スターバックスはアメリカのシアトルで1971年に誕生した。創業から約半世紀になる古いお店だ。港街パイク・プレイス・マーケットで創業したことから、メルヴィルの名作「白鯨」に登場するスターバック航海士を店名に、ノルウェーの木版画に描かれた二つの尾を持つ人魚セイレーンをロゴマークに取り入れた。当初コーヒーとティーとスパイスを扱っていたが、1983年イタリアのエスプレッソ文化に出会い感銘を受け、1984年からラテやカプチーノを販売するようになる。1996年に銀座松屋通り店がオープン。2015年に鳥取店がオープンして、日本全国の都道府県にスターバックスが出揃った。現在世界78ヵ国に20,000店舗以上を展開している。
学生時代スターバックスはなかった。でも街のあちこちに個性的な喫茶店があった。ちょっと薄暗いお店で待ち合わせをしたり、モーニングを食べ、週刊誌を読む。時間がある時は隅っこの席でゆっくり文庫本を読んだり、絵を描いた。珈琲はサイフォンが主流で、流行りは大きなマグカップで飲むアメリカンコーヒーだった。学生時代はとても多くの時間を喫茶店で過ごしたが、社会人になり縁が薄くなった。10年ほど経ちスターバックスが登場しても、都会の話で高嶺の花だった。学生時代牛丼屋は入れてもケンタッキーには入りづらかった。そんな感覚がまだ残っていたのだろう、せっかく都会でスターバックスを見つけても入れなかった。2000年にザザシティ浜松に静岡県1号店が登場してようやく入ることができた。現在浜松に13店舗もあるらしい。どの店も混んでいて、長居は気が引ける。長らくブラックで珈琲を飲んできた身には、ラテやマキアートと言った目新しくて甘い、小洒落たお店と小洒落たカップ、フタ付きのまま飲む熱い珈琲は衝撃だった。
自宅でスターバックスで飲むような珈琲が飲めたらと何度思ったことだろう。おうちカフェの発動にスターバックスの存在は欠かせない。
特別なスターバックス
浜松城公園のスターバックスは素敵だ。公園の敷地内にお店があるだけでもおやっと思う。森に溶け込むようなデザインは、今まで見た街中のスターバックスとはどこか違っていて、特別なスターバックスだ。
2019/8/5現在、全国に15箇所、北は北海道函館のベイサイド店から南は鹿児島の仙巌園店まで、その土地の良さを生かした特別なスターバックスがある。京都二寧坂ヤサカ茶屋店は京都の町家がお店になっていて畳の座敷がある。神戸北野異人館店は歴史的建造物である異人館がそのまま店舗になっている。浜松城公園店もそうしたコンセプトから生まれた店舗で、天竜杉をふんだんに使った森林の中のお店だった。
スターバックスの特別なお店一覧。
スターバックスコーヒー 京都二寧坂ヤサカ茶屋店
スターバックスコーヒー 鹿児島仙巌園店
スターバックスコーヒー 神戸北野異人館店
スターバックスコーヒー 函館ベイサイド店
スターバックスコーヒー 弘前公園前店
スターバックスコーヒー 道後温泉駅舎店
スターバックスコーヒー 川越鐘つき通り店
スターバックスコーヒー 神戸メリケンパーク店
スターバックスコーヒー 中部国際空港セントレアFLIGHT OF DREAMS店
スターバックスコーヒー 富山環水公園店
スターバックスコーヒー 浜松城公園店
スターバックスコーヒー 太宰府天満宮表参道店
スターバックスコーヒー 大阪城公園森ノ宮店
スターバックスコーヒー 鎌倉御成町店
スターバックスコーヒー シャミネ鳥取店
こうした地域に根ざした個性あふれる、地域の魅力を発信するストアを「リージョナル・ランドマーク・ストア」というらしい。
スターバックス リザーブ ロースタリー
専門性の高いバリスタとの会話を楽しみながら、個性豊かで希少な珈琲を淹れてもらい、味わう。豊かな珈琲体験ができるSTARBUCKS RESERVE BARがあり、焙煎工場を携えた、STARBUCKS RESERVE ROASTERYが2019/2/28東京中目黒に誕生した。そこでは、ブラックエプロンのバリスタにサイフォン、クローバー、ブラックイーグル(エスプレッソマシン)、プアオーバー(ハンドドリップ)、コーヒープレスの5つの抽出方法のいずれかで珈琲を淹れてもらえる。2014年シアトルにオープンして以来、上海、ミラノ、ニューヨークと店舗数を増やし、ついに東京にオープンした、これまた特別なスターバックス。
ここで目新しいのが、クローバーだ。「バキューム・プレス」と呼ばれる独自の抽出方法で、コーヒーに適度な蒸らしを加えて一気に抽出(吸い込む)、香りをいっさい逃さない絶妙なコーヒーを創り上げる。上海店ではスチームパンクも使っている。まだまだ知らない装置がいっぱいだ。
スターバックスリザーブの”豆の番人”は「カッピングは朝に行う。朝の方が味覚も新鮮。そして、食事を取らずに行う。朝食はカッピングのあと。テイスティング期間中は、舌を刺激するスパイス料理も一切取らない。決断を下したあとに食べるようにしている。それがご褒美。」という。なるほど味覚管理の参考になる。
(STARBUCKS OFFICIAL BOOKより)
サードプレイス
サードプレイスとは、アメリカの都市社会学者であるレイ・オルデンバーグ氏が1989年に発表した著書『The Great Good Place』で提唱した言葉で、自宅(ファーストプレイス)でも職場・学校(セカンドプレイス)でもない、自分にとって心地の良い時間を過ごせる第三の居場所という意味。スターバックスが目指しているのも正にサードプレイスとなることだ。学生時代確かに喫茶店はサードプレイスだった。あれれ?おうちカフェ計画はファーストプレイスとサードプレイスの区別がなくなってゆく。あれれ?
世界中のスターバックスを飲み歩いている人の話を聞いたことがある。すでに相当数を回ったらしいが、今や美味しさを感じなくなっているという。こんな不幸なことがあるだろうか。早々にチャレンジをやめるべきだ。美味しく思えなくなるならやらないほうがマシだ。
イオンモール浜松市野店は希少なコーヒー豆「スターバックス リザーブ®️」取扱店舗。クローバーがあるかも。