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紙と記憶その19「舟を編む」

  • 執筆者の写真: Napple
    Napple
  • 1 日前
  • 読了時間: 2分

2025/8/12

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 映画「舟を編む」をみた。舞台は1995年。NHKドラマは2019年が舞台。24年も時代が違う。映画「舟を編む」はみたことがあったし、素敵な映画だと思った。でも内容はほとんど思い出せなかった。だからNHKのドラマを見て、あれこんなだったけと思ったのでもあった。そもそも「舟を編む」はこういう物語だったのかと改めて感心した。


 映画は、マジメくんが辞書編纂部署へリクルートされるところから始まった。資料室の棚は昭和の匂いがするが、時代は平成。今となっては昭和と平成の違いがわからない。なんとなくなつかしい雰囲気が共通している。編集会議で「ら抜き言葉」について語られ「今を生きる辞書を目指す」と結ばれた。そうだ、映画とドラマは随分違う。こうなると三浦シオンの原作を読むべきかな、などと思う。


 ドラマは物語の前半が省略されていた。西岡先輩が飛ばされ、一人になったマジメくんの恋が成就するまでがすっぽり抜けている。ドラマは物語の終盤で岸辺さんが来たところからの出来事を丁寧に描いていたのだ。


 そして、「血潮」が抜け、松本先生が入院。そんな山場を経て、追い詰められたものの顔。優しく見守る周囲の目。苦しそうなマジメくん。ついに出版の日を迎えるけれど、どこか悲しげに物語は終わる。


 ラストシーンの、蝉の鳴く林、鴎の鳴く海は、なんて映画的だろう。映画はどこか飴色のベールがかかった色合いで、時がゆっくり流れる。確かに同じ物語なのだろう、でも、あまりにもドラマと映画は違う物語だ。何か今ひとつ満たされないものが残った。


続く

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