焙煎について調べると温度抜きには語れない。果たして手回し焙煎機の焙煎温度はどうなっているのだろう。アルコールランプの火力はどれくらいなのだろう。非接触温度計を用いて焙煎時の温度を測定してみた。
使用した機材
ハリオ コーヒーロースター・レトロ RCR-50
Mycarbon Infrared thermometer:非接触式 0.5秒高速検温-50~+380℃
裏ごし機 冷却用
ドライヤー 冷却用
ドリップスケール 重さと時間測定
使用した豆
パカマラ 50g
測定方法
温度計の校正
アルコール温度計周辺温度をMycarbon Infrared thermometerで測定し結果を比較。
3箇所で測定し1℃以上の差異がないことを確認。
焙煎温度の測定
前回の焙煎と同じ方法で焙煎を行いながら、温度を測る。
定期的に測定し時間と温度をムービーに記録する。
焙煎が終了したらムービーの画面からデータを読み取る。
結果
焙煎機を右手で回しながら、左手で温度計を構え引き金を引く繰り返しを行なった。手ブレのため、安定した測定はできていない。しかし大雑把に温度の推移を記録することができたので、とりあえずこの結果を考察してみたい。
点火前の温度は28℃
点火直後111℃まで上昇。
時間経過とともに温度が上昇。
3分前後で200℃に到達。
280℃近辺でほぼ一定になる。
最高温度は294℃。
気のせいかもしれないがシリンダーの回転速度を落とすと温度が上昇した。
グラフは時間と温度の相関関係を示している。直線はトレンドライン
一般的な焙煎温度に対して、測定結果はかなり高めである。
高温短時間焙煎、低温短時間焙煎のプロファイルと比較すると、私が行った焙煎は予想以上に高温で焙煎している。
測定器の特性としてはガラスを通して測定することができないため、シリーンダー内の豆の表面温度ではなくガラス表面の温度を測定していることになる。
5分〜6分あたりに謎の温度低下があるが、多分測定ポイントのブレだろう。
80℃の補正をすると、ラインが乗ってくることから、実際の豆の表面温度は、ガラスシリーンダー表面温度より80℃近く低いのではないかと思う。
もしそうなら、温度のブレも実際にはこんなに大きくないはずだから、焙煎温度としては、案外いい推移をしているのではないかと思う。
前回の焙煎に比べて今回の焙煎は、色付きもよくふっくらと均一に煎り上がった。
今回の焙煎/前回の焙煎
追記
前回は焙煎時間13分であったが、今回は17分焙煎している。ブルーマウンテンは15分焙煎すると深煎りに近くなったが、パカマラは17分の焙煎でちょうど中煎りという感じだ。エアコンやファンを止めて極力空気が動かないようにして焙煎を行なったが、アルコールランプの芯の出具合で火力は変わるだろう。今回は1ハゼが14分に始まっており、前回より3分余計に時間がかかっている。つまり、時間はある程度の目安にはなるが、火力が変化するため、一位に時間で管理すべきでない。1ハゼ2ハゼを捉えて色付き具合で仕上げることになる。
今回の測定がどれほど真実を捉えているかまだわからない。測定結果としては温度が高すぎる。現実に、17分かけて中煎りなのだから、豆の表面温度はもっと低いはずだ。ロースターの構造から網のように直接炎が豆にかかることはないが、ガラスの筒なので熱気がこもっていることも考えられる。なんとかしてシリンダー内の豆の表面温度を測りたい。
アルコールランプの炎の温度を測ろうとしたが、測ることはできなかった。炎を通過してしまうのだ。通過させないよう芯を上から狙うと100℃以下の測定値が出てくる。炎のすぐ後ろに何かをついたてても125 ℃で炎の温度ではないだろう。何か方法があるかもしれないが、今日のところは測れなかった。赤外線温度計はとても面白い。便利なものがあるものだと感心仕切りだ。部屋中のあちらこちらの温度を測り、犬や、自分の表面温度を測って遊んでいる。
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