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好き嫌い

  • 執筆者の写真: Napple
    Napple
  • 5 日前
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更新日:4 日前

2025/4/19



 よく聴いていた歌が、ある日ふと苦しくなって、耳にするのがつらくなることがある。けれど、また別の日には、同じ歌がするりと心に沁みてくる。気持ちというものは、思っている以上に揺れやすい。好きとか嫌いというのも、その日の風まかせで、ひょいと入れ替わるものなのかもしれない。


 好きだったものが急に遠ざかり、忘れていたものにふいに惹かれる。どちらも、思ったほど確かなものではない。感情というのは、どうも気まぐれで頼りない。けれど、その頼りなさが、かえって日々の暮らしに色を差してくれるようにも思う。


 無理に「好き」でいようとしなくてもいい。気持ちのいい瞬間が、ふと立ち上がる。そんなとき、それを見逃さないようにしたいと思う。


 感情は、ふと湧いてくるものだ。なにごともないような静かな心に、なにかがふれて、波紋がひろがる。好きも、嫌いも、その波のようなものなのだろう。穏やかな波もあれば、ざらつく波もある。けれど、やがてどちらも消えていく。


 たいせつなのは、波が立ったということだ。心が揺れた、その出来事そのものに、耳を澄ませていたい。

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