イタリアのアルフォンソ・ビアレッティが1933年に発明したモカエキスプレスは日本ではマキネッタとも呼ばれ、水を沸騰させた蒸気圧(約2気圧)で珈琲を淹れる直火式エスプレッソメーカーである。マシンで高圧抽出(約9気圧)されたものが「エスプレッソ」で、直火式で抽出されたものは「モカ」と呼び別物といわれているが、実際にどう違うか比べた。
使用した機材
BIALETTI直火式 モカエキスプレス 1カップ 1161
De'Longhi EC860M(比較したエスプレッソマシン)
電動ミル:KalitaネクストG
三脚
三角架
アルコールランプ
使用した豆
トラジャママサ 深煎り(焙煎15日目)細挽き7g
マキネッタの淹れ方
準備
分解して水洗いする
金属臭を取るため水だけを入れたテスト炊きを3回行う(最初のみ)
アルコールランプの火力による抽出時間を確認(約6〜7分)
コーヒーを淹れる
ボイラーに水を安全弁より5mmほど下まで注ぐ約40cc
トラジャママサ 深煎り細挽き約7gをバスケットに入れ平らにする
サーバーを取り付ける
アルコールランプの火にかける
抽出まで待つ約6分
抽出が終わったら火を消しカップに注ぐ
結果
マキネッタ(直火)とマシン式(機械)で淹れたエスプレッソの飲み比べ結果
エスプレッソ独特の風合いは共通している。
マキネッタは苦味が目立つ。
珈琲オイルが抽出されているように見えたが、クレマは見られない。
マシン式と比べ明らかに甘みやコクが少ない。
若干粉っぽい。
冷めると味が落ち着き飲みやすく感じた。
追記
左がマキネッタ・サーバー側のフィルター、中央がマキネッタ・バスケット側のフィルター。右は機械式フィルター。明らかに穴の大きさが違うのがわかる。
マキネッタの構造はパーコレーターに似ていて、原理はサイフォンにも似ている。パーコーレータのバスケットの上下にパッキンを付けて圧力がかかるようにしたものがマキネッタという感じだ。沸騰した蒸気とお湯で抽出するので過抽出気味になりそうだが、パーコレータのように繰り返し抽出することがない分すっきり抽出できる。マシン式は圧力を高くして抽出温度もコントロールできるので断然美味しい。
淹れるのも後片付けもマシン式が簡単で味もいいので、マシン式の一人勝ちと言いたいところではあるが、ビアレッティーのモカエクスプレスはコンパクトで精緻な造形がとても美しい。そこにあるだけで絵になる。実際に使用しているかわからないけれど、多くの喫茶店で見かけることができる。アレッシやクーポラも魅力的な直火式エスプレッソメーカーを作っている。
熱源に中学時代の実験道具、三脚、三角架(さんかくか)、アルコールランプを使用した。アルコールもずいぶん古いはずだがちゃんと機能した。カセットコンロや登山用コンロの利用も考えたが、火力が強いと焦げ臭くなるため弱火が良いらしく、試しにアルコールランプを使った。沸騰まで若干時間がかかるが火加減としては丁度良い。理科の実験みたいな雰囲気や、ゆらゆら揺らぐ炎は気持ちをくつろがせてくれる。そして静かだ。
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