2022/1/9
COFFEE HUNTERSシリーズの新たなゲイシャ。
艶やかな舌触り、ジューシーな飲み心地にふわりと香るシトラスピールとアニスのフレーバーから始まり、焼きたてのチョコレートクッキーやブラウニーのような、香ばしさを伴う甘みへとおもむろに移り変わっていく様は、まさにセルバ・ネグラ農園由来の味わいを感じさせる。
SG:セルバ・ネグラ・ゲイシャ
生産国:エル・サルバドル共和国
生産地:サンタ・アナ県サンタ・アナ地方
農 園:セルバ・ネグラ農園
農園主:フローレンス・ヒル・マティス
標 高:1,750m
栽培種:アラビカ種ゲイシャ
プロセス:ウォッシュト
輸 送:リーファーコンテナ
賞味期限:2022/12/27
強く感じられるフレーバー:グレープ、レモンピール、ブラウニー、キャラメル
微かに感じられるフレーバー:スターアニス、ミント、あんこ
味わいの強さ:6/10
酸味:7/10
苦味:3/10
甘み:8/10
焙煎度:4/10
COFFEE HUNTERS STORYより
エル・サルバドル西部にそびえるサンタ・アナ火山周辺は、コーヒー栽培に最適な土壌と気候に恵まれています。この地域なら、これから開業するミカフェートのGrand Cru Cafe’として紹介できる最上級のコーヒー畑があるだろうと推測し、2008年1月にこの山に入りました。しかし四輪駆動車で悪路を走り回り、数えきれないほどの農園を訪問しましたが、僕の眼鏡に叶う畑に巡り会えませんでした。疲れ果てて諦めて帰ろうと狭い山道で苦労してUターンをしている時、このセルバ・ネグラ農園の畑が僕の目に飛び込んできました。道路から見えたそこに植えられていたケニア栽培種(呼称)に惚れ込んでしまったのです。それからこの農園の所有者マティス家との付き合いが始まりました。Grand Cru Cafe’と定めた畑(レセルバ・ケニア)から採取した種子で苗を作り、それを植えた畑(エスコンディード)はGrand Cru Cafe’ LIMITEDとして紹介し、バルソヴィア畑はPremier Cru Cafe’を生産しています。数年前にエスコンディードの少し下側に、試験的に植えたのがこの度ご紹介するゲイシャです。試験栽培なので収穫量はほんの僅かですが、販売をミカフェートに託してくれました。サンタ・アナ火山の環境と、マティス家の経験が生み出すゲイシャをお楽しみください。
感想
開封すると、フルーティーな香りに美味しそうな予感が広がる。
二人分20gの豆を中挽にすると、香ばしさが加わる。
MUGENでドリップすると、珈琲らしい香りが一段と増す。
蒸らしもいい具合に膨らみ、見るからに美味しそうだ。
一口目、甘い。
美味い。
爽やかな甘味の中に酸味がくる。
喉越しも、キレがいい。
二口目、ゲイシャ独特の複雑な味を楽しむ。
飲み終わった後も、雑味のない爽やかさ。
もう一杯飲みたい。
自家焙煎したコロンビアのゲイシャと比べると何もかもが違う気がする。自分で焙煎したゲイシャは美味しい珈琲だった。COFFEE HUNTERSのセルバネグラ・ゲイシャは次元が違う美味しいゲイシャと言えば良いだろうか。焙煎された豆の色合いからしておいしそうだ。開封した時、挽いた時、ドリップした時、飲んだ時の香りは鮮烈で心地よく。口にすると酸味と甘味と複雑な深みがくっきりと際立ち、これがゲイシャなのだと言っているようだ。
追記
コーヒーオイルのこと
焙煎すると豆が汗をかく。触ると水というより油分であることがわかる。拭き取らない限りこの油分は豆の表面にとどまっている。ところがミカフェートの豆はサラッとして汗をかいていない。拭き取っているのだ。これこそおいしく珈琲を味わう秘訣なのかもしれない。
珈琲豆の汗はコーヒーオイルだ。つまり味に関わる要素で、甘味を期待して拭きたくない気持ちになる。しかしペーパーフィルターはコーヒーオイルをほどんど通さないからそもそも不要かもしれない。また豆に油分があると挽く時に豆が張り付きスムースに挽けなかったり、ミルに汚れが蓄積され良いことはない。
最初はコーヒーオイルを楽しめる淹れ方を求めていた。ところがペーパードリップに落ち着いた。フレンチプレスや金属フィルター、ネルドリップなどコーヒーオイルを味わえる方法をとっていない。その理由は単に使いやすさだけではなく、雑味とかえぐみを感じることが多かったからだ。コーヒーオイルを楽しむにはもうすこし時間が必要だ。
美味しい珈琲を淹れるコツ
美味しい珈琲は人それぞれ感じ方が違うだろう、でも不味さはおおむね一致するのではないか。煮詰まった焦げ臭い珈琲は論外だが、雑味やえぐみのある珈琲は美味しくない。どんなに新鮮で良い豆でも、淹れ方が悪ければ不味くなる。つまり美味く珈琲を淹れるコツは、いかに不味くさせる要因を取り除くかということだ。
焙煎前に色が悪かったり割れたりかびた豆を取り除く。
偏りなく焙煎する。
ゴミやチャフを取り除く。
焦げた豆を取り除く。
豆についた油分を拭き取る。
適量の豆を挽く。(多すぎても少なすぎてもいけない)
適温でドリップする。(熱すぎても冷めすぎても良くない)
ドリップしすぎない。(雑味が出る前に抽出を止める)
こうして書き出してみると当たり前のことばかり。ところがこれが難しい。例えばピッキングではねた豆を捨てられない。勿体無いと思ってしまう。せめて豆の油分を拭こうとするのだが、キッチンペーパーで焙煎した豆を包み揉むようにして拭き取っても綺麗に全体を拭くことができない。結局適当なところで切り上げ、そのうちふき取りをやらなくなってしまう。その点ミカフェートは1〜5までをほぼ完璧に実現してくれている。
次に淹れ方だが、適量の豆というのが実は難しい。毎回10gが適量というわけでは当然ない。豆そのものの個性や焙煎状態で変化するから、飲んでみて増やしたり減らしたりするというのが現実的だが、自分で飲む時こんなことはしない。さらに、いざ淹れようとした時に豆が少なかったり、2杯淹れるには少ないが1杯には多い、そんな時、少ないままに淹れたり、ちょっと多めで淹れてしまったりする。自分一人で飲むときはこんなもんだろう。でもいずれもできないことではないので、母に淹れるときはこうしたことを気にして淹れる。すると母は「ああ美味しい」と言ってくれる。
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