焙煎度合いは浅煎りから深煎りまでおおむね8段階で表現される。この8段階を実際に焙煎してみようと思う。焙煎の目安はハゼるタイミングと色で判断する。
ライトを除く7段階、フルシティとフレンチの間にコンチネンタルを加えた9段階、ライトとシナモンの間にニユーイングランド、ミディアムとシティーの間にミディアムハイ、フルシティーとフレンチの間にベニス、イタリアンの次にスパニッシュを加えた11段階など、表現は様々だ。さて、僅かながら焙煎を経験した感触では、ハゼのタイミングと色が一致する気がしない。
使用した豆
パカマラ
実験方法
焙煎をイタリアンローストになるまで続ける。
その過程でハゼる時間と色を記録する。
記録からどのタイミングがどの焙煎具合か判断する。
繰り返すことで焙煎具合の頃合いを体感的に掴む。
結果
時間とタイミングと実際の色の関係を表にした。焙煎段階はタイミングに合わせた。
正しい色見本があるわけではないので、必ずしもこうだとは言いきれないが、案の定タイミングと、色は浅煎り段階でズレている。
タイミングとしては1ハゼの始まりがライトローストだが、1ハゼまで時間をかけると色はミディアムローストかハイローストに見える。
ライトローストの黄色がかった小麦色は1ハゼよりだいぶ前の段階に訪れ、1ハゼまでにシナモンロースト、ミディアムローストになっているように見える。
1ハゼから2ハゼは連続的に起こり、ピークや終わりは後になってわかる。まさにここらあたりは経験が必要だ。
なんとなく中煎りから深煎りに仕上げるのはさほど難しくない。
浅煎りは1ハゼまで待つと逃してしまいそうで難しい。
写真は順に表の1から8までの記録。
追記
手動の焙煎機は毎回火力が変化するため、焙煎時間が変化する。
火力の変化は、アルコールランプの芯の出具合やアルコールの消耗程度の影響だったり、続けて焙煎を行う事で焙煎機が熱せられ、余熱状態が変わるからだと思う。
余熱せずにローストを行うと、温度上昇が遅くハゼのタイミングに対して表面だけ加熱され色がつくのではないかと思う。
焙煎機から豆を取り出しても余熱で焙煎が進むため、目的の焙煎になる手前で火を止める判断が必要。
いつが1ハゼの始まりか判断が難しい。かなり早い段階でポンと爆ぜる音がすることがある。豆を洗っているので、拭き残した水分が蒸発した音かもしれないし、気の早い豆の1ハゼかもしれない。
重要な事ではないが、全ての豆が1ハゼを起こしているか疑問がある。約200個弱の豆を焙煎して、爆ぜる音が200回以上しているように思えない。全ての豆が加熱されハゼるが音がするとは限らないのじゃないかと思う。
2ハゼはもっと難しい。本当に2ハゼが始まってしまえば1ハゼとちょっと違う軽い感じのパチパチ音がするのだが、1ハゼの続きか2ハゼの開始かわかりにくい。
豆によって進行が異なり、ハゼるタイミングや、色の付き具合が違う。
オートマチックのロースターは豆の種類など設定できるようになっているのだろうか。だとしても、豆の種類が同じでも生産地や年によって豆の大きさ乾燥状態などが違うだろうから、人が目で見てローストするようにはいかないのではないか。
RCR-50は透明ガラスの中で焙煎状態が常に目視できるが、業務用の焙煎機はサンプルを取り出して確認する必要がある。タイミングを計るのが難しそうだが、実はそこに憧れる。チャンバーに差し込まれている細長いスコップを引き抜いて目視で確認する姿は、カッコ良い。
焙煎は豆とロースターのことを知り、経験を積むことでできる技だ。
2箇所の焙煎店で浅煎り中煎り深煎りを頼んだ。色合いは豆やお店で違っていた。浅煎りが中煎りに見えるほど色が濃いものがあった。お店としては、浅煎りが中煎りになてしまった場合、やり直すのが良心的だが経済的じゃない。浅煎りとして売ってしまいたいかもしれない。
焙煎店は浅煎りを頼まれると、腕の見せ所だけれど、実は嬉しくないかもしれない。
買い手としては少量で買えると嬉しい。売り手としては、少量の焙煎は手間がかかるばかり。つい、自分が売り手になった場合のことを考える。
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