珈琲に泡立てたミルクを注ぎ、泡と珈琲で文様を描くラテアートは、1985年頃ミラノで茶目っ気のあるバリスタが、カプチーノにハートを描いたのが始まりだったそうだ。ミルクを注ぎ込む際の流れやミルクの泡が色々な形に見える。ココアやチョコレートで珈琲をキャンバスに絵を描いたり立体的な造形を作ったりと遊び心は膨らんでゆく。はずだった。
ハートやリーフは簡単そうにみえるが難しい。カップの角度や、ミルクを注ぐ高さにコツがある。カップの形状も向き不向きがある。何度やってもうまくいかない。今回は、やってみたけどダメでしたという記録。
道具と材料について
使用した道具
エスプレッソ マシン:デロンギEC860M
スチーマー:蒸気を出すマシン付属のフロッサー
クリーマー:モーターのついた撹拌器
ステンレスのミルクジャグ(ピッチャー):スチーミング用
陶器のミルクピッチャー:ミルクをレンジで温める時に使用
アートピック:先端が尖ったり丸かったりする棒
ステンシル:絵や文字の切り抜かれたパネル
使用した材料
ミヤンマー・星山 深煎り、細挽き
北海道十勝牛乳 乳脂肪分3.6%
無調整豆乳
ココアパウダー
チョコレートソース
ミルクについて
ラテアートを作る上で、エスプレッソはマシン任せなので、ポイントはミルクにある。乳脂肪分が多いとエスプレッソ の風味を殺し、少くても美味しくない。カプチーノに合う乳脂肪分の推奨は3.0%以上だそうだ。また、ミルクの旨味成分であるラクトーゼは60℃〜68℃で最も甘味を感じることができるため、スチームで温める時、高温になりすぎないように気をつけよとある。実際にやってみると、ミルクジャグが持てないぐらいに熱くなってちょうどいい温度なので、熱くなることより、温まっていないミルクを注がないよう気をつけるべきかもしれない。
ラテアートに使用するミルクの種類
フォームドミルク:ミルクをスチーミングで温めながら作られた泡の部分
スチームドミルク:ミルクをスチーミングで温めながら作られたミルクの部分
ミルクフォーム:クリーマーで泡立てたミルク
スチーミングついて
スチーミングはエスプレッソマシンのフロッサーを使用する。初めてのスチーミングは散々だった。要領が分からず、スチームの出るノズルをミルクの表面近くで構えて、蒸気を出してしまったのだ。勢いよく飛び出す蒸気でミルクが飛び散り、一帯がミルクだらけになってしまった。試しだったのでミルクの量が少なかったこともあった。そこでミルクを多めにすると、今度は溢れてしまい、またもやミルクだらけ。スチーミングの最初に少しお湯が足され、泡立ってくると体積が倍ほどになる。以後ミルクの量はミルクジャグの3分の1までにしている。
お店で、熱くも冷たくもないカプチーノが出てきたことがある。きっと慣れない人が作ったのだろう。スチームですぐに泡立つけれど、ミルクはすぐには温まらない。ステンレス製のミルクジャグを使うと、ミルクが温まってくるのがよくわかる。ミルクジャグを持っていられなくなるぐらいの熱さまでスチーミングするのは、最初の頃はちょっとびびる。
スチーミングが終わったら、テーブルの上でミルクジャグをトントンと上下させ、大きな泡を消し、キメの細かい泡で均一になるようにならす。さらに、ミルクジャグごとミルクを軽く一回転させ、ミルクジャグの中のフォームドミルクとスチームドミルクを一体化させる。キメが荒いとリーフなどを描こうとしてもフォームがくっついてしまって柄ができない。早く淹れようと気が急くものだが慌ててはいけない。
No.1 カプチーノ・ハート
材料
エスプレッソ25cc
フォームドミルク175cc
作り方
エスプレッソ の入ったカップを傾けて持つ
少し離してミルクを注ぐ、この時ミルクは浮いてこない
注ぎ口を近づけると、ミルクが表面に浮いてくる
カップの傾きを水平にする
ミルクを広げる
ミルクフォームを切るようにカップの縁まで注ぎ口を移動させる
あらら、出来損ないのハートになってしまった。これでもマシな方。最初は、うまくミルクが浮いてこなかった。注ぐ高さを調整してようやく、ミルクが浮いてくるようになっても、きれいなハートを描くことができない。
ミルクの浮きが少ない場合は、エスプレッソ のクレマの下にフォームドミルクが隠れている。ピックなどを使って泡を表面に引っ張り出すように絵を描き、デザインカプチーノを完成させることができる、ということだが、なかなか絵にはならない。
No.2 カプチーノ・リーフ
材料
エスプレッソ25cc
フォームドミルク175cc
ココアパウダー1g
作り方
エスプレッソの上にココアパウダーを振る
カップを傾けて持つ
少し離してミルクを注ぐ、この時ミルクは浮いてこない
ピッチャーを前方に動かし、注ぎ口を近づけフォームを浮かばせる
ピッチャーを手首を使って左右にゆっくり振りながら注ぐ
振り幅を徐々に小さくし先が細くなるようにリーフを描く
カップの傾きを水平にする
ミルクフォームを切るようにカップの縁まで注ぎ口を移動させる
リーフになりません。ピッチャーを振っても縞模様ができず、ミルクの塊になってゆく。ピッチャーを振るタイミングも難しい。たくさん葉っぱを描きたいのに。
No.3 カプチーノ・お絵かき
材料
エスプレッソ25cc
フォームドミルク175cc
ココアパウダー1g
作り方
エスプレッソの上にココアパウダーを振る
カップを傾けて持つ
少し離してミルクを注ぐ、この時ミルクは浮いてこない
カップの傾きを水平にする
注ぎ口を近づけフォームが丸く浮かぶのを待つ
注ぎ口を動かしてフォームを描きたい形に整える
ステンシルをかざしてココアパウダーを振りかけたり
クレマやココアパウダーで絵を描く
リーフやハートを描くことを思えば、ミルクの注ぎ方は簡単だ。でもピックを使って珈琲の上に絵を描くのは難しい。アンドゥできないし。
No.4 マキアート
材料
エスプレッソ25cc
フォームドミルク10cc
チョコレートソース適量
作り方
カップを傾けて持つ
低い位置からミルクを注ぐ
素早くスチームドミルクを注いでフォームを丸く浮かび上がらせる
カップの傾きを水平にする
注ぎ口を動かしてフォームを描きたい形に整える
チョコレートソースで模様を描く
チョコレートソースが硬くて太いと絵になりません。マキアートはエスプレッソに少量のフォームドミルクを注いで作るエスプレッソのバリエーションで、マキアートはイタリア語で「染み」を意味し、フォームドミルクが染みのようにエスプレッソについているという、見た目のイメージからつけられた名前だ。確かにシミのような絵になった。
No.5 3Dラテアート
材料
珈琲
ミルク
作り方
牛乳を耐熱容器に100ccほど入れ、40〜60℃に温める
クリーマーで牛乳を泡立てる
カップに珈琲を半分ほど入れその上にミルクフォームを注ぐ
残ったミルクフォームを1分ほどそのままにしフォームを固める
固まったミルクフォームを使って作りたい3D形状を作る
チョコレートソースなどで絵を描く
時間が経つとフォームが沈んでしまうので、作業は手早く1分以内が目処。犬のような熊のようなものが出来上がった。泡を積み重ねたり、形作ったりしたいのだが、思うようにはいかない。チョコレートソースも粘りっけが強く、泡を引きずったり垂れたりとコントロールが難しい。カップから飛び出したラテアートはどうやって作るのだろう。
追記
エスプレッソマシンを手に入れた時、さっそくラテアートを試した。簡単そうに見えたのだがうまく描くことができなかった。何度試してもできないとやる気を失ってしまう。そのうちやりたいことが山のように現れたので、しばらく放置していた。あれから1年、色々試して、ようやく木も熟したかなと再チャレンジ。やっぱり難しい。
フォームドミルクにすると、結構胸焼けする。実際、コツを掴んだところでもう一回と思うのだが、お腹も胸もいっぱいで、そうもいかない。乳脂肪分3.6%は濃いかもしれない。母もカプチーノは胸につかえると言う。せっかくラテアートに腕を振るっても、喜んでくれないのが残念だ。そこで豆乳を使ってみたが、ちょっと青臭い味がする。胸焼けは幾分おさまるので、練習にしばし利用したが。カプチーノを味わうにはやっぱり牛乳がおいしい。
いつか珈琲にゴジラの絵が描けるようになることを夢見てカップを飲み干す。
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