ようやくこの日がやってきた。記念すべき自家焙煎の日である。テーブルの上でしゃりしゃりしたかったので、火力は弱いかもしれないがアルコールランプの手回し焙煎機を試すことにした。思ったより小さく丁寧な作りでとても美しい。風味特性(テロワール)や雑味具合は焙煎にかかっている。ダンパーや排気ファンなどないし、温度コントロールもできないけれどどんな焙煎ができるだろう。
使用した機材
ハリオ コーヒーロースター・レトロ RCR-50
裏ごし機 冷却用
ざる 洗浄用
上戸 豆の移動にあると便利
ドライヤー 冷却用
ドリップスケール 重さと時間測定
軍手 熱くなるので必需品
使用した豆
パカマラ 50g
ハワイコナ EXファンシー 50g
ブルーマウンテンNo1 50g
焙煎度合いは中煎りをめざす。
生豆はどれも青臭くて美味しそうな香りじゃない。3者の香りに差はほとんどなく、見た感じも単独で見ると違いがわかりにくく混ざってしまうと、選別ができない。しかし並べて比較するとようやく違いがわかる。確かにパカマラは粒が大きめだ。さらに焙煎するとはっきりと違いが出る。
焙煎手順
ハンドピック 欠点豆の除去
生豆の洗浄 お湯で米研ぎの要領
ハンドピック 欠点豆の除去
焙煎機に生豆を入れて焙煎開始
水抜き(約10分)
1ハゼ(約3分) ミディアム~ハイロースト
2ハゼ(約3分) シティ~
冷却 焙煎機から取り出し粗熱をとり焙煎の進行を止める
ハンドピック 欠点豆の除去
ハンドピックによる取り除くべき欠点豆・異物の種類
貝殻豆:真ん中のカットから豆が割れてしまったもの。
発酵豆:発酵してグレーや白っぽくなったもの。
黒豆:早く熟れ発酵して黒くなったもの。
虫食い豆:虫に喰われたもの。
死豆:完全に熟さなかったもの。
カビ臭豆・カビ豆:カビがはえたもの。
ヴェルジ(未熟豆):熟す前に収穫されたもの。
パーチメント:果肉の内側の皮が残ったもの。
コッコ:果実の皮、果肉が残ったもの。
その他:木くず、石、砂粒、他の植物、穀類、等
基礎情報
1ハゼまでが蒸らしの段階で、水抜き工程となるらしい。蒸らしが不十分だと芯まで熱が入らず、中の水分が抜け切らないため、香りが出ない原因となる。水が抜けた段階から温度を上げてメイラード反応(還元糖とアミノ化合物を加熱したときなどに見られる、褐色物質を生み出す反応)をコントロールして風味をだす。らしい。
結果
パカマラの焙煎
PM:パカマラ/HK:ハワイコナ /BM:ブルーマウンテン
ほとんど同じ方法、同じ時間焙煎をしているのだが豆によって仕上がりが違う。
最初に焙煎したPMは気が早って13分で火を止めてしまったため、煎りが浅く、ばらついている。BM、HKと比べて明らかに不揃いだ。
PMの教訓を生かしBMとHKはじっくり15分焙煎した。BMの方が煎りが深い。
同じように時間を計って状態を見ていたが、わずかな違いで煎りが進むのかもしれないが、やはり豆による違いなのだろう。
焙煎後の重さは豆によってかなり違う。軽くなったBMが一番体積が増えた。
どの豆も11分経過したあたりで1ハゼを迎え、色はシナモンロースト。
2ハゼは豆によって時間が違う。色はミディアムロースト〜ハイロースト。
お店で注文した浅煎りはミデアムローストだった。
ハンドピッキングで取り除くべき豆がどれかわからない。明らかな異物はないし、欠けている豆は結構あるから、惜しげなく取り除く気になれない。
乾いているときは違いがないが、洗うと、湿り具合が異なるのだろう、豆の表情が変わり、色合いにばらつきが出る。気のせいか少し柔らかくなるようだ。
アルコールランプは、芯を2重にしてあり、安定した火力だ。
ハンドルを回すとキーキー音がしたが、オリーブオイルを垂らすと鳴らなくなった。
3回に1回は分解掃除が必要だ。
1回に焙煎できる量は50g約5杯分である。本日は3種類合計150gの焙煎を行なった。
最初はおっかなびっくりだったが、1回目より2回目、2回目より3回目と慣れてゆく。
部屋中が焙煎店のような良い匂いに包まれて幸せな気分になる。
味見は明日以降の予定。
焙煎具合
豆の保存について
生豆の保存
豆が呼吸するため、通気性の良さがポイント。麻袋や紙や布袋に入れて常温保存。
賞味期間は3年。
とりあえず販売店は賞味期限1年としている。
お店から来た生豆はビニール袋に入れられていて通気性などあったものではないが、窒素封入とかしているのだろうか?
麻の袋を用意した。
焙煎豆の保存
密閉できる容器に入れ高温多湿と直射日光を避ける。
焙煎2~3日は二酸化炭素を放出するため容器の蓋を開けておく。
賞味期間は2週間程度
追記
焙煎について気になっているあれこれを書き出してみる。
ダンパーと排気ファンについて
ダンパーがいかなるものか気になり調べたところ、ダンパーや排気ファンは釜とバーナーを覆う事で実現できる機能である。
焙煎初期に生豆を膨らませ水分を抜く段階で、強火を使った場合、ダンパーが開いていたり、ダンパーがない場合、生豆の表面がすぐ乾き、乾けば色が付き始めるため、表面から色ずき、豆の芯が生の焙煎となる。出来上がった珈琲はキレが悪い。
ダンパーを閉めると、熱がゆっくりとシリンダー内を通り抜けるため、冷たい生豆が熱を吸収しやすくなり、色があまり付かずに豆が膨らみ芯から焙煎できる。
ダンパーを使わない場合、インバーターで風量を弱めてもダンパーを閉めた時と同じ効果があるが、インバーターを弱めた場合、チャフの排出がうまくいかず、燻り臭くなったり、チャフが燃えたりする。
逆にインバーターを強めた場合はカロリー不足になり、エグミの原因となる。
焙煎はダンパーと排気ファンを組み合わせることでコントロールができる。火力が強過ぎた場合は排気ファンのスピードを上げることで熱を排出すると、吸気と排気のバランスがとれ、美味しい珈琲となる。
高温短時間焙煎について
高温短時間焙煎は、焙煎開始から7分で、豆の表面温度が167℃に至り、浅煎りで11分、中煎りで12分、深煎りで13分といった進行を経る。
焙煎開始からおよそ1分半で豆の表面温度が最下位点まで下がり、すぐに上昇する。
その後力強く上昇していくのは、強い火力で押し上げていくためで、その後8~9分以降は緩やかにそのペースを落とす。
力強いペースで、生豆の水分を一気に抜いていき、1ハゼが始まるころには火力を落として、コーヒーの成分進化(=豆の表面温度の温度進行)を適正なものにする。
焙煎機の機種や、生豆の投入量によって、焙煎時間の増減はあるが、これが定番としての高温短時間焙煎プロファイルとなる。
この短時間焙煎は、古今東西のロースターたちが試行錯誤して作り上げてきた焙煎ノウハウで、風味特性を素晴らしく再現してくれるが、唯一の欠点はアフターやマウスフィールに雑味がでる。
風味特性と雑味がワンセットで、風味特性を強調すればするほど、雑味が増し、雑味をおさえようとすると、風味特性がスポイルされるというジレンマを抱えている。
低温焙煎について
低温焙煎は風味特性を保ちながら雑味を抑えるため、焙煎を前半と後半に分けて、前半を水抜き工程とし、後半を成分進化の工程とする方法。
前半は比較的低い釜の内部温度で豆の水分を抜いていき、水が抜けたら釜の内部温度を速やかに上昇させて、後半の成分進化の工程に移行する焙煎テクニックである。
この焙煎が成功すると、際立つ風味特性と雑味のない、ブライトでクリーンな焙煎が可能になる。もちろんスイートやマウスフィールも申し分ない。短時間焙煎の欠点である雑味がなくなるのである。
ローリングスマートロースターについて
焙煎機で注目を集めているのがローリングスマートロースターである。
最新技術でスペシャルティコーヒーに求められる浅煎りの焙煎ができる。
サードウェーブの代表格ブルーボトルコーヒーもこの焙煎機を活用している。
ダブル焙煎について
基本的に焙煎は1回で終わらせるが、2回焙煎を行うことがある。
ダブル焙煎を行う場合は、1回目の焙煎で水分を飛ばしながら浅煎りで焙煎する。
焙煎が終わったらコーヒー豆をいったん冷ます。
冷まし終わったら再度焙煎機に入れて、好みの焙煎具合になるまで焙煎する。
ダブル焙煎を行うことでコーヒー豆にしっかりと火が通り、均一に焙煎できる。
手間がかかり、焙煎し過ぎて焦げてしまうかもしれないというデメリットがある。
ダブル焙煎に適しているコーヒー豆はニュークロップをブレンドする時である。
ニュークロップとは収穫してから半年以内のコーヒー豆のことで、収穫したばかりなので水分を多く含んでいる。
ストレートでニュークロップを焙煎する際には1回の焙煎で良いが、他のコーヒー豆とブレンドする際にはダブル焙煎をして水分量を調節することがある。
ニュークロップでなくても、焙煎に失敗して焼きにムラができてしまったコーヒー豆をダブル焙煎をすることで均一に焙煎し直すことができる。
トレファクトについて
通常は生豆のみで焙煎するが、焙煎時にコーヒー生豆と一緒に調味料を入れる方法がある。中でも砂糖と生豆を一緒に焙煎する方法をトレファクトと言う。
一般的にトレファクトされるコーヒー生豆は安物であることが多く、砂糖を一緒に入れることでコーヒー豆にコクを出して苦味を強調させることができる。
トレファクトはスペインで伝統的に使われている焙煎方法である。
マレーシアのホワイトコーヒーは砂糖、マーガリン、小麦を生豆と一緒に焙煎する。
トレファクト以外にも生豆に調味料を入れてから焙煎する方法がいくつか存在する。
どの焙煎も品質の低いコーヒー生豆を”ごまかす”ために他の調味料を入れる。
(Wikipediaより)
次回は味見
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