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初めてのボーカロイド

  • 執筆者の写真: Napple
    Napple
  • 4 日前
  • 読了時間: 2分

2025/4/20


 NHKスペシャル「新ジャポニズム 第2集 J-POP “ボカロ”が世界を満たす」を見たのは、春の夕暮れのことだったか。その放送がきっかけで、私もボーカロイドというものを試してみたくなった。


 GarageBandにVoiSonaというソフトを組み込んでみる。こういうことは、昔からそうだが、試しに手を動かしてみるのがいちばん早い。何となく触れているうちに、どうにか形になってゆくのが面白い。しかもこれらが、すべて無償で手に入る時代である。まったく、ありがたい話だ。


 さて、何を歌わせようか。とりあえず「愛してる」と入力してみた。ところが、そこで手が止まる。どんなふうに歌ってもらえばよいのか、さっぱり浮かばない。


 そういえば私は昔から、メロディーというものに縁がなかった。気づけば、ディジュリドゥカホンのような、音階のない楽器にばかり惹かれていたのも、旋律が頭に浮かばないからだったのかもしれない。それでも、どうにか歌ってほしい気持ちはある。仕方なく、ドレミファと音階を順に並べてみる。すると、それらしくはなるのだが、何かが足りない。面白くないのだ。




 いっそ、と思って、適当な詩を書いて、音符をめちゃくちゃに書き込んでみる。どんなに乱雑にしても、それなりの形にはなるのだから不思議だ。ただ、やっぱり美しくはない。




 つまるところ、こういうことなのだろう。メロディーが浮かばぬ私には、思いを奏でるなどというのは、ちゃんちゃらおかしかったのかもしれない。ボーカロイドがあれば、米津玄師に誰でもなれるわけではない。でもこれは面白い。


 そんな折、「新プロジェクトX 情熱の連鎖が生んだ音楽革命〜初音ミク 誕生秘話〜」という番組が放送された。私は感動した。開発者たちが、肖像権やライセンスを抱え込まず、自由に世界に委ねたその判断に、心から痺れた。


 ボーカロイドという音楽のかたちが、これほど広がったのは、そのおかげだったのだ。誕生の経緯を知ってみれば、これもまた、小さな人数による、吹けば飛ぶようなプロジェクトであったという。それでも、諦めず、本当にやりたいことに向き合い続けた者たちがいた。


 思えば、多くのものごとは、そうして生まれ、広がっていく。必ず花開くとは限らぬが、花咲いたものには、たいてい、そういう種が宿っていたのだろう。



 
 
 

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