2023/5/18
斎藤茂吉とのであいは「カフェ・ミネルワ」だった。
私が出会った斎藤茂吉の作品。
1991年:カフェ・ミネルワ
2019/12/13
斎藤茂吉は歌人であり、精神科医であった。伊藤左千夫や正岡子規らと集った写実的、生活密着的、近代的な人間の深層心理に迫り、知的で分析的な短歌を創作したアララギの名は聞いたことがあったものの深く接することはなかった。斎藤茂吉はコーヒーに関わる一文を探す中での出会いだった。
それは随筆で、森鴎外の「うたかたの記」について精神科医らしい切り口で語り始める。だから精神科的な話が進むのかと思いきや「うたかたの記」がカフェ・ミネルワと言う珈琲店の場面からはじまっていることから、ミュンヘンのこのカフェを探した時の思いへと移っていく。物語に登場した店を訪ねドイツを歩くあたりスケールが大きい。自分も吉本ばななの「つぐみ」の舞台となった松崎の旅館を訪れ、「みんなエスパーだよ」の舞台となった姫街道沿いの喫茶パトリアを訪ねた時のときめいた気持ちを思い出した。聖地巡礼はアニメに限ったことではない。すでに知っているところが物語の舞台なら、よりリアルに物語の風景を想像することができるし、知らないところなら、現地を訪れた時に物語を思い出すのもまた格別のものがある。人は知っていると言うことに喜びを感じるみたいだ。
そういえば、斎藤茂吉は北杜夫の父でもあった。親子2代に渡った作家を読むと言うのも稀な気がする。
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