野望を抱いた時代がある。若者なら何がしら抱くものではないだろうか。野望とはよろしくない思いが秘められている。望んではならない不届きな望み、例えば世界征服とか。叶うはずもない夢のことかもしれない。叶うような夢は野望ではないのだ。さて、最近思うに、野望が無くなったような気がする。歳をとったからだろうか。この世の謎を解き明かしたいという夢は今も健在だが野望と言える代物ではないだろう。
絶望を味わった時代があった。今は不思議なほど穏やかにその頃のことを思い出すことができる。銀河英雄伝説 外伝「螺旋迷宮#8」で、ケーフェンフィラー老人がヤンに語った言葉に「世の中に絶望できるほど私は若かった」という一節がある。
なるほど、野望も絶望も若さゆえに感じることができるものなのかもしれない。
ハエ男
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