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読書

  • 執筆者の写真: Napple
    Napple
  • 2 日前
  • 読了時間: 2分

2025/9/2

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 読書のたのしみは、出会いだと思う。出会いのきっかけは、時代でずいぶんと違ってきた。子どものころは両親が手渡してくれた。学校こそ出会いの場だったはずだが、勉強の対象というだけで、なぜか心が離れた。こちらが読みたいと身を乗り出して初めて出会えるのだろう。そんな中で、現代国語の授業で先生が紹介してくれた星新一の「ボッコちゃん」は、ついに本と出会う喜びを教えてくれた。本当に感謝している。


 一人暮らしを始めてからは、本屋や喫茶店が居場所になった。棚に並ぶ背表紙を見渡し、ふと手を伸ばした本が次の本へとつながっていく。友人との情報交換も盛んで、そこにも出会いがあった。


 年をとると、本屋に足を運ぶことも、友人と本の話をすることも少なくなった。だが、不思議なもので代わりは現れる。「100分de名著」や「あの本、読みました?」といった番組が、再び読書の楽しさを思い出させてくれる。電子書籍なら文字を大きくできるので、老眼にも助かる。面白い本は一気に読んでしまうが、どうにも入り込めない本は積まれたままになる。若いころは無理にでも最後まで読んだが、今は時間があるはずなのに読めない本は、やはり読めない。


 漫画についても思いあたる。子どものころは病院の待合室、青年のころは喫茶店や友人の家で、偶然に手に取ることが多かった。単行本に憧れを抱き、やっと自分で手にできるようになったのは大人になってからだ。一時期は懐かしさや話題性で求めたが、いつしか熱は冷めていった。それでも「漫勉」で漫画家の手元を見つめる時間は、絵を描くことへの憧れをくすぐられる。

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