2024/1/24
Apple Music Classicalが利用できる様になった。
Apple Music Classicalとは
Appleは2022年に、クラシック専門の音楽ストリーミングサービス「Primephonic」を買収し、クラシック音楽専用のアプリケーションを2022年に公開する計画だった。これが2023年3月28日のリリースとなり、日本版は2024年1月24日となった。Apple Music Classical は、クラシック音楽500万曲(2024/1/24時点)以上を聞くことができるクラシック音楽のために設計された専用のアプリである。
Apple Music サブスクリプションに登録している場合は、Apple Music Classical もサブスクリプションの対象となり利用できる。Apple Music Classical はApple Musicとは別のアプリで、作曲者、作品、指揮者などで検索でき、エキスパートが監修したプレイリストや作曲者紹介で、作曲者、時代、楽器などについて詳しく知ることができる。さらに聴いている曲についてさまざまな機能にアクセスすることができる。Apple Music Classical は、現時点では、iPhone、iPad、Android でのみ利用できMacでは利用できない。
ところでクラシック音楽専用のアプリが別途用意されているのはなぜかとちょっと不思議な気がする。これについてAppleは「クラシック音楽は特殊です。曲名が事細かで長く、作品ごとにアーティストが複数名いて、有名な作品になると何百もの録音が存在します。Apple Music Classical アプリは、クラシック音楽の複雑なデータ構造に合わせて設計されています。」と言っている。Apple Musicに欲しかったライナーノーツがApple Music Classical でようやく叶った感じだ。しかもそれらが整理されアクセスしやすいデータベースになっている。
使ってみた
「見つける」タブは「カタログ」「プレイリスト」「楽器」という大きな括りでまとめられ、そこからさらに細かく検索できる。
例えば「カタログ」の中で「時代」を選ぶと左の様な括りが現れる。さらに具体的な時代を選ぶとその時代の「人気作曲者」や「最新アルバム」が現れる。「21世紀」では久石譲氏や坂本龍一氏、ハンス・ジマー氏など最近の作曲家が見つかる。「ジャンル」の「映画音楽」にも同様の作曲家を見つけることができる。
ドビュッシーを検索してみると、肖像と143作品のリストが現れる。バイオグラフィーも詳しい。また曲を選ぶと、例えば「牧神の午後への前奏曲」では329本のレコーディングが表示された。いやーこんなにあっては聴き比べは現実的ではないが、全てをいっぺんに表示するのではなく人気作品をまず見せてくれる。もちろん全部見たければ見ることができるし、聞くことができる。Apple Musicで聞いていた時「牧神の午後への前奏曲」がこんなにいっぱいあるとは知らなかった。
Apple Music Classical について
Apple Music Classical ライブラリに追加したアルバム、プレイリスト、トラックは、Apple Music アプリがインストールされているデバイスでアクセスできる。
録音、作品、作曲者は Apple Music アプリには表示されないが、Apple Music Classical アプリでアクセスできる。
Apple Music Classical アプリで音楽をダウンロードすることはできないが、Apple Music アプリを使って、Apple Music Classical ライブラリに追加したトラック、アルバム、プレイリストをダウンロードすることができる。
Apple Music Classical アプリでは、Apple Music ライブラリ内のクラシック音楽にのみアクセスできる。
Apple Music Classical は、カタログ全体で最高音質 (最大 192 kHz/24 ビットのハイレゾロスレス) を楽しめ、何千ものトラックをドルビーアトモスによる空間オーディオで楽しめる。
Apple Music Classical アプリではシャッフル再生はできない。
個人的なApple Musicの足跡
2005/08/04 iTunes Music Store日本でオープン。
2014/05/26 iTunes Match 利用開始。
2015/07/02 AppleMusic 利用開始。楽曲数が3,000万曲。ユーミンや中島みゆきや森田童子のアルバムが聴きたいのだがまだ聴くことができない。
2018/06/01 宇多田ヒカルの「初恋」がハイレゾで配信開始されたがAppleMusic にはまだきていない。
2018/09/17 楽曲数が4,500万曲から5,000万曲になっている。
2018/9/24 ユーミンの424曲が9月24日からサブスクリプションサービスで配信スタート。38アルバムが対象。
2019/01/18 宇多田ヒカルの「初恋」がApple Musicに来た。
2019/05/16 最近Apple MusicのFor Youが賑やかになった。最近の再生、ステージ&スクリーン、XXの他の作品、最近のアップデート、J-Pop、XXに似たアーティスト、恋人と聴きたい曲、ジャズ、ニューリリースなど。ユーザーの利用状況に応じて内容も変わるのだろう。ちょっと前ごろマンネリを感じていたので、嬉しい変更だ。聞いてみたい音楽が増えている。
2019/10/08 macOS Catalina 10.15がリリースされ”iTunes”が”ミュージック”アプリに変わった。今まで表示されなかった邦題の歌詞が表示されるようになった。
2019/12/24 楽曲数が6,000万曲になっている。
2020/05/29 山口百恵、遂にサブスク解禁 600曲以上が一斉に。人気絶頂期の引退から40年オリジナルアルバム22枚、ライブアルバム6枚、女優として出演したサウンドトラック・アルバム8枚を網羅。600曲以上が一斉に配信される。
2021/05/25 Apple Musicで、ロスレスファイル、ハイレゾリューションロスレスファイルの再生が可能となったはずだった。
2021/06/08 未明にApple Worldwide Developers Conference 2021が行われた。ミュージックアプリを一旦閉じて、再度起動すると。ロスレス設定ができるようになっていた。
2021/07/07 楽曲数が7,500万曲を超えている。空間オーディオ利用開始。
2021/12/30 Apple Musicは2021年5月にロスレスとDolby Atmosへの対応を発表したさいに、ロスレスについては2000万曲から始まり、年内にはカタログ全体(発表時は「7500万曲以上」、後に「9000万曲」に上方修正)を同品質にすると約束していた。12月末現在、その目標はほぼ達成されたらしい。
2022/07/11 AppleOne開始。
2022/09/17 パーソナライズした空間オーディオ利用開始。
2022/12/02 曲の再生時間:136,279分/再生曲数:8,121曲
2022/12/13 Apple Musicにカラオケ的な機能である「Apple Music Sing」が追加。
2022/12/19 中島みゆき配信解禁。
2023/12/01 森田童子「ぼくたちの失敗」含む6曲のサブスク配信解禁。
2023/12/22 曲の再生時間:100,000分以上/再生曲数:5,984曲
2024/01/23 楽曲数が1億曲になっている。森田童子「僕たちの失敗」も聞くことができる。ユーミンも山口百恵も中島みゆきも、かつて聴きたいと思いながら聴けなかったミュージシャンのほとんどが聴くことができるようになっている。
2024/01/24 Apple Music Classical利用開始。
昨年聞いた曲数は5,984曲だった。1億曲聴くことができるライブラリーの0.006%しか聞いていないことになる。・・・
・・・1%に満たない領域しか知らない広大な世界が片手に収まるiPhoneの向こうにある。それでも10,000曲も聞けば、聴きたかった大方の音楽を聴くことができる。クラシックの様に一つの曲が数百もの違う録音があるとしても、知らない音楽が世界にはこんなにもある。私に残された全ての時間を使っても全てを聞くことは叶うまい。・・・
追記
Apple MusicをHomePodで聴いているときにiPhoneで聴き始めると、自動的にHomePodの再生が止まる。「別のデバイスで視聴中の様です・・・」と表示され複数のデバイスで聴ける様オプションを変更するか聴いてくる。家族で利用するときは変更すれば複数のデバイスで利用できる様になるが、一人で利用する場合は、デバイスを切り替えると、先行して再生していたデバイスが停止するので都合が良い。ところがApple Music Classicalは別アプリだからだろうか、Apple Musicと併存できる様で、両方で同じ音源を聴くことができる。
2024/2/11
AirPlayはWi-Fi経由のロスレス伝送を行うため音質の劣化がない。そのためAppleTV、HomePodなど複数のスピーカーで同じソースを同期させロスレス、ハイレゾの元音源の音質で再生することができる。これに対して第一世代のAirPosProはBluetoothのコーディックがSBC、AACのため音質劣化を伴う。つまりいい音で聞けていると思っていたのだが、AirPosProで聴く音楽はロスレス、ハイレゾではなかった・・・。
2024/1/28
Apple Music Classicalを楽しんでいる。クラッシックを聞く良い方法にも気がつきとても快適だ。そもそもApple Musicで十分で、あえてクラシック専用アプリが必要とは思わなかった。そう思った一番の理由は、ジャズやポップスに比べてクラッシック音楽は同じ聴き方だと、音の広がりに幾ばくかの不満があったのである。その結果クラッシックを聞く機会が減っていた。ところが今回の専用アプリは思いのほか使い心地が良く。あれも聞きたいこれも聞きたいと、どんどん連鎖していく。そうなると、クラシック独特の荘厳さや心地よさを音に求めたくなる。AirPodsProやヘッドホンで聴くと実現するのだが長時間聴くには適さない。そこでHomePodで聴くためにiPhoneからAirPlayで飛ばしてみた。すると同時にAppleTVにも飛ばすことができることに気がついた。その結果、HomePodだけで聴く時も、AppleTVに繋がったサラウンドだけで聴く時にも感じることがなかった音の広がりが生まれた。音量を上げても柔らかに音が広がっていく。音に満足するともっと色々聞きたくなる。父がいたらこのシステムを気に入ったと思う。きっといつまでも飽きずに音楽に浸っていただろう。
以前から感じていたことではあったが、自分にとって心地よい音とは、ハイレゾにこだわったり、音源の忠実な再生とか定位よりも、コンサート会場や無指向性スピーカーで感じた心地よさに通ずる立体的な音の空間、音場に包まれることらしい。
お風呂で歌を歌うと気持ちいい。それはお風呂場が適度なエコーがかかった音場空間になっているからだ。期せずして、そんな感じにセッティングできた様だ。そしてそれは単純なエコーがかかっているだけではないようで、HomePodの帰還してコントロールされた音空間がミックスすることで実現している。このセッティングはクラッシックだけでなく全ての音源で心地よく聴くことができる。またAppleTV+HomePodの組み合わせは、単純に物理的な合体ではなく、ソフトウエアが介在するコントロールされた合体になっている気がする。ソースによって再生が微妙に変わる気がするのである。