2024/12/18

序章:夢見たコンピューターはどこ?
幼い頃に出会った『鉄腕アトム』。そこに登場するロボットは、言葉を理解し、感情を持ち、人間と対等に会話していた。『宇宙大作戦(スター・トレック)』では、カーク船長が「コンピューター」と呼びかけると、官能的な声で返事が返ってくる。未来の頭脳は、きっとこんなものだろうと思っていた。ところが、『謎の円盤UFO』になると、コンピューターはデカくて無機質な磁気テープ装置として登場する。あれほど輝いていた「電子頭脳」の未来像が、どんどん現実に引き寄せられ、バカになっていくような気がした。それでも、コンピューターという未知の存在には惹かれ続けた。身近にあるラジオや目覚まし時計の仕組みを知りたくて手当たり次第にバラした。「分解すること」に喜びを感じたが、元に戻せない。そのうち雑誌から情報を仕入れ、「作ること」の楽しさを知った。鉱石ラジオが音を鳴らした驚き。ムーグ・シンセサイザーの製作記事を読んだとき、「これこそ未来だ」と感じた。けれど、コンピューターはまだ遠かった。
第一章:初めてのコンピューターに幻滅する
大学に入れば、コンピューターに触れられると、ドキドキワクワクしていた。だが、待っていたのはFORTRAN。プログラムをパンチカードに打ち込み、カードリーダーで読み込ませ、結果が出るのをひたすら待つ。ようやく出た結果は、シンタックスエラー。修正し、また提出し、また待つ。そうやって試行錯誤を重ねるのだが、面白くない。想像していた「電子頭脳」とは程遠い。そんな中で手に入れたのが、プログラマブル関数電卓。プログラムを書いて、すぐ実行できる。エラーを直して、すぐに確認できる。やっと、コンピューターらしい手応えを感じた。だが、それでも何かが足りなかった。
第二章:林檎との出会い
ある日、『ホットドッグプレス』でApple IIの記事を見つけた。それは、おしゃれで、夢に見た「コンピューター」そのものだった。実際に手に入れたとき、二つのプログラムに衝撃を受けた。ひとつは「ピンボールコンストラクションセット」。ゲームコントローラーでピンボールができるだけでなく、玉の動きがリアルでスムーズ、しかもカラフル。そして何より、盤面を自由にデザインできる! これまでの「決められたものを使うコンピューター」とはまるで違った。もうひとつは「ウルティマIII エクソダス」。ロールプレイングゲームの世界が、画面の中に広がっていた。当時、夢中だった栗本薫の『グイン・サーガ』の世界とウルティマのソーサリアが重なった。自分のキャラクターを作り、未知の世界を冒険する。コンピューターの可能性が、一気に広がった瞬間だった。

第三章:林檎の時間(抜粋)
年月日 モデル名 メモ
1983/02/11 Apple II J-Plus 初代Apple。卒論での出会い、僕の運命を変えた。
1986/10/22 Macintosh DynaMac 2代目Apple。デザインと機能に魅了された。
2001/07/15 PowerBook G4 持ち運べるApple、世界が広がった。
2008/03/23 iPod nano 初代iPod。音楽コレクション全てがポケットに。
2010/11/06 iPad 初代iPad。魔法のタブレット登場。
2011/08/18 AppleTV 初代AppleTV。テレビにAppleが繋がった。
2011/12/17 iPhone 4s 初代iPhone。革命はポケットの中から始まった。
2015/12/22 Apple watch 初代AppleWatch。ウルトラセブンが現実に。
2017/11/03 AirPods 初代AirPods。魔法のイヤホン登場。
2017/12/26 iMac Pro 7代目Apple。長年の夢が詰まった1台だ。
2019/12/12 HomePod 初代HomePod。部屋にApple Musicが溢れる。
2021/05/22 AirTag 初代AirTag。Appleで一番小さなデバイス。
2023/10/17 iPhone 15 Pro Max 5代目iPhone。技術の到達点に触れた気がする。
終章:林檎の未来
Appleは、「なんでもできる」気にさせてくれる存在だった。そして今、AppleMusicが日々を彩り、スマートホームが生活の基盤となり、次々と魔法のような機能が加わっていく。部屋には、歴代のApple製品が「運命の軌跡」として静かに眠っている。彼らをメンテナンスし、再び動かしてみたい気もする。AIの登場でAppleはこれからどんな未来を見せてくれるだろう。
運命の林檎、Apple。
Comentários