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執筆者の写真Napple

「燃える傾斜」

2018/6/16

 目に見えている景色に疑問が湧く瞬間がある、そんな時ふと手に取る本がある。眉村卓の「燃える傾斜」だ。失恋して自暴自棄になって逃げ出した男が、人類を救う英雄となり地球に帰還、恋人と再会する物語。最後の数行は何度読んでも涙目になる。前回読んでから22年経っている。初回に読んだのは43年も前だった。いずれも夏頃読んでいる。夏のまばゆい光を受けた時、目に見える景色に錯覚のようなもを感じるのだろうか。実はこの本を手にするのは、目に見える風景が今までと変わらないはずなのに、廃墟のように見えるくだりが記憶に残っているからなのだけれども、実際に読むとその記述が見つからない。きっと別の物語なのだろう。勘違いのまま気がつくと5回も読んでいる希な本である。


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