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執筆者の写真Yukihiro Nakamura

オリジナルブレンド

更新日:2020年3月1日


 ブレンドの面白さを知り、有り合わせの豆を適当に混ぜて楽しむようになった。美味しい豆のブレンドは、美味しい珈琲になるという思いはますます強くなっていく。今回はありあわせではなく、選りすぐりの豆をブレンドして至福の一杯を創ろうという試み。

コンセプト


  • 甘みのパートをトラジャ に任せたい。

  • ゲイシャロブスタは個性が強烈だから組み合わせたら面白そう。

  • 好きな豆を混ぜたら好きな珈琲になるに違いない。


着地点のイメージ:甘さと苦さのバランスが良く爽やかなフレーバーの珈琲。



 トラジャ を中心に甘味をベースとし、ゲイシャで清涼感、ロブスタで苦味、モカで香りを引き立たせる。

 

ブレンドの配合

 ブレンド実験の結果ゲイシャは多い方が効果があり、ロブスタは少量でも効果があった。そんなことを考慮しながら黄金比率で配分する。



豆の焙煎


  • トラジャ :スラウエッシ・ママサ 中煎り電動焙煎

  • モカ :エチオピア・シダモG4 中煎り電動焙煎

  • ゲイシャ :パナマ・エスメラルダ・ゲイシャ 浅煎り手動焙煎

  • ロブスタ :ジャバロブWIB-1M 深煎り電動焙煎

豆の産地

 

結果


 中細挽き、コーノ式で珈琲を淹れる。


第1案:トラジャモカゲイシャ=発見の一杯

  1. 豆を挽くと香ばしいナッツの香りチョコレートの香りといろいろな香り。

  2. 一口目にあーと思うぐらい甘さがくる。

  3. 喉越しにあっさりした酸味があり、苦味は控えめ。

  4. 甘さと爽やかさが楽しめコクのある珈琲。

  5. トラジャ 感が一番、モカ 感、ゲイシャ感は少ない。


第2案:トラジャゲイシャロブスタ=至福の一杯

  1. 豆を挽くと複雑な香り。

  2. 一口目に甘さと苦味が同時にくる。

  3. 喉越しに酸味がある。

  4. 甘さ苦味、爽やかさのある珈琲。

  5. トラジャロブスタ 感が強いが、ゲイシャ感も味わえる。


第3案:トラジャモカゲイシャロブスタ=不思議の一杯

  1. 豆を挽くとあれ?

  2. 一口目にあれ?

  3. 喉越しにあれ?

  4. 美味しいけれど特徴がぼやけた珈琲。

  5. トラジャロブスタ 感、モカ感、ゲイシャ感どれもパッとしない。


 総合得点はわずかな差だが、結構味が違う。第1案を飲んだ時「やったねこれはいいぞ」と思った。第2案を飲んで「あーこれだ」ともっといいなと感じ。第3案を飲んだ時「おやー」と期待通りではない不思議な感じがした。一番気に入ったのは第2案。ゲイシャを入れるなら惜しんではいけない。甘さも苦さも爽やかさも兼ね備えた、とても美味しい珈琲が出来上がった。母も第2案を気に入ってくれた。


結論

至福の一杯=トラジャ 7gゲイシャ 3gロブスタ1g


今回手配したクロップは、この組み合わせがいい。

 

考察


 トラジャ単独よりもブレンドの方が甘味を感じたのはなぜだろう。

 シングルで飲んだ時のテイスティング結果を見比べると、ESモカ、PGゲイシャ、SMトラジャは甘みが多く相乗効果があったかもしれない。JRロブスタのような別のテイストが加わることで、単独では目立たなかった味が際立つこともあるだろう。



 今回第2案を気に入ったのだが、もっと良い組み合わせがあるかもしれないという気持ちは拭えない。何もかもを混ぜ合わせればいいというものでは決してない。美味しさのバランスがある。それは、理屈で図るには難しく、いく通りか試す中で見つかるものなのだろう。


 

追記


 オリジナルブレンドは格別の味がした。でもそれは自分にとって格別だが、誰が飲んでもそう感じるだろうか。格別の味の大元はここまでの道のりの味ではなかったか。


珈琲の詩


青臭い生豆の香り

焙煎独特の焦臭さ

爆ぜる音の緊張感

色艶香りに気を配り

すぐ飲めぬ待ち遠しさ


重さを測り

ブレンドする

何が起こるかわからない心許なさ

不確かな実験をする気分

宝物ができた予感


コリコリと豆を挽く

立ち上がる香り

ミルが空回りする瞬間

ふっと緩む緊張

いい香り


お湯を落とす

心地よい香り

ふっくらとした盛り上がり

細い一筋のお湯

ほとほとと出来てゆく珈琲


ほんのり立つ湯気と香り

一口飲む

舞い上がって味がわからない

もう一度味を噛み締める

美味しい


2020/2/28 by Napple


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