片岡義男が「およそ考えられること全てを考えて百円になったコンビニの淹れたてコーヒー」と絶賛している。そこでセブンイレブン・ファミリーマート・ローソンの百円珈琲を飲み比べた。
コンビニ珈琲について
コンビニ珈琲とは、日本、台湾のコンビニエンスストアのレジカウンターで販売されるカップ入りの珈琲である。カウンターでカップを受け取り、自分で抽出するという方式から、カウンター珈琲とも呼ばる。1980年代よりセブンイレブンが幾度となく導入しては撤退を繰り返したが、2004年に台湾のセブンイレブンが導入し、2010年代からその他のコンビニエンスストア大手各社が導入し普及した。提供方法は各社により異なるが、いずれも最低価格が100円程度で、コーヒーメーカーを使ってその場で抽出するようになっている。
コンビニ珈琲が広がった2013年、日本国内の珈琲消費量は6年ぶりに過去最高となり、2014年には2013年を上回る消費量を記録した。コンビニ珈琲登場初期は、ドトールが「客数や売り上げにはほとんど影響がない」とするなど、影響はごく小規模なものだったが、スターバックスやドトールなどのカフェ、これまで珈琲が人気だったマクドナルドや日本コカ・コーラなどの飲料各社の缶珈琲の売り上げにも食い込んでおり、競争が激化している。(Wikipedia参考)
結果
3社の標準的ホット珈琲の一番小さいサイズを飲み比べ、これまでのテイスティングと同様の採点を試みる。
SE:セブンイレブンはカップをもらい自分で淹れるのだが、カップをセットすると自動判定してサイズに応じた珈琲を抽出してくれる。余分なボタンがなくすっきりとしたマシンは美しい。ドリップらしくスッキリとして、甘味もあって優しい味は、万人好きのする珈琲で、一番好みの味だ。蓋の形状も飲みやすい。
FM:ファミリーマートはカップをもらい自分でボタン操作をする。ボタンが沢山あり、間違ったボタンを押してしまう場合もあるだろう。エスプレッソ ベースの割に、エスプレッソ感はなく、さりとてドリップという感じでもない。なんとなく中途半端な感じで、蓋の形状も3社の中で最も飲みにくい。
LS:ローソンはカウンターの奥にマシンがあり、お店の人が淹れてくれる。エスプレッソらしく苦味が強く、酸味もあって全体的に味が濃い。クセが強く好き嫌いがありそうだ。今回飲んだ中では残念ながら3番目の味だ。2019年10月22日から“ふた”を新たに開発し「香り」を重視したという。香りは効果を感じなかったが、蓋の形状は最も飲みやすかった。
追記
自分で購入して飲むのは始めてだった。カップをもらって自分で淹れるのがなんだか面倒に感じていたからだったが、頼んでみれば何も面倒なことはなかった。
ひっくるめてコンビニ珈琲と呼ばれてしまうのが申し訳ないくらい、お店によってやり方もマシンも味も違う、似て非なるものだ。あらためて多様性に驚く。
コンビニはお弁当も、デザートも、珈琲も美味しい。どこにでもあって、均一なサービスを受けることができる。企業努力には驚くばかりだ。
公園や、海岸など青空の下で飲む珈琲は格別なものがある。そんな時コンビニの珈琲は威力を発揮する。
今回はブラックで飲んだ結果だが、ラテのようにミルクや砂糖が入ると、俄然エスプレッソで淹れたローソンやファミリーマートの味が生きてくるだろう。
焙煎してから2週間前後の豆を使うようにしていれば美味しさを担保できるけれど、そうでないと、売れない店は、豆を交換しなければ鮮度がどんどん落ちて、さらに売れなくなってしまう。コンビニ業界は食品の賞味期限を管理しているようだからそんなことはないだろうと期待する。
百円珈琲と言いながら、キャッシュレス還元価格のため98円で飲むことができた。喫茶店で飲むことを思えばこの美味しさでこの価格はなるほど破壊的だ。
自家焙煎して、豆の状態を把握しながら、丁寧に珈琲を淹れてくれる喫茶店の珈琲はやっぱり美味しい。友人とゆっくり話をしたり、気に入った雰囲気のお店なら少々高くても、また行きたくなる。最近お邪魔した喫茶店は、ちょっと入り込んだところにある店でさえ、客の入りがいい。コンビニ珈琲が一般的になり数年が経ち、両者の良さがはっきりしてきたのだと思う。
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