2025/2/18
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レインスティックは、ゆっくり傾けると静かな小雨のような音がし、速く動かすと激しい雨音になる。振るとさらにランダムな音が響き、不規則な雨粒のように感じられる。特別な技術がなくても、誰でも楽しめる不思議な楽器だ。
もともとレインスティックは、南アメリカのチリやエクアドルなどで、先住民がサボテンの茎を乾燥させ、内部の繊維を取り除き、棘を刺し直して作ったものだ。中には種子や小石を詰め、雨乞いの儀式やシャーマニズムの儀式で用いられた。アフリカやオセアニア、アボリジニ文化にも、これに似た楽器が存在する。
私の持っているレインスティックも、おそらくサボテンでできているのだろう。毛糸のような紐の飾りがつき、表面には刺し直された棘が所々飛び出している。うっかり撫でると痛い思いをする。
レインスティックを手に取り、静かに座って目を閉じる。そして、ゆっくりと傾ける。「さらさら」「ポツポツ」と、不思議な雨音がまるでサラウンドのように響き渡る。ただスティックを傾けるだけで、気持ちの赴くままに音が生まれ、幻想的な気分に浸ることができる。これは「思いを奏でる」楽器というより、「思いを引き出してくれる」楽器かもしれない。
2025218レインスティック
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