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執筆者の写真Yukihiro Nakamura

イエメン・マタリ

更新日:2020年2月15日


 主な宗教はイスラム教で、北部はシーア派系、南部はスンニ派系が多い。北部は1918年にオスマン・トルコから、南部は1967年に英国から独立。部族間の対立に加え、北部が親米、南部が親ソ連の路線を取ったために対立が続いた。1990年に統合したが、1994年には南北間で内戦が勃発。 現在も、シーア派とスンニ派の対立による内戦が続いている。このため生産や出荷が難しくなっている。また、イエメンが平和を損なう行為をしているとして、イエメン製品の輸入制限など経済制裁を課している国々も多く、日本の経済産業省でもイエメンに対し、国連安保理決議に基づき資産凍結等の措置を講じている。いまやモカ・マタリは入手しにくい珈琲かもしれない。


豆について

  1. 国名:イエメン共和国

  2. 地域:サナア西部 ハラズ・ハイマ・バニマタル地方

  3. 精製:やや水分を残した状態で保存されたチェリーを脱穀精選

  4. 乾燥方法:天日乾燥

  5. 品種:地場品種

  6. クロップ:2018-2019

  7. スクリーン:グレードA スクリーン15

  8. 標高:1500m〜

イエメンのサナア

 品種を問い合わせたが残念ながら回答がない。検索してもなかなか情報が見当たらず、モカ・マタリは原生種に近いという記述が見つかったのみだ。豆の形やサイズにばらつきがあるのはモカ・マタリの特徴らしい。今でも昔ながらの原始的な方法で精製されているのがその理由だ。イエメンのバニマタル地区で栽培されたことから「モカマタリ」の呼び名がついたと言われている。現在は、イエメン産のコーヒーであれば、バニマタル地区以外のものでも、全て「モカマタリ」と呼ぶことが多いようだ。

 イエメンは、エチオピアと並び珈琲生産および文化の源流であり、「モカマタリ」のブランドで知られる。しかし生産される珈琲は、生産農家から輸出までのルートが複雑であり、選別の粗い品質のものであると言われている。そのような中、"アルマカ"に関しては、イエメンで唯一 最新式のイタリア製選別機を有する「イエメンコーヒープロセッシング」という輸出業者が、保管と選別を丁寧に行っている。

 

結果


EM:イエメン・マタリ・アルマカ G-A

  1. 自家焙煎の中煎り、中細挽き、焙煎2日目。

  2. 豆を挽くと、とても良い香りが立った。

  3. コーノ式で飲む。

  4. 蒸らしの膨らみはとてもよく膨らむ。

  5. 一口飲むと苦味と甘味がある。

  6. 喉越しスッキリ、コクがあり酸味は少ない。

 モカ・マタリをようやく飲むことができた。とても美味しい珈琲だ。豆を焙煎したときはチョコレートを思わせる甘い香りがしたが、挽くと香ばしい香りに変わる。ドリップするときも良い香りが立ち、なんとなくこれがモカ香かなという香りだ。それは発酵臭というか、少し酸味を感じさせる香りである。甘味と苦味が一体となった複雑な味わいで、キレもよくコクも感じる。モカの独特の酸味についての記述を目にするが、今まで飲んできたモカはいずれも、焙煎具合によるものかもしれないが酸味をあまり感じない。 

 

追記


 モカ・ハラーエチオピア・イルガチャフィーエチオピア・ゲラと珈琲最古のブランドであるモカと出会いながら、イエメンのモカ・マタリを避けるようにしてきた。初期の段階でモカ・ハラーを試したことでモカはもうわかった気になっていたようだ。モカにもいろいろある。例えばこんな感じ。

  1. ゴールデンマタリ(バニマタル) イエメン

  2. モカ・イスマイリ イエメン

  3. モカ・ハラーズ(ハラズ) イエメン

  4. モカ・シダモ エチオピア

  5. モカ・ハラー エチオピア

  6. イルガチャフィー エチオピア

 いろいろわかってくると、ひとつ味わったぐらいでは語れない気がしてきて、いくつか試しながら、気がつくとモカ・マタリは後回しになっていた。モカの歴史やモカという名前のあれこれなど、たかがモカ、されどモカ、知れば知るほどに味わい深い珈琲である。珈琲のことを知りたいと思い、思いつくままに試すことができ良い年だった。



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1 Comment


Yukihiro Nakamura
Yukihiro Nakamura
Jan 08, 2020

2020/1/8

「地場品種とはどのような品種でしょうか」の問い合わせに 古くからその土地で栽培されている、品種改良などされていない野生種になります。 との回答が来た。アラビカ種なのだろうと思う。

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