2023/2/19
堤玲子との出会いは「わが闘争」だった。
私が出会った堤玲子の作品。
1973年 わが闘争
日記に綴られた堤玲子にまつわる思い。
1995年9月12日
堤玲子「わが闘争」を面白く読んでいる。ここにも作家になろうとあがき苦しんでいる一人の人間がある。そして自分の人生を切り売りしている。人称がめちゃくちゃで、文章も粗いし、ハチャメチャで糞尿に塗れているけれども、どこか悲しく美しい、そんな切ない一人の女性の生き様。なんかこれを読んでいるとふと思ってしまう、彼女が僕から去っていった理由が分からないうちは、僕は本当の恋愛を書くことなんてできないだろうと。僕はもっと真実を知り苦しまなければならないのだと。
1995年9/13
堤玲子の「わが闘争」読み終える。お話しは暗い内容なのに何か爽やかな読後感の残る一編であった。不思議な荒々しい文体は小気味のいいリズムがあって、妙にリアリティーがある。「歯切れ良く、暗くなりがちな内容を、悲惨な現実にのめり込むのではなく、それを見据えることで状況を突き抜けて、明るさを獲得している」と解説されているとおりの感がある。こういう小説も有るんだと思った。
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