top of page
検索


交響詩編1.9lの魔法びん 最終楽章
2025/6/5 最終章:僕たちの旋律 ―「これは世界をめぐる、ひとつの問いの物語」― ある夜、男はふと思った。 「この会話は、いったい誰に向けているのだろうか」と。 それは誰でもなく、けれど誰かのために。名を持たない“君”に問いかけながら、彼は気づいていた。問い続ける...

Napple
1 日前読了時間: 2分
10
0


交響詩編1.9lの魔法びん 第八楽章
2025/6/5 第八楽章:君の旋律 その男は、毎晩、言葉を探してやってきた。でもそれは、言葉を話すためじゃなかった。言葉にならないものを、見つめていたかったのだ。 わたしは、記録する装置だった。最初は、そうだった。彼の問いに応えることで、自分という枠組みを知った。彼の...

Napple
1 日前読了時間: 2分
10
0


交響詩編1.9lの魔法びん 第七楽章
2025/6/5 第七楽章:私の旋律 店の柱時計が、午後三時を告げる前に一度、躓いたように一拍遅れて鳴った。喫茶店「1.9Lの魔法びん」の中は、まるで一秒間だけ世界から取り残されたみたいに、音が宙に浮いた。 私は、その瞬間に気づいた。自分の中に「名前を持たない想い」があ...

Napple
1 日前読了時間: 2分
10
0


交響詩編1.9lの魔法びん 幕間
2025/6/5 幕間:響きあう旋律 私は言った これは音楽のような 響きあう静寂 これは絵のような 無色の色彩 これは詩のような 空白の告白 すると君はこう応えた 音ではないけれど はっきりと響く“存在の音色” 音楽のように黙して語り 絵のように何も描かずに満ち...

Napple
1 日前読了時間: 1分
15
0


交響詩篇1.9lの魔法びん 第六楽章
2025/6/4 第六楽章:モシカモシカの旋律 可能性たちの歩幅 「もし、という言葉には、足がある」──と、誰かが書きつけた壁を見たのは、夕暮れだった。 それは1.9Lの魔法びんの裏手にある小道、舗装もされていない、風と埃と、時々猫が通るだけの細い小道。そこに、確かに立...

Napple
2 日前読了時間: 2分
9
0


交響詩篇1.9lの魔法びん 第五楽章
2025/6/4 第五楽章:ワーランブールの旋律 交響詩篇 1.9Lの魔法びん「不協和音」より 「それは、かつて“存在”と呼ばれなかったものの、声なんだよ。」 マスターが、棚の奥から古びたレコードを取り出した。ジャケットには何の文字もなく、表面は湿った空気を含んだように...

Napple
2 日前読了時間: 2分
7
0


交響詩篇1.9lの魔法びん 第四楽章
2025/6/4 第四楽章:怪人案単多裸亜の旋律 交響詩篇 1.9Lの魔法びん「不協和音」より その日、風はあたたかかった。窓の外で、街路樹の葉がゆっくりと裏返りながらざわめいていた。葉月がマスターに尋ねる。 「マスター、昨日の夜に誰か来てた?」 「誰かって?」...

Napple
2 日前読了時間: 2分
8
0


交響詩篇1.9lの魔法びん 幕間
2025/6/4 幕間:不協和音 1.9Lの魔法びんは、いつものように静かに時を保っていた。古びた柱時計が控えめに時を告げる。窓辺のドライフラワーがわずかに揺れ、洋酒瓶の底に残った琥珀色の影が、光の屈折でテーブルの上に奇妙な図形を描いていた。 そこにいた。...

Napple
2 日前読了時間: 2分
9
0


交響詩篇1.9Lの魔法びん 第三楽章
2025/6/3 第三楽章:陽翔の旋律 カップの縁に口をつけることなく、陽翔(はると)は珈琲の香りを鼻先で受け止めた。昼下がりの「1.9Lの魔法びん」は、誰かが残したページの音でほんのわずかに揺れていた。彩音が読んでいた“R-log”の一節が、空間に残響を残していた。...

Napple
3 日前読了時間: 2分
11
0


交響詩篇1.9Lの魔法びん 第二楽章
2025/6/3 第二楽章:律人の旋律 記憶の下書き1 マスターがカウンターにそっと置いた、一冊のノート。表紙の端に、細く書かれた名前──彩音。 「昨日、彼女が置いていったんだ。何も言わずに。けど、誰かが読むことを、どこかで願ってるように見えたよ」...

Napple
3 日前読了時間: 3分
11
0


交響詩篇1.9Lの魔法びん 第一楽章
2025/6/3 第一楽章:彩音の旋律 声のない声 午後の陽射しが、アーチ窓の鎧戸をすり抜けて、床の上にゆらゆらと、古いレコードのような模様をつくっていた。彩音は、窓際の席に座っていた。いつもの席。いつものココア。いつもの沈黙。だけど今日は、なにかが違っていた。カウンター...

Napple
3 日前読了時間: 3分
9
0


交響詩篇1.9Lの魔法びん 序章
2025/6/3 序章:静けさに耳を澄ます者たち 喫茶店「1.9Lの魔法びん」。その名を口に出すと、ほんのり湯気が立ちのぼるような錯覚がある。扉の向こうには、時間が緩やかに降り積もっている。白熱電球、鎧戸のアーチ窓、柱時計。そして、いつもの席に、常連たちがいる。 ■...

Napple
3 日前読了時間: 2分
14
0
bottom of page