにある。6月から8月、豊かな雨にうながされジャスミンのような香りを漂わせて白い花が咲く。緑深い肥沃な大地と透き通った青空から降り注ぐ太陽が白い花を赤く熟した実に変え、収穫期を迎える。赤く熟した実を一粒一粒摘み取り精製してスラウェシ・ママサは作られる。華やかなフローラルフレーバー、ビターチョコのような甘味、口当たりの良いなめらかなコクと後に残る余韻が特徴。
結果
SM:スラウエシ・ママサ・プレミアム
自家焙煎の中煎り、中細挽き、焙煎2日目。
豆を挽くと香ばしい香りが立つ。
コーノ式で飲む
蒸らしの膨らみはとてもよく膨らんだ。
一口飲むとほのかな甘味がある。
喉越しがよく、苦味・酸味は控えめだがコクと余韻がある。
冷めるとより一層甘みが楽しめる。
期待した通りの甘みのある美味しい珈琲である。1年前に試したTM:トラジャ・ママサは、深煎り・中煎り・浅煎りを試している。初めて浅煎りの酸味に感激して、中煎りはぼやけた味に感じ記憶に薄い。まだ珈琲の味の細部を感じ取る力がなかったこともある。スターバックス・リザーブのクローバーで淹れたスラウエシのほうがSMに近い感じがする。同じように甘味が気に入っているCS:コロンビア・スプレモとテイスティング結果を比較するとCSの方が評価が高かった。コクに10点を付けているあたりちょっと怪しいが、酸味が極端に少ない。でもCSとSMを飲み比べるとこの評価より近い感じ方をするかもしれない。
S.LINIという品種を初めて目にした。検索すると、スラウエシ・ママサやトラジャの品種として記載があるだけで、詳細を見つけることができない。どういう由来の品種か気になるところだが。今は情報が少ない。また精製方法がスマトラ式とある。マンデリンがこの方式だ。ナチュラルやウオッシュトと少し違い、前半ハニープロセスで半乾燥のまま脱穀する方式だ。スターバックスで飲んだスラウエシは半水洗式だった。最初に飲んだトラジャ・ママサの精製方法はわからない。少しずつ違いがある。トラジャ を飲みたいという思いからいくつかの豆にであった。どれが本当というものでもないだろう。同じ島でも標高差・土質・日当たり・収穫方法・精製方法が違えば味も違うはずだ。追々分かってくるだろう。
追記
トラジャはおうちカフェ発動後、最初にテイスティングした珈琲豆だ。初めて飲んだトラジャ珈琲の味はよく覚えていない。幻の珈琲と呼ばれていたため、そのフレーズだけを聞いてコピ・ルアクと混同していたこともあった。そう言ったことが心に残り忘れ難いものがあったのだろう、それでこの豆を最初に選んだ。でも1年前に飲んだトラジャはそんな思い出を喚起する味ではなかった。しばらくしてスターバックス ・リザーブでスラウエシを飲んだ時、ようやく求めていたトラジャに出会えた気がした。ほのかな甘味。期待していたのはこの甘味だった。そんな特別な思い入れのあるトラジャ珈琲を、ようやく自分で焙煎して飲む夢が叶った。これでオリジナルブレンドを作ってみよう。
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