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執筆者の写真Napple

星新一

更新日:5月23日

2023/1/24


星新一との出会いは高校一年生の時の現代国語の時間だった。

私が出会った星新一の作品。

  1. 1961年:悪魔のいる天国

  2. 1962年:ボンボンと悪夢

  3. 1963年:宇宙のあいさつ

  4. 1963年:気まぐれ指数

  5. 1964年:妖精配給会社

  6. 1964年:悪魔の標的

  7. 1965年:おせっかいな神々

  8. 1965年:ノックの声が

  9. 1966年:N氏の遊園地

  10. 1966年:気まぐれロボット

  11. 1967年:人民は弱し官史は強し

  12. 1967年:妄想銀行

  13. 1968年:盗賊会社

  14. 1968年:きまぐれ星のメモ

  15. 1968年:マイ国家

  16. 1968年:午後の恐竜

  17. 1968年:進化した猿たち1−3

  18. 1969年:ひとにぎりの未来

  19. 1969年:殺し屋ですのよ

  20. 1969年:宇宙の声

  21. 1970年:ほら男爵 現代の冒険

  22. 1970年:だれかさんの悪夢

  23. 1970年:声の網

  24. 1970年:おみそれ社会

  25. 1971年:なりそこない王子

  26. 1971年:ボッコちゃん

  27. 1971年:ブランコのむこうで

  28. 1971年:未来いそっぷ

  29. 1972年:殿さまの日

  30. 1972年:ようこそ地球さん

  31. 1972年:ちぐはぐな部品

  32. 1972年:おかしな先祖

  33. 1973年:城の中の人

  34. 1974年:ごたごた気流

  35. 1974年:白い服の男

  36. 1975年:おのぞみの結末

  37. 1987年:竹取物語

 

日記に綴られた星新一にまつわる思い。


1995/5/31

 最近決まって6時に目が覚める、今日は晴れ渡り気持ちのいい日だ。家の窓を全部開いて回った。窓を開けながら今日見た夢を思い出す、教師をしていた。教師と言えば、高校時代の現国の先生、名前も忘れてしまったけれどどっちかというと地味な感じの若い女の先生だった。「今日は教科書を使わずに、こんな本を読んでみます。」と言って読み始めたのが、星新一の「ボッコチャン」だった。その時以来読書の楽しみを覚え、SF好きになり、自分で本屋に本を探しに行くようになった事を思い出す。本当に名前も忘れてしまったけど、現国の先生ありがとう。それまでは、両親がどんなに本を買い与えてくれても喜んで読まなかった(「そんごくう」と「宝島」が一冊になった子供用の本を思い出す)、あの頃は漫画を読みたかったのに買ってくれなかった。ましてや教科書なんて面白いとも思わなかった。本に興味を抱けなかった僕に目を開かせてくれた授業だった。でもそれ以外の教科書の内容はどれも面白くないものばかりで唯一覚えているのが、宮沢賢二の「永訣の朝」だった。

 

2005/1/31

 アニマックスで星新一の作品がアニメ化されるコマーシャルを見た。にわかに星新一の作品が懐かしくなり、作品化されるという「気まぐれロボット」に収録された文庫を早速読んだ。勢いで文庫「ボッコちゃん」を読み始める。


 氏の作品について久しぶりに読んで思い出した感覚がある。それは、タイトルを読んでストーリーを読み始める、2~3行読み進むと、「あれー、なんていうタイトルだったっけ?」タイトルが想い出せない。そこでもう一度タイトルを見る。「そう、そういうタイトルだったんだ」と確認して、続きを読み始める。そうしてしばらく読んでいくと、またタイトルが分からなくなるのだ。もう一度タイトルを確認する。大方を読んだときにようやく、なるほどだからこういうタイトルなんだと腑に落ちる。大方といっても3ページほどで、この繰り返しが起こる。だったら、最後にタイトルを見ればいいようなものだが、読んでいる最中にどうしても気になってしまうのが不思議だ。


 さて角川文庫「気まぐれロボット」の後書きを谷川俊太郎が書いていた。彼は、大変なできごとを一言で「エヌ氏はタイムマシンを発明した」のようにしょっぱなから書き出し、細かなディテールは書かない。その文体のシンプルさに星新一の作品の秘密があるとかなんとか。まそんなことを書いていたように思う。そして、「気まぐれロボット」に収録された作品はいずれも、確かにそういった、余分な表現がとても少ない作品ばかりが集まっている。

こうして「気まぐれロボット」を後書きまで読んで新潮文庫「ボッコちゃん」を読んでゆくと。あれれ、雰囲気が違うのだ、ずいぶん言葉を飾っている。一つの作品が短いことはいずれも同じなんだけど、文体がずいぶん違うように思えたわけだ。谷川さんの解説が印象的だったからかもしれない。


 わずかばかりの期待を抱きながらアニメーションを見た。面白くなかった。一話が短すぎて、ストーリーが分かりにくいんだと思う。でももともとが短い話で、比較的忠実に再現してるんだよね。ところが、微妙に違うから、つい最近原作を読んでしまった僕は、原作とも比較して、その雰囲気の違いにがっかりしたのだが。妻は原作を読んだわけでも、作品に過度の期待を抱いていたわけでもない状態で、とてもつまらなそうに見ていた。つまらなかったんだと思う。

 

 星新一こそ、本を読む楽しさを教えてくれた人だった。一人の作家の本を続けてこんなに読んだことは今までなかった。しかも、ほとんどが短編集だから、膨大な物語が語られていたことになる。色々思い出すことができるが、「愛の鍵」が最も好きな作品で、「ボッコちゃん」が最も記憶に深い作品だ。


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