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執筆者の写真Napple

EXODUS:ULTIMA3

更新日:4月5日

発端


 ロードブリティッシュが治めるソーサリアは豊かな世界だ。しかし平和はなかなか続かない。幾度も危機を迎えた。1度目は魔道士モンデインによって。2度目は彼の妻であり弟子であった復讐の魔女ミナクスによって。そしてまたしても暗雲が立ちこめた。甲板に「EXODUS」の血文字が書かれた漂流船が発見されたのだ。何かが起きている。

1984/1/12 

旅の始まり


 ロードブリティッシュ王は牧師モシカモシカ、戦士トリゴリー、魔術師トリブリオン、放浪者ナニキャットを呼び出し「EXODUS」の正体を探り滅ぼすことを命じた。

 

1984/1/16月 

第一の試練


 王の命を受けた四人は城内を調べ「鍵」のかかった扉を見つけた。住人に尋ねたが「鍵」のことも「EXODUS」のことも知らない。魔物を見たと言う者もいたが定かではなかった。街には店や食堂がある。お金があれば武器を買ったり情報を聞けそうなのだが彼らに持ち合わせはなかった。街の隅々を探索したが得られることは少なく仕方なく街を出た。しばらくすると突然魔物が襲ってきた。四人はナイフと杖で必死に戦った。どうにか倒すと魔物は消えお金と武器が入った宝箱が残された。大喜びで取り出そうとすると罠が仕掛けてあり怪我をしてしまった。敵に遭遇すると逃げられない。進むも返すも命懸けだ。街から離れすぎるのは危険だが、じっとしているわけにもいかない。おそるおそる浜辺を移動していると今度は海賊が砲撃してきた。否も応もなく船に乗り移り、激戦の末に海賊を打ち破り船を手に入れた。平和だったこの世界は、今や戦って奪う事の繰り返しになってしまった。しばしの休息も束の間、大渦に飲み込まれ気がつくと見知らぬ浜へ流されていた。恐る恐る上陸すると、またしても鍵がかかった扉に突き当た。扉の奥に重要なものがありそうだが先にゆくことができない。絶え間なく襲いかかってくる魔物との戦いに耐えながら別の道を探りようやく神秘的な遺跡を発見した。そこは能力を引き上げてくれるようだが、大金が必要だった。お金もなく鍵もない彼らにできることはない。傷つき疲れ果てた彼らは途方に暮れた。ここから脱出する方法さえわからない。妙な音が暗闇の奥から聞こえる。朦朧としながら音を頼りに暗い谷を抜けると浜に出た。妙な音は海賊の砲撃音だった。気がついた時は既に遅く彼らは砲撃を受けて全滅してしまった。

 勇者達は場所さえわからないさいはての地に散った。


1984/1/16月


 勇者の消息を案ずる人々の中から、彼らを救出しようと四人が集まった。それはモシカモシカの恋人で司祭のナニカーニカ、トリブリオンとトリゴリーの親友で遊撃隊員シープドック、さらに彼らの勇気に感じた騎士ハイユニコーンと面白そうだとついてきた浮かれ者ネズニーランドであった。


 

1984/1/17火 

第二の試練


 勇者救出のために旅立った四人はムーンゲートを見つけた。法則があるようだがそれを突き止めるにはすでに彼らは戦いで傷つきすぎていた。このままでは救出どころか全滅してしまう。宝を回収する余力も失い、必死の思いで帰ろうとするのだが、ハイユニコーン、ネズニーランド、ナニカーニカ、シープドッグは次々に倒れていった。

 二組の探索隊が無惨にも倒れてしまった。人々は世界を襲った災いの大きさに恐れ慄いた。街を出ると死者が増えるばかりだ。なす術もなく滅びを待つだけなのだろうか。せめて勇者が魔物と戦って残したままになった宝箱を回収できないだろうか。罠が仕掛けられているから容易には手を出せないが、かなりの数があるはずだ。宝があれば勇者を復活できるかもしれない。悶々とする時が過ぎたある日、ついにトリゴリーの娘トリゴーラ、トリブリオンの娘トリブーラ、モシカモシカの妹モシモーシモ、ナニキャットの恋人ナニカーナが立ち上がった。決死の思いで宝の回収に出かけたのだ。彼女たちは戦いを避け傷つきながら幾度も往復した。地道な彼女達の努力で、ついにハイユニコーン、ネズニーランド、シープドッグ、ナニカーニカが復活した。多くの犠牲を払ったが無駄ではなかった。なぜならいくつかの謎はもう少しで解き明かすことができそうなのだ。勇者も僅かながら経験を積み知恵と力を蓄え、思いを新たに探索の旅に出るのであった。

 

1984/1/20金 

ムーンゲートの謎


 彼らはついにムーンゲートの謎を解き明かした。二つの月トラメルとフェルッカの組み合わせで決まった時に瞬間移動できるゲートが現れる。北の山裾にあるムーンゲート0は、月齢(0,0)(0,1)(0,2)の時に開く。(0,2)のとき飛び込むと山深いムーンゲート2につながっていた。ところがそこはどこへも行き場がない窪地だった。こんなところで襲われたらひとたまりもない。固唾を飲んで次にムーンゲートが開く時を待つと、窪地には二つのムーンゲートが隣り合っており、北側のムーンゲート2と南側のムーンゲート4がそれぞれ月齢(2,6)(2,7)(2,0)の時と(4,4)(4,5)(4,6)の時に開くことがわかった。(2,6)の時ムーンゲート2に飛び込むと、山中のムーンゲート6に抜けた。そこには噂に聞いた湖畔の隠し里があった。


MOON GATES:ムーンゲートの位置と月齢によって移動できる先

 森を抜ける途中でピンチャーズに襲われナニカーニカが病気になってしまった。早く手当てをしなければ死んでしまう。祈祷術を心得る彼女もまだ病気を治す力を持っていない。幸い隠し里には病院があり彼女は助かった。里を調べると馬を売る店があった。馬で走れば魔物を避けることができる、戦闘を避けることができるのだ。

 ギルドの店を覗くと「鍵、松明、魔法石、時の粉末」があった。ついに「鍵」を手に入れたのだ。これからは鍵がかかった場所に遭遇した時も先に進むことができる。「魔法石」の不思議な力で、隠し里が中元の山魂の中にあることもわかった。時間を止める魔法の粉「時の粉末」があれば、戦いになった時に逃げ出せるかも知れない。

 街の住人に聞き込みをすると、何種類かの「印」があることもわかった。

 

ダンジョンの謎


 勇者達はの北の山中にダンジョン1を見つけた。ダンジョンは何層にもなった迷路で魔物の巣窟だ、迂闊に入ると生きて帰れない。真っ暗なので松明が必要だ。突然風に吹き消されることもあるし、時間が経つと消えてしまうから何本も必要だ。罠が仕掛けられ怪我をしたり病気になったりするが、病を癒やしたり力を回復する泉もある。そこらじゅうの壁に何か書かれていて、所々に宝箱があった。西の岬のダンジョン3は最下層まで行かなければ別の階へ行けない。一度踏み込むと逃げ出すのが容易ではないところだ。ムーンゲートを抜けた三ツ島諸島のダンジョン7は宝の山だった。最下層の一番奥の部屋には美しく怪しい「時の道」があった。そこには「唯一の道は愛、魂、月と死であり、他のすべては失敗する。」と記されていたが。再び同じところへ行ってももうなかった。



DUNGONS:ダンジョンの位置と有益な情報

 

街の謎


 ソーサリアにはいくつもの街がある。中でもムーンゲートを通らなければ行けない隠し里や、月齢(0,0)に南西の暗い森の中に現れる幻の街は特別だ。そこには馬屋があり、どの街でも買えない武器を手に入れることができた。そして支払う金額に応じて有益な情報を教えてくれる預言者がいた。


TOWNS:街の位置と有益な情報

 三つ島諸島にある街は暗い森と谷に閉ざされ、デーモンとガードが門を守る不思議な街だ。魔物のそばを通っても襲ってこないが、こちらから喧嘩をふっかけると次々と挑んできた。必死の思いで戦い抜いた先にあったのは通常の武器と鎧の店だけだった。さらに奥にも門番が護る門がある。果たしてその先には価値あるものがあるだろうか。

 山中の街の暗い森には「炎と水」が交差する不思議な場所があった。中央で「祈る」と「エボケアと叫べ」と返事があった。ただそれが何を意味するのか分からない。わからないことはまだあった。ムーンゲートを抜けてたどり着ける炎の島の城には何があるのだろう。入江を巨大な蛇が塞ぎ中から砲火を浴びせる島はいったいどう言う所なのだろう・・・。

 

大渦とアンブロシアとカードの謎


 力とお金を蓄え、鍵や魔法石を手に入れた彼らは再び海へ出た。大渦にあえて飛び込むと、かつて伝説の英雄達が訪れた不思議な世界へ流れ着いた。魔法石を使ってその世界を覗くと、今までいたソーサリアとは全く別の世界、伝説の地アンブロシアだった。その世界には三つの海があり暗い森と谷があった。そしてかつて伝説の英雄達が訪れた「強さの神殿」と、鍵の掛かった扉の奥には「素早さの神殿」「知力の神殿」「賢明さの神殿」が隠されていた。彼らは魔物を蹴散らし四つの「神殿」で能力の上限を強化すると、再び浜に戻り船を奪って大渦に飛び込んだ。大渦こそソーサリアとアンブロシアを行き来する架け橋だったのだ。そして「強さの神殿」「素早さの神殿」「知力の神殿」「賢明さの神殿」で「死、愛、魂、月」のカードを手に入れた。いよいよ世界は真の姿を現し始めたのだ。


 

印の謎


 彼らはダンジョン1の最下層で、溶けた金属に埋め込まれた「王の印」を見つけ、ダンジョン2の最下層で「炎の印」、ダンジョン5の最下層で「蛇の印」、ダンジョン6の最下層で「力の印」を見つけた。魔物との戦闘であわや全滅かと危ぶまれることも度々訪れたが辛くも逃れて帰還した。力をつけた勇者たちであったがまだ油断はできない。


 多くの時間を費やし、数々の戦いを切り抜けついに彼らは全てのダンジョンの地図を手に入れた。そして全ての「印」を手に入れ、魔物を退治して手に入れたお金でレベルアップをはたした。しかしまだ手に入れなくてはならないものが残されている「エキゾチック」という武器があるはずなのだ。

 

1984/2/3 

王の城の謎


 レベルを上げて謁見するとヒットポイントを上げてくれるロードブリティッシュ王だが、迂闊に城の宝を取ってはいけない。激怒した王と戦っても勝ち目はない。きっと王は不死身に違いない。

 灯台下暗しであった。自分達の住む城の奥深くにも預言者がいたのだ。また堀には船があり、周囲を調べると聖職者が「四つのカードを四つのスロットへ」と語りかけてきた。

 

EXOTICの謎


 彼らは、ソーサリアとアンブロシアの全土を島も含めて街も遺跡もダンジョンもくまなく探索し謎を解き明かした。ついに炎の島の北東の島で「エキゾチック」の武器を、四つ島諸島最東の島で「エキゾチック」の防具を見つけ掘り出した。この「エキゾチック」こそ最強の武器にして最強の防具なのである。


 

第三の試練


 ついに四つのカード「愛、魂、月、死」と、四組の印「王、力、蛇、炎」を持ち、「エキゾチック」を身に纏った四人の勇者ハイユニコン、ネズニーランド、ナニカーニカ、シープドッグは船を奪い炎の島へ向かった。入り口を塞ぐ大蛇の前で「エボケア」と唱えるると閃光が輝き大蛇のいる通路を通過することができた。そして目の前に悪の城が現れた。

 「力」の門をくぐり抜け、深く城に入り込んだ勇者達ではあったが、そこは世にも恐ろしい炎と爆発、そして生半可な武器では倒すこともできないデビル、デーモン、ドラゴン、ガードがウヨウヨいる所だった。床さえ攻撃してくるのだ。絶え間ない攻撃に、ネズニーランド、ハイユニコン、シープドッグ、ナニカーニカは倒れていった。

 勇者四名の訃報が報じられると王国中でどよめきがあがった。鍛え上げ必要な物を全て身に付けて臨んでも勝てないのかと・・・。

 

1984/2/16 0:00 

大団円


 ロードブリティッシュ城に四人の影があった。蘇った初代の勇者モシカモシカ、トリゴリー、トリブリオン、ナニキャットだ。王は悲痛な面持ちで再び彼らに王国の運命を託した。彼らは多くの時間を費やし能力に磨きをかけ、ネズニーランド、ハイユニコン、シープドッグ、ナニカーニカを蘇らせた。さらに能力を高めいよいよ悪の城へ向かった。熾烈な戦いに耐え抜いた彼らはついに最深部のスロットのある大広間へ辿り着いた。「時の道」で示された「愛」「魂」「月」「死」の順にカードをスロットに挿入すると、モンデインとミナクスが作り出した謎の存在エクソダスは轟音と共に停止した。ついにトラメルとフェルッカが(2,7)の第1四半期と三日月の衰退の時、彼らは事を成した。


And so it came to pass that on this day EXODUS,hell-born incarnate of evil,was vanquished from SOSARIA.
What now lies ahead in the ULTIMA onward to ULTIMA 4!
Congratulations! thou hast compleated exodus:ultima3 report thy feat!

 ソーサリアに再び平和が訪れた。

めでたしめでたし。

 

おまけ


宝箱

 宝箱は城や街やダンジョンに置かれているほか、戦闘で勝つと手に入る。宝箱の中には金と武具や防具が入っているが、ランダムに決まるらしく強敵に勝っても大金が手に入るとは限らない。また罠が仕掛けられ開ける時にダメージを受けてしまう。これを回避するには盗賊など罠を解除する技能があるメンバーや祈祷系の魔法に頼ることになる。中身を取り出すと宝箱は消えてしまう。

 城や街やダンジョンの宝箱は消えても、一旦外に出ると復活するため、何度でも出たり入ったりすることで宝を獲得することができる。つまり時間さえかければ金儲けができる。

 野に置かれた宝箱は中身を取り出すまで消えない。特筆すべきことは野の宝箱は魔物の障害物となり魔物の進行を妨げてくれることだ。街の周辺で魔物と戦い宝箱を放出させることを繰り返して城壁のように囲いを作り安全地帯を作ることができる。


ロードブリティッシュ王

 無敵と思われた王だが、大砲で倒すことができる。王を城の裏にある船へ誘き寄せ、船に乗って大砲を当てると王は倒れてしまうのだ。城を出て王が復活してくれれば良いが、もし復活しなければレベルアップしてもらうことができなくなる。面白いかも知れないが危険な賭けだ。


最強の武器

 「エキゾチック」を超える究極の武器。「レンジャー」という名前の一度で壊れてしまう代わりにあらゆる敵を倒す武器が存在する。この武器は炎のダンジョンから北へ二歩の場所にあるらしいのだが、ゲーム中に一切のヒントがなく発見できなかった。実際これは最近の情報で当時のApple2用のULTIMA3に備わっていたか定かではない。


 

勇者達


 「モシカモシカ」は学生時代に結成した秘密結社「放浪社」のマスコットだ。彼を基軸に冒険の仲間たちが誕生した。

 モシカモシカはカモの頭に鹿の角を生やした架空の動物である。そこには無限の可能性が託されている。このコンセプトをベースに、耳が翼になったカモのナニカーニカ、耳が翼になったゴリラのトリゴリー、耳が翼になったトリブリオン、羊の角を生やしたシープドッグ、翼を生やしたユニコーンのハイユニコーンが誕生した。後輩の落書きから誕生した背中に翼の生えたネズミのネズニーランドを加え七人の仲間が出来上がった。

 もう一人どうしようかと思案していると窓の外を猫が横切っていった。そこで誕生したのがナニキャットだ。他の仲間と一線を画したコンセプトだが、尻尾で立つ愛嬌のある姿が気にいっている。

 さて物語ではさらにトリゴーラ、トリブーラ、モシモーシモ、ナニカーナの四人が登場する。トリゴリー、トリブリオン、モシカモシカ、ナニキャットを小柄にして翼や角を小さくしたイメージだが、面白みのあるキャラクターにはできなかった。


 命名コンセプトの一つは「もしか」とか「なにか」とかいった言葉とベースになった動物から連想される種族。二つ目は耳が翼になった種族。三つ目は元の名前から連想される別のものを示す種族をイメージした。


 ここには登場させなかった「イルカイナイカ」というイルカをベースにした水性生物がいる。名前からくるイメージで姿が見えない設定になり、デザインを検討したが最終的に透明になった。つまり姿が見えないのだ。いつか彼が活躍できる日を楽しみにしている。


 モシカモシカ誕生の物語はまた別の機会に譲るとしよう。

 

解説


 「ULTIMA3」はシリーズ上パーティ制が初めて導入された作品で、Wizardryのように種族、職業が異なるキャラクターを自由に登録し、四人のパーティを編成できる。また、敵と接触すると戦闘画面に切り替わるようになった。戦闘ではタクティカルコンバット(敵・味方がボードゲームの駒のような役割をする戦闘形態。普通は正方形ないし正六角形の升目に区切られたマップ上で自軍のユニットを敵ユニットに向かって移動させ、敵のユニットが自軍のユニットの有効射程に入ったときに初めて攻撃が可能になる。)が採用された。街は十箇所以上、3D表示の地下迷宮は七箇所といった規模。「ムーンゲート」で各地をワープできるほか、海賊から船を奪い取って交通手段とすることができる。敵と戦い地下迷宮を探索し、ワールドマップとは別にある「アンブロシア」に突入、「EXODUS」の謎に迫る。種族は、全てに平均的な「人間」、器用さの最大値の高い「エルフ」、強さの最大値の高い「ドワーフ」、賢さの最大値の高い「ボビット」、器用さと知識の最大値の高い「ファジー」の五つ。職業は、魔法は全く使用できないが重装備が可能な戦士や、なんでもこなせるレンジャーなど11種類。装備可能な武器・防具が設定されているほか、罠外しや宝箱開けの適性および使用魔法、MP(マジックポイント)の値が設定されている。これらキャラクターは作成時に与えられる一定のボーナスポイントを自由に配分することができる。また、魔法については魔術師系(Sorcery)・僧侶系(Prayers)各16種類ずつ、計32種類が用意されており、賢さまたは知識の増加に伴いMPが増加するにつれて、行使可能な魔法が増加していく。

Wikipediaより

 

あとがき


 1983年Apple2を手に入れた。BASICやマシン語のプログラムを学び、カセットテープからプログラムを読み出して、ピンボールコンストラクションセットやチョップリフター、ウエイアウトに夢中になった。1982年映画「ET」でピザを食べながら子供たちが夢中になていたボードゲームがあった「ダンジョン&ドラゴン」である。それがRole-playing game(RPG)であることを知り、コンピューターで楽しめることを知った。そのためには本体と同じぐらい高額なディスクシステムが必要だった。友人からDISK2を譲り受け「ULTIMA3」を借りたときは小躍りして喜んだ。フロッピーディスクを読み込むと不穏な音楽が流れ画面にマップやメンバーの状態が表示された。魔物が襲ってくると戦闘画面に切り替わり緊張が高まる。フルキーボードを使って魔術や祈祷の呪文を唱え魔物を撃退する。Apple2はカーソルキーとリピートキーを押すと連続移動ができた。リアルタイムで時間が経過しトラメルとフェルッカの月齢が変化してゆく。ちょうどその頃読み始めた栗本薫著「グイン・サーガ」の世界がダブって気持ちはいやが上にも盛り上がった。勇者達が全滅してしまうとショックでしばらくボー然として何もできなくなった。彼らを弔う思いで書き始めたのがこの物語だった。英語版のため辞書を片手に一ヶ月、夜を徹して「ULTIMA3」に興じたのは大学卒業直前の春だった。

 1984年社会人になるとモッキンボードを手に入れ、ULTIMA3に効果音をつけられるようになった。一方仕事で使う開発システムがCP/MからMS-DOSそしてUNIXへと変わった。UNIXには「Rogue」がインストールされていた。「Rogue」 はコンピュータRPGの黎明期である1980年に誕生したダンジョン探索型のRPGだ。短時間で遊べるため休憩時間にRPGを楽しめた。1986年になるとファミコン用の国産RPG「ドラゴンクエスト」が誕生し、翌年に「ファイナルファンタジー」が発表されたが友人がプレイするのを見るにとどまった。時がたち、2001年「鬼武者」をやりたくてプレイステーション2を手に入れた。「鬼武者」はアクションゲームだがRPG的な要素がある。続いて発表された「ファイナルファンタジーX」で久しぶりに本格的なRPGを堪能した。その映像表現は隔世の感があったが、本質的なところは20年経っても変わらない。今や携帯端末でいつでも最新のRPGを楽しむことができる。でも時々大昔のゲームが懐かしくなる。


 ローグと名乗る反乱軍の中隊がスター・ウォーズに登場する。ローグの意味には「人を騙す、ペテンにかける、いたずらっ子、ならず者、ごろつき、はぐれもの、孤立して自分勝手に行動する」などがあり、ストーリーを象徴する名前なのがわかる。でもどうしてもUNIXで遊んだ「Rogue」を思い出さずにはいられない。


 昔のノートに書かれた「ULTIMA3」奮戦記。そこに描かれた絵を描き直し、加筆修正しながら楽しい時間を過ごすことができた。還暦を過ぎ人の名前も思い出せず焦っていたが、過去を振り返ると記憶の中に刻まれたいろいろなことが、ちょっとした刺激で鮮明に甦ってくる。その鮮明さには驚くばかりだ。



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1 Comment


Napple
Napple
Dec 17, 2021

2021/12/17 ファイナルファンタジーXIVが大人気らしい


 有料会員数が過去最高を記録し、サービス開始から8年を経た今なお盛り上がり続けているMMORPG『ファイナルファンタジーXIV』(FF14)が、あまりに人気になりすぎてサーバーが混雑しているため、ゲームの販売とフリートライアルの新規受付を停止し、なんと広告まで停止すると発表した。コンピューターゲーム賞The Game Awards(ゲームアワード)で、Best Ongoing(最高の現在稼働中ゲーム)部門とBest Community Support(最高のコミュニティサポート)部門を『フォートナイト』や『Apex Legends』を抑えてダブル受賞。相当面白いらしい。


MMORPG(Massively Multiplayer Online Role-Playing Game、マッシブリー・マルチプレイヤー・オンライン・ロール・プレイング・ゲーム)とは、「大規模多人数同時参加型オンラインRPG」のこと。

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