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執筆者の写真Yukihiro Nakamura

焙煎度 その3

更新日:2020年2月15日


 その1で焙煎する過程を観察し、その2で焙煎のカラクリを調べた。いよいよその3で実際に8段階の焙煎をして、豆の状態と味を確認する。

 今回の実験は、浅煎りの判断が見当違いだったが、焙煎度の違うブレンドという面白い味わい方を発見した。

 

使用した豆

  1. パカマラを10gずつ8回焙煎する。


実験方法

  1. 生豆をイタリアンからライトの順で焙煎する。

  2. 浅煎り中煎りの段階を何度か見ることでタイミングを予習する。

  3. 煎り具合の判定は先に焙煎した色より薄い色となることで判定する。


 

焙煎結果

時間と重量とハゼのタイミング

  1. 50gで焙煎していた時に対して約半分の時間で焙煎している。

  2. 中煎りのタイミングは時間的にシビアなため、火を止めてすぐに冷却しないと焙煎が進んでしまう。

  3. 焙煎が進むことを見越して早めに取り出したり、見誤って取り遅れたりしている。

  4. 煎りが浅いほど熱の加わり方にバラツキが出る。

  5. イタリアンローストは焙煎時間が長めとなった。連続して焙煎したことで予熱され、以後の焙煎時間は短めとなった。

  6. ライトは焙煎後の重量が10gと減少しておらず、水分が抜けていない。シナモンもミディアムも同様に重量の減少が微量であることから、判断が早かったと思われる。

  7. ハイとシティの煎り分けができていない。20秒の加熱時間の差と0.1gの重量差はあるが、見た目は差がわかりにくい。

  8. 1ハゼ2ハゼの発生が毎回同じではなかった。これは連続して焙煎を行なったことで、余熱状況がその都度変わり、均一性が保てなかったのではないかと思う。

  9. 1回の焙煎量が少量だったことも、均一性を損ねた原因ではないかと思う。50gで焙煎すると、豆に豆が重なり焙煎時間も長くなることでもう少し均一に焙煎できるのではないだろうか。

  10. 浅煎りは難しい。


テイスティング結果


 スティーピングで味の評価を行なった。

焙煎度による酸味、香り、甘味、苦味の変化


  1. ライトとシナモンは挽く時ゴリゴリと通常より固いものを挽くような音がする。

  2. ライトとシナモンは挽くとピーナッツの香りがする。

  3. ライトとシナモンは酸味よりも香ばしさと甘味が際立つ。

  4. ライトとシナモンは本来のライトとシナモンより前の段階であった。

  5. シナモンとミディアムの間で極端に性質が変わっている。

  6. 1ハゼまで焙煎することが重要なことを痛感。

  7. ミディアムがシナモンあるいはライトなのだとおもう。

  8. ミディアムがシナモンだと茶色が強いように思う。これはパカラマだからだろうか。焙煎温度によるのだろうか。

  9. 香りは焙煎段階に応じて質が変わり、一律に評価するのは難しい。

 火力調整できない焙煎機で焙煎する場合、焙煎段階は時間で制御することになる。焙煎機の加熱特性は概ねリニアな右上がりなので、ハイとシティの焙煎時間をもう少し長く取って、時間グラフがリニアな感じになればもう少し良好な8段階になるかもしれない。


 

追記


 簡単に8段階の煎り分けができるとは思っていなかった。難しいが面白ろい。今回スティーピングで味の評価を行なった後で、全部混ぜて飲んでみると、浅煎りのナッツ風味が加わった面白い味になった。とても複雑な風味がある。ブレンドの手法として、種類の異なる豆をブレンドするのではなく。同じ豆の煎り具合の違うブレンドは、もともと同じ豆なので相性も良い。酸味を出したい場合浅煎りを多く、苦味を出したい場合深煎りを多くする、いい考えかもしれない。さらに、怪我の功名だが、超浅煎りをブレンドするととても面白い風味を味わえる。


 現在頼んでいる電動焙煎機の焙煎温度特性は次のグラフのような制御が行われる。手動焙煎機のリニアな温度特性と随分違う。この違いがどんな風に豆の仕上がり、味の違いになるか楽しみだ。

 電動焙煎機は一気に温度を上げることができるようだ。トータルの焙煎時間が同じで中煎りと深煎りを煎り分けている。残念なのは中煎りと深煎りの2種類の焙煎のみということだ。浅煎りがのみたい場合は、手動焙煎機で焙煎することになる。ちゃんと浅煎りにするためにも実戦あるのみ。



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