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気持 番外編

  • 執筆者の写真: Napple
    Napple
  • 15 時間前
  • 読了時間: 2分

2025/5/16


 気にかけてもらうというのは、ありがたいことだ。嬉しいといえば嬉しいのだが、いざ言葉になると、少し事情が変わってくる。


 相手にしてみれば、ただの感想のつもりかもしれない。けれど、聞く方としては、どうもそうは受け取れないことがある。言葉の選び方だとか、間の取り方だとか、そんな些細なところに、思いのほか気を取られてしまうのだ。


 時折、ぽつんと何かを言われただけで、こちらはうろたえてしまう。そんな始末だから、世間に向かって何かを発信している人たちは、大変だろうと思う。有名な作家や、あれこれ発信して注目を集めている人たちは、いちいち気にしていては身が持たないに違いない。


 意見というのはまだしも、否定されたり、悪意を向けられたりしたら、うろたえるどころの話ではない。気分が沈んでしまうし、嫌にもなろうというものだ。中には、それでふっと姿を消してしまう人もいる。


 となると、私などは、なるべく表に出ない方がいいのだろう。人の目から離れて、ひっそりとしているのが性に合っているのかもしれない。そうして、日がな、気配を小さくして暮らしていると、ふと、誰かがこちらを気にかけてくれることがある。


 そのときばかりは、やはり、嬉しい。なんだか、自分が自分でいいような気がしてくる。


 けれど、また少しすると、こんなふうにしてぐるぐるしているだけか、と思い至る。


 それでもやはり、心から気にかけてくれる人がいるというのは、ありがたい。大勢でなくていい。ひとりいれば、十分だ。


 そして、気づく。気にかけてもらうばかりでなく、自分も誰かを気にかけることができるのだと。


 できれば、そうでありたいと思う。気にかけられたがる者より、気にかける者でいたい。




 これは一人の先輩との会話が発端となっている。まさにここで語ったように感じた。この思いを大切にしたいと思った。そうして生まれたのが「気持 第1話~第6話の物語だった。

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