2023/1/25
眉村卓との出会いは「燃える傾斜」だった。
私が出会った眉村卓の作品。
1963年:燃える傾斜
1966年:幻影の構成
1968年:EXPO‘87
1969年:わがセクソイド
1971年:C席の客
1972年:なぞの転校生
1974年:あの真珠色の朝を
1975年:ワルのり旅行
日記に綴られた眉村卓にまつわる思い。
2016/7/27
曇り。久しぶりに「燃える傾斜」眉村卓を読んだ。前回読んでから22年経っている。初回に読んだのは43年も前だった。本の書き込みを見る限り今回で5回目だ。いずれも夏頃読んでいるのが不思議だ。失恋して自暴自棄になって逃げ出した男が、人類を救う英雄となり地球に帰還して、恋人と再会する物語。最後の数行は何度読んでも涙目になる。
ただ不思議なのは、目に見える風景が今までと変わらないはずなのに、廃墟のように見える下が記憶に残っているのに、その記述が見つからない。実は22年前もその下を読みたくて読み始め、見つからなかったことを思い出す。きっと別の物語だったのだろう。
特に優れているかと言われると疑問なのだけれど、こうしてこの本のことを思い出し、気がつくと5回も読んでいる希な本である。
日本のSF作家を読み漁る中で出会った本がある。眉村卓の「燃える傾斜」である。眉村卓といえば、NHK少年ドラマシリーズの「なぞの転校生」と「ねらわれた学園」といったジュブナイル小説が思い浮かぶのだが、本として最初に手に取ったのは「燃える傾斜」だった。彼の作品は全般的に小松左京やクラークのような、現実の科学を裏付けとした論理的な物語ではなかった。どこかあやふやで、少し子供っぽい。また村上春樹やカードのような巧妙な語り口でもなかった。ところがである。ところが5回も読んでいるのだ。これはどうしたことだろう。一度読んだきりの作品が多い中、5回も読んだ本は「燃える傾斜」だけかもしれない。きっとまた読み返すことがあると思う。でも「燃える傾斜」の良さをうまく説明することはできない。友人にぜひ読みなさいと勧める言葉も持たない。なのにまた読みたくなるだろう本。とっても不可解な本。
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