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執筆者の写真Yukihiro Nakamura

自家焙煎 その3

更新日:2020年2月15日


 前回ハリオ コーヒーロースターの焙煎温度が一般的な焙煎温度より80℃ほど高い結果が出た。これはガラスシリンダーの外側の温度を測った結果で、実際の豆の表面温度はもっと低いはずだ。これを確認する実験を行なった。

結論


 実際の豆の表面温度は一般的な焙煎温度よりも低かった。以下その詳細を記す。

 

使用した機材

  1. ハリオ コーヒーロースター・レトロ RCR-50

  2. Mycarbon Infrared thermometer:非接触式 0.5秒高速検温-50~+380℃

  3. その他前回同様の機材

使用した豆

  1. ハワイコナ EXファンシー 50g

  2. ブルーマウンテンNo1 50g

 

測定方法

  1. シリンダーの豆を出し入れする蓋を外す

  2. 厚紙で窓を開けた蓋を作り取り付ける

  3. 前回と同じ方法で焙煎を行う

  4. 定期的に窓から豆を狙って温度を測定する


 

結果


シリンダーのガラス表面が200℃以上でも豆の表面温度は120℃程度だった。



左:ガラス表面の温度推移/右:豆の表面温度推移

プロの焙煎機プロファイルと比較

 明らかにRCR-50は焙煎温度が低いことがわかる。それにしても、シリンダーガラスの表面温度と豆の表面温度がこんなに差があるとは思わなかった。プロの焙煎機より焙煎に時間がかかるが、温度勾配は似ているから、いい具合に焙煎できているのではないだろうか。何度か焙煎してみて、飲んでみて、まずまずだと思っている。

左:ハワイコナ /右:ブルーマウンテン

 時間にこだわらず、色を見ながら焙煎を行った結果。ハワイコナ もブルーマウンテンもシティーローストあたりの煎り具合で綺麗に膨らんだ。ブルーマウンテンは前回と同じ時間の焙煎だが、シティローストに仕上がった。前回はフルシティーローストだったから、アルコールランプの芯が小さくなって火力が弱まったなど、何か変化している。温度測定はハワイコナ で行なった。測定用窓が開いていたため温度上昇が抑えられ、焙煎に時間がかかったと思われる。ということは本当の豆の表面温度は、測定結果より少し高めかもしれない。

 

追記


放射温度計でアルコールランプの温度は測れない


 放射温度計は、物体から放射される赤外線や可視光線の強度を測定して、物体の温度を測定する温度計である。輝炎、プラズマ、放電などの気体は、個体・液体に比べて密度が小さく放射率が低い。また流れやすいため放射率が安定せず再現性も悪いため測定ができない。いくらアルコールランプの炎に向けて放射温度計のトリガーを引いても炎を通過した向こうの温度を測定することになってしまう。


アルコールランプの炎は何度か


 ではアルコールランプの炎は何℃なのだろう。芯に近い中心部:640℃、炎の中心:1040℃、炎の先端:630℃、炎の外周:930℃と炎の位置によって温度が違う。ガラスの軟化温度が約730℃前後というから、アルコールランプといえども、長時間ガラスシリンダーを炙っていると溶けてしまう。でもそうならないのは、熱伝導率の高いステンレスのフレームや、豆が熱を奪うからだ。

 約1000℃で炙ってもガラスシリンダー表面が260℃前後なのは、豆を熱するのにカロリーを使っているということなのだろう。またガラスは熱伝導率が低いから熱が伝わっていないということでもある。金網製のロースターなどは熱伝導率も高く隙間もあるから、熱が伝わりやすい。焙煎が早く進行しそうだ。そういう意味ではガラスシリンダーがダンパーの役割を果たして、熱を籠らせ、豆の芯から水分を取ることができているかもしれない。その結果いい感じに焙煎できるのかもしれない。



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