2022/6/20
COFFEE HUNTERSのブルーハ ゲイシャウォッシュト版。「母の日ばかり祝ってもらってはねえ」と母が用意してくれた「父の日の」お祝い珈琲。父になることはできなかったが、適当な理由をつけてお祝いをしている。
レモネードを思わせるなめらかな甘みと、とろみを感じるマウスフィール、シュトラスピールの爽やかさ、キャラメルのような濃厚な甘味を同時に楽しめる。クリスタルを思わせる透明感と軽やかな飲み口はコトワ農園の系譜を感じさせる。
BG:ブルーハ ゲイシャ(コトワ農園ゲイシャ 2022Washed)
生産国:パナマ共和国
生産地:チキリ県ボケテ地方
農 園:コトワ農園
標 高:1600〜1800m
栽培種:アラビカ種ゲイシャ
プロセス:ウォッシュト
原料豆輸送:リーファーコンテナ
賞味期限:2023/05/16
強く感じられる:レモン、キャンディ、キャラメル
微かに感じられる:オレンジ、グレープ
味わいの強さ:6/10
酸味:8/10
苦味:4/10
甘味:7/10
焙煎度:4/10
COFFEE HUNTERS STORYより
コトワ農園のブルーハ(魔女)の畑は、メインの農園から1時間半ほど離れた別の尾根にある飛地です。農園主のリカルドに初めて案内された時は、畑まで行き着けず四輪駆動車を路肩に止めて歩いてたどり着いたほどの悪路でした。数十年間見捨てられていたこの畑をリカルドは購入し、野生化して生き延びていたティピカを復活させ、ゲイシャの苗も新たに植えました。2016年に初めてティピカの収穫をした当時は、道路は多少良くなっていましたが、畑には水道がなかったのでウォッシュト(水洗式)の加工をすることができませんでした。かといって設備のあるメインの農園まで少量のコーヒーチェリーを毎日運搬するのは大変です。そこで果皮がついたまま乾燥させるので水の必要ないナチュラル(非水洗式)でプロセスしました。その後道路も整備されてきたので、ブルーハの畑でも両方のプロセスで楽しんでいただけるようになりました。ブルーハゲイシャナチュラルは2020年8月にデビューし、多くの皆様に高い評価をいただきました。今回初めてブルーハゲイシャウォッシュトを世に出すことになりました。魔女が住むと言われた森で育ったゲイシャをお楽しみください。
感想
開封すると甘くフルーティな香りが立つ。
中挽きで挽くと香ばしい香り。
MUGENを使用して1人分10gでドリップ。
豆の膨らみ具合もとても美味しそう。
淹れたての香りもフルーティ。
一口目は甘くフルーティ。
喉越しに爽やかな酸味。
飲み終わった後スッキリ。
苦味はほとんど感じられず透明感がある。
冷めても美味しくまた飲みたい。
ほとんどフルーティと言っているのが可笑しい。複雑な味わいで、爽やかな甘味、酸味、香りを称してフルーティということなのだが。あえて細かく表現するならば、キャラメルのような甘さにオレンジやグレープのような甘さと酸味が加わった感じということか。浅煎りゲイシャ特有の酸味が今まで飲んだゲイシャ共通の風味だ。母も「甘いね」と喜んでいる。
追記
旦部幸博氏が「モカは代表的なナチュラル精製で、独特な香りがあり、これをモカ臭という」と語っていた。そのことを知ったばかりの頃モカを飲むたびに香りを嗅ぎ、そこになんとなく発酵したような匂いがするような気がして、これがモカ臭なのかと感心した。実はモカじゃなくてもナチュラル精製した珈琲豆は似たような香りがするはずだ。
左:ウォッシュト2022/右:ナチュラル2020
今回は同じ農園でプロセス違いのゲイシャを味わう好機を得た。脱穀後水で洗い乾燥させるウォッシュトと、果肉をつけたまま乾燥させ脱穀するナチラルである。ナチラルは生豆の色もウォッシュトとは異なり、果肉の甘さが移ったり、乾燥過程で発酵して独特の香りが付く。つまりモカ臭的な香りがあったはずなのだ。慣れてくると生豆、焙煎豆、味わいだけでナチュラルと分かるくらい特徴的だという。
さて、2年前に飲んだ珈琲と比べるのだからあやふやこの上ないが、あえて言えばナチュラルの方が甘みが際立っていたような気がする。しかしこれは知識が先行して感じたことかもしれない。残念ながら焙煎豆を見てもウォッシュトとナチュラルの区別はつかない。
ゲイシャの味を音に例えると、どんなだろうと夢想してみた。するとSP盤の音のような気がしてきた。それはモニョモニョした大昔から聞こえてくるようなところと、妙にキッパリとした音立ちが、ほろ苦さを何処かに置き忘れたようで、それでいて甘酸っぱい味がきゅっと胸を締め付けてくるゲイシャに重なったのだ。美味しい珈琲を味わうひとときちょっと古臭い音に酔いしれる。
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