2023/1/25
新田次郎との出会いは「孤高の人」だった。
私が出会った新田次郎の作品。
1955年:強力伝・孤島
1957年:蒼氷・神々の石壁
1958年:縦走路
1959年:チンネの裁き・消えたシュプール
1960年:永遠のためいき
1968年:槍ヶ岳開山
1969年:孤高の人 上下
1971年:岸壁の掟・偽りの快晴
1973年:栄光の岸壁 上下
1974年:アラスカ物語
1975年:銀嶺の人 上下
大学生になりワンダーフォーゲル部に入部したことで、新田次郎の小説を知り、自分の山行きを重ねながら彼の物語を楽しむ時代があった。「孤高の人」は単独行をよしとした六甲山を脅威的な時間で走破した加藤文太郎の物語だ。新田次郎は富士山気象レーダー建設に携わった気象庁の職員だったから、豊富な知識で綴られる物語には信憑性があり、実際の山行の参考になった。彼が描く物語に登場する山を登るたびにそのフレーズを思い出した。ついに六甲山全山縦走を果たした時は感慨深いものがあった。また自身の処女作「鳥の人」の冒頭、主人公が「槍ヶ岳北鎌尾根から滑落し大怪我」するシーンは「孤高の人」に登場した「加藤文太郎」の最後を強く意識していた。
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