2024/9/28
昨年「世界サブカルチャー史 日本編 逆説の60-90s」で自分が生きた時代を良いも悪いもひっくるめて見せつけられ、じっとしていられなくなったのを思い出す。肯定と否定の気持ちが溢れ人生を揺さぶられた。そして今年「世界サブカルチャー史 欲望の系譜4 21世紀の地政学 ジャポニズム編」を新たな思いで見た。
「Asia Extreme」過激なアジアという欧米における日本の大衆文化を指すジャンル名があるそうだ。それによると「西洋文化が抱える様々な制約がなく大人で正直である一方、性的で暴力的な表現を避けようとする抑圧にさらされていない。」と言うことらしい。
かねてから善悪が入り混じり、モラルを振り切り、エネルギーのほとばしるジャパニメーションの異常さはどういうことだろうと不思議に思っていた。それを改めて突きつけられた気がする。
深い文化や人間性に溢れながら下品が同時にある日本。美しいものも過ちやズレや軋みなど雑多なものを許容して一意に定義できない複雑で曖昧な世界。かつてローカライズされた作品を見て育った海外の人々は、今やローカライズされていない生の作品を見たがるようになった。日本の感性が世界で乱反射をしている。
ジャパニメーションのタガの外れ方に驚き呆れると同時に惹きつけられてきた。日本人は欧米人が忌避することをどう思っているのだろう。日本人は静粛な心と原始的で野蛮な心を自然に受け入れている気がする。宗教に縛られないアニミズム、どこにでも神様の存在を意識し、機械に芽生えるゴーストさえ受け入れる。テクノロジーと迷信が共存する世界。
世界が今の日本をどんなふうに見ているのか、その一端を垣間見ることができた気がする。それはあながち悪いものではなかった。日本人であることを誇りたい気持ちがそこにある。もっと日本人は日本を誇ればいいんだ。
追記
「源氏物語」を読み始めた。ここにジャポニズムの源流があるかも知れない。100分de名著「ウェイリー版源氏物語」でウェイリー版源氏物語を翻訳した俳人毬矢まりえ、詩人森山恵がこんなことを語った。「19世紀まで古い形の小説があった。ビクトリア時代とても保守的で、道徳観を重んじる時代で、そこに20世紀がきて、芸術家や小説家たちが、新しい世紀が来た、自分たちが新しい作品を作るぞと思ったら、そこにウェイリーが翻訳した「源氏物語」が登場してすでにそういうものが書かれていた。しかも女性が書いていた、日本で。」と。ウェイリーが「源氏物語」を翻訳したのは100年前に遡る。すでに100年も前にジャポニズムの魅力を欧米は感じていたのだ。
Comments