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執筆者の写真Yukihiro Nakamura

抹茶

更新日:3月20日

2024/2/14


 バレンタインデーにお抹茶を点てた。自分のための本命チョコ、絶滅する義理チョコと時代は変わっていくけれど、我が家は変わらず母が何某かのチョコをくれる。ありがたい。



 さて、抹茶に関わる思い出。我が家のお茶道具は母のものでその出自は父との関わりが深い。岡崎医療刑務所で職業指導として窯業を行うことになり刑務官だった父がその準備をした。各地の釜を視察して、先生を迎え、窯を開き、釉薬を作り、一緒になって陶芸に励んだ。刑務所の住所にちなんで「上地焼」と名付けられ、刑務所の製品即売会で販売した。その時招いた陶芸の杉浦先生は加藤唐九郎の弟子だった。また慰問に訪れた三遊亭小円歌さんは岡崎医療刑務所の窯で作品を焼くことがあったという。我が家にある茶器はそんな時代の作品だった。


  • 杉浦先生の窯で焼いた茶碗。

  • 杉浦先生が形を作り父が釉薬を作って焼いた上地焼きのお茶碗。

  • 上地焼の窯で焼いた三遊亭小円歌さんの黄瀬戸のお茶碗。

  • 上地焼の窯で焼いた三遊亭小円歌さんの志野のぐい呑み。

  • 杉浦先生の上地焼きのお茶碗。

  • 杉浦先生の上地焼きの夏茶碗。

  • 上地焼の備前焼に似た建水。


 刑務所の官舎に暮らした間、気苦労も多かったようだが、母は日本人形の製作や、日本舞踊、お茶、お花などいろいろなことを習った。子供時代に少し私も教えてもらったが、ちゃんとした作法は忘れてしまった。今回は鉄瓶を茶釜に見立て無手勝流で点てた。作法通りではないけれど茶筅捌きを母は楽しそうにみていた。珈琲もそうだが抹茶も飲む時同様に淹れるまでが楽しい。母の雛人形を飾り、美味しいお茶とチョコレートを楽しみながら我が家のバレンタインデーは暮れてゆく。


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