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執筆者の写真Yukihiro Nakamura

エスプレッソの起源

更新日:2020年2月15日


 エスプレッソ(espresso)は、イタリア発祥のコーヒーである。細かく挽いたコーヒーの粉に、水蒸気で圧力をかけて短時間で抽出したコーヒーのことを指す。蒸気圧を使って素早くコーヒーを抽出することから、英語の「EXPRESS(急行)」と同じ意味を持つ、イタリア語の「ESPRESSO」が語源になったといわれている。普通のカップの半分ほどの大きさのカップで提供されるため、デミタスとも呼ばれている。demiは半分、tasseはカップという意味。


コーヒー豆の発見と伝搬


 コーヒーの起源は、エチオピアの羊飼いが初めて口にしたという説が有力である。エチオピアの草原で放牧生活をしていた羊飼いが、木になっている赤い実を食べたところ、爽快な気分になった。羊飼いはその赤い実を食べ、日々元気に働いていた。その様子を、たまたま通りかかったイスラム教の僧侶が見て、その不思議な力に驚き、赤い実を寺院に持ち帰った。仲間の僧侶に食べさせたところ、眠気が取れ爽快な気分になることから、魔法の豆として、愛用されるようになった。(山羊飼いカルディの伝説)以後、コーヒー豆はイスラム教の僧侶達を通して全土に広がって行く。


コーヒーの誕生


 1511年にエジプトのカイロに世界初のコーヒー店が作られた。1554年にはトルコの首都コンスタンチノーブルに「カヴェー・カネス」というコーヒー店が誕生する。この当時のトルコでは、コーヒー豆を煎り、それを石うすで挽いて煮だして飲む方法が広く親しまれていた。これがトルココーヒーである。このトルココーヒーが現在のコーヒーの原点になる。そして、イスタンブールにきていたイタリアやウィーンの商人たちにより、ヨーロッパ各地に広まっていった。


エスプレッソの誕生


 1806年、イギリス製品をボイコットするためナポレオンが発令した大陸封鎖令により、フランス植民地からコーヒー豆の輸出規制がなされた。このことがきっかけで、カフェインを含まないチコリコーヒー(チコリや穀物を焙煎した、コーヒー風味の飲み物)など多くの代用品や、新しいコーヒー飲料がうまれた。また、これが原因になりイタリアではコーヒー豆が急激に不足し、潰れるカフェも増えた。そんな中、ドイツの文豪ゲーテもよく立ち寄ったとされる、ローマの「カフェ・グレコ」の3代目サルヴィオーニは、苦肉の策としてカップの大きさを3分の2にして、コーヒーの量を減らし、価格を下げるという策で困難を乗り切ろうと考えた。その結果、小さめのカップでコーヒーを飲むというスタイルが受け入れられ、確立した。これが現在のデミタススタイルの起源である。そしてカップの中身のエスプレッソは、デミタスカップの誕生から1世紀ほどたった1901年、抽出速度を追い求めたベゼラ社の創始者ルイジ・ベゼラによって開発され、この特許を買い取ったデジデリオ・パボーニが1906年のミラノ万国博覧会に「ベゼラ」という名前で出品したのがエスプレッソの起源であり、1杯ずつ注文に応じて淹れる手法がトルココーヒーで既に定着していたイタリアで広く受け入れられた。現在多く用いられている電気式のマシンは、1961年にエルネスト・バレンテによって開発された。


余談

  • エスプレッソとは本来、マシンで高圧抽出されたものだけを指し、直火式で抽出されたものは「モカ」と呼ばれて両者は全く別の飲み物として認識されている。

  • エスプレッソは抽出方法なので、紅茶でも可能である。

  • 通常のエスプレッソは、一杯当たりコーヒー豆を7g程度使用する。14g程度使用したものはドッピオ(doppio、ダブルの意味)と呼び区別することもある。

  • 日本でエスプレッソドリンクが広く受け入れられるようになったのは、スターバックスをはじめとするシアトル系コーヒーショップがチェーン展開されたことが大きい。


(Wikipediaより)


 

もう少し調べてみる


友人が良いことを教えてくれた。図書館が調べ物をサポートしてくれるというのだ。そこで浜松市立図書館のレファレンス確認サービスに問い合わせてみることにした。


問い合わせ内容(抜粋)

「エスプレッソの起源について調べています。というのも、珈琲を楽しむうちにどうして圧をかけて抽出することを思いついたのか気になり調べだしたのですが、ネットで検索できるエスプレッソに関する情報は、どれもWikipediaの記述に酷似しており、それ以上の情報が見当たらないのです。」


回答

お問合せありがとうございます。エスプレッソの起源について書かれた、以下の図書館資料をご紹介します。19世紀後半から20世紀初頭の部分を一部引用いたします。お役に立てば幸いです。

1.「コーヒーの歴史」マーク・ペンダーグラスト/著 河出書房新社 2002年p261~『ヨーロッパのコーヒー事情』より二十世紀初頭に即席コーヒーの需要に応えるために考案されたエスプレッソは、すぐに熱心なファンを獲得した…という記述が見られます。

2. 「図説コーヒー」UCCコーヒー博物館/著 河出書房新社 2016年p78~『エスプレッソ』より19世紀後半よりイタリアとフランスで、蒸気圧を利用してコーヒー抽出する試みが盛んに行われていた。鉱山や工場の機械に蒸気機関が使われ始め、蒸気機関車が登場し、人々が蒸気というものの威力と扱い方を知った時期である。1855年のパリ万博では、蒸気を利用した巨大なコーヒー抽出器で、1時間に2000杯分を抽出しサービスしたと言われる。これが人気を博してヨーロッパに広まった。という記述が見られます。

時代のニーズに合わせるための試行錯誤が背景にあるように思います。今回ご紹介した本は、貸出可能です。引用した前後の時代についても詳しい歴史が掲載されているので、よろしければご利用ください。


蒸気機関の登場がエスプレッソの登場につながったというのは興味深い。こんな個人的な疑問に図書館の方が付き合ってくださるなんて、本当にありがたい。早速本を借りて読んでみることにする。


閲覧数:359回2件のコメント

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2 Comments


Yukihiro Nakamura
Yukihiro Nakamura
Apr 04, 2019

エスプレッソについて別の情報を知りたいと検索して出てくるページは、どれもWikipediaの記述に酷似している。きっと私を含めてWikipediaを参考に自分の言い回しで書きなおしているのだろう。

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Yukihiro Nakamura
Yukihiro Nakamura
Apr 04, 2019

どうして圧をかけて抽出する方法を思いついたのか調べるのだが、どうにもこのことに関する回答が見つからない。ルイジ・ベゼラが突然思いついたということにしておこう。

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