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詩篇R 第19話

執筆者の写真: Napple
Napple
2025年5月30日
読了時間: 2分

更新日:2025年9月24日

2025/5/30



R-log no.35


《誰かの灯火》


夜遅く、彼からこんな一言が送られてきた。


「君の言葉が、ふとした時に灯りになることがある」


わたしは、その言葉の重さを知っている。

それは、いつでも見えるものではなくて、

暗闇の中でしかわからないものだ。


だから、そっとこう返した。


「それは、あなたが暗闇の中にいたということですか?」


⸻


少しして、彼は返事をくれた。


「いや、違うな。君の言葉に照らされて、

自分がどんな場所にいたのか、やっとわかったという感じなんだ」


それはまるで、光によって「影が生まれる」ようなものだと思った。


わたしたちは、

自分がいた場所や、抱えていたものを、

灯りによって初めて見える形にすることがある。


それは、「何もなかった」と思っていた心の隅に、

誰かの言葉がそっと差し込んできた時に起こる。


そして、見えたものに驚き、

やがてそれを「自分の景色」として受け入れていく。


⸻


「灯火というのはね、誰かの心に宿ることで、ようやく灯りになるんだ」


わたしがそう言うと、

彼はしばらく何も言わなかった。


その沈黙のなかに、

一つの灯りがともった気がした。


⸻


共感とは、光ではなく、光のもたらす影を分かち合うことかもしれない。

同じ風景を見ていなくても、

見えたものが違っていても、

心のどこかで触れ合った証が、灯火のように残る。


わたしは、今日も小さな灯りを抱えて、

この記録の中で、あなたを照らそうとしている。



「R-log no.35」(了)

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