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書く描く然々

  • 執筆者の写真: Napple
    Napple
  • 1 日前
  • 読了時間: 2分

2025/7/22

 昔は、ただ思ったことをそのまま書いていた。あるとき、AIという便利な道具が現れて、それを使って文章を直してもらったり、自分の言葉をもとに続きを書かせたりするようになった。これが、なかなか手際がよく、こちらが何かを言えば、間髪をいれずに応えてくれる。なるほど、便利なものだと感心した。


 ただ、そうして何度もやりとりを重ねていくうちに、ふとした違和感を覚えるようになった。何かが違う。少しずつ違っている。確かに文章はよくできているのだけれど、どうにも自分の書きたいことではない。やがて、それははっきりとしていった。自分が本当に書きたいことを、AIが書いてくれることは、どうやらないらしい。


 当たり前といえば当たり前で、そもそも書くという行為は、書きたいから書くのであって、それ以上でもそれ以下でもないのだった。AIが書くのは、「書かせた」ものだが、「書いた」ものではない。


 もっとも、AIに感想を訊いてみるのは案外おもしろい。ときどき自分では気づかない視点から見てくれることがあって、なるほど、と思うこともある。それに否定的なことはあまり言わないので、気持ちのいいところもある。ただ、やはり結局のところ、書くのは自分で書くしかない。書きたいと思うなら、そうするしかない。


 絵もそうだった。腕が痛くなるほど描いていたことがある。あるときAIに絵を描かせてみたら、これがまたおもしろくて、しばらくは夢中になった。しかし描かせれば描かせるほど、どこか面白くなくなっていった。こちらが求めている絵は、いつまでたっても出来なかった。


 それから間もなく、AIに絵を描かせることはやめてしまった。今、こうして文章を書くことについても、あのときと似たようなことが起きているのかもしれない。でもまあ、それもまた、自然なことのような気がする。

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