エチオピア帝国と日本の皇室は世界最古級の皇室だという。そんなエチオピアは珈琲の木の原産国でもある。さて、エチオピアには◯◯モカと呼ばれる珈琲がある。ところがモカはイエメンの地名だ。どういう事だろう。モカという名の不思議を探ってみようと思う。
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豆について
国名:エチオピア連邦民主共和国
地域:ダモ地方イルガチャフィー地区
精製:ナチュラル
品種:ブルボン
クロップ:2017/18
収穫:10月〜12月
標高:1900m
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エチオピアのイルガチャフィーとイエメンのモカ。
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飲む前からイチゴジャム、ブルーベリーのようなナチュラルモカの香りがある。甘み香りと、柑橘系の酸味もしっかり楽しめる。紅茶のような香り、青リンゴのような爽やかなフレーバーもある。クリーンなナチュラルモカ、強さもある。SCAA評価84.5点
結果
EI:エチオピア・イルガチャフィーセラムG1
自家焙煎の中煎り、中挽き、焙煎2日目。
豆を挽くとフローラルの香りが立つ
コーノ式で飲む
蒸らしの膨らみはよく膨らむ
一口飲むと甘い
喉越しスッキリ、酸味少々、苦味ほんにょり。
おうちカフェを発動した初期に入手したのがモカ・ハラーだった。喫茶店で飲んだカフェ・ベートーベンはイルガチャフィーだった。いずれも一口目に甘味を感じたのが記憶に新しい。モカは酸味が特徴ということだが、甘みを押したい。
追記
モカという名の不思議の答え
珈琲の木の原産はエチオピアだが、これを世界に広めたのはアラビア半島の商人たちで、イエメンのモカは珈琲発祥の地と言われている。かつてモカの港からは、イエメン産の珈琲豆と、エチオピア産の豆も一緒に輸出されたため、両国産の珈琲豆を合わせて「モカ」と呼んだ。
イエメン産の珈琲豆は特に「モカ・マタリ」ともいい、イエメン北西部の高地産である。さわやかな香りと強い酸味のある味わいが特徴で、かつて「コーヒールンバ」にも唄われ、日本でも人気が高い。「No.9」というのが、欠点豆の混入が比較的少ない等級であるが、ブラジルの「No.2」と比べると数倍から十倍ほどの欠点豆があり、焙煎に際しては入念なハンドピックが必要である。
エチオピア産は「シダモ 、ハラー 、イルガチャフィー、アビシニア、ディマ、レケンプティ」など、収穫地名が付けられている。珈琲は苦みが少なく酸味が強い、フルーティーな香りがある。モカ珈琲は、比較的高価なモカ・マタリはストレートで飲まれることが多いが、エチオピア産はブラジルやロブスタなど苦みが強い豆とブレンドされることが多い。
「モカ珈琲」は、珈琲豆の収穫産地を指すブランドのことで、エチオピア産やイエメン産の珈琲豆をモカと言い、モカから抽出した珈琲がモカ珈琲である。
「モカ・ジャバ」は、ジャワ島産ロブスタ種とイエメン産珈琲のブレンド。
「カフェモカ」は、ホイップクリーム、チョコレートクリームを加えたエスプレッソのことを指し、珈琲豆にモカを使用するという決まりが特にあるわけではないため、モカ珈琲とは関係がない。
「マキネッタ」で淹れた珈琲をエスプレッソ と区別してモカと呼び、マキネッタのことを「モカエキスプレス」とも呼ぶ。
イエメンのモカは15世紀に世界へ珈琲を広め、17世紀に珈琲取引で大繁栄した。ところが18世紀ペストの大流行による人口の半減、他国からの介入や攻撃、エチオピアが輸出を低価格で始めたことによる輸出減により、モカは珈琲豆を輸出する港ではなくなってしまった。
モカが珈琲発祥の地であったことから、珈琲の事を総じて「モカ」という傾向があったようだ。ところが肝心のモカ港が廃れてしまった。そうしたこともあってか、エチオピアの珈琲名からモカが取れ始めている気がする。モカという名にも諸行無常の響きがある。
2019年10月11日
奇しくも、今年のノーベル平和賞に、アフリカ東部エチオピアのアビー・アハメド首相が選ばれた。国境線をめぐり、長年対立が続いてきた隣国エリトリアとの和平を成し遂げた功績が評価された。おめでとうございます。