2025/2/9
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アボリジニを描いた「ミュータント・メッセージ」はとても印象的だった。後になって、それが偽書だと知ってショックを受けたが、強く惹かれ自分の物語にアボリジニのワーランブールを登場させた。彼はディジュリドゥを吹く。でも、そのときディジュリドゥがどんな楽器なのか知らなかった。
ディジュリドゥは、アボリジニの楽器で、世界最古の楽器のひとつと言われている。おそらく大昔、誰かがシロアリに食われて中が空洞になったユーカリの木を見つけ、吹いてみたら音が鳴ったのだろう。そうして、この不思議な楽器が誕生したに違いない。
どんな音がするのか気になって、ネットで演奏動画を探した。長さ1メートルほどの太い木の筒に、アボリジナル・ペインティングが施されている。演奏者は、あぐらをかいたり、立って持ち上げたり、さまざまな姿勢で構え、口を当てて吹くと、「ブオーン」というずっと続くような不思議な音が響いた。
試しにAmazonで検索すると、すぐに見つかった。数日後、届いたのは太くて長い竹で、美しい装飾が施されていた。早速、息を吹き込むと、「ブーン」と鳴った。その音は幻想的で振動が身体に響き、ジーンとする。
ディジュリドゥには「循環呼吸(サーキュラーブリージング)」という奏法がある。鼻から息を吸いながら、途切れずに吹き続ける技術だ。これができると、音が永遠に続く。すぐには習得できそうにないけれど、初めて吹いたその音だけでも十分に不思議で、心に響いた。面白い。自分で音を出しながら瞑想しそう。まさに想いを奏でる楽器だ。
そういえば、戸田には「タカアシガニドゥ」という楽器があるらしい。タカアシガニの殻を使っている。ニュースで見たときはただ面白いと思っただけだったけれど、あれはディジュリドゥだったんだ。
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口を中心にしびれてきて上半身全体がジーンとする。あまり長く演奏できない。
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